【山小屋便り7月号】「みんなと畑を作る楽しさ ―― 白大豆、黒大豆の追肥と土寄せ ――」 なつみ 

「元気に育ちますように。良い実をたくさんつけますように」

 みんなの優しい手で、祈りながら定植した白大豆。

 苗床から畑へ無事に引っ越しを終えた今、力強く根を張り、綺麗な本葉を広げて、精一杯生きています。

 赤ちゃんから、少年へと1週間で成長した白大豆は背丈約30センチになり、第1回目の追肥、土寄せを行いました。

 全部で4枚の畑に白大豆が植わっており、牛肥を追肥していきました。

 エルフ(1.5トントラック)には、温かいフカフカの新鮮な牛肥(町川牧場さんから)が山盛りに積まれていて、(このエルフを運転出来たら、気持ち良さそうだな)と思うほど、見てて嬉しくなったし、やる気もでてきました。

 最初に、作業リーダーのまえちゃんが目標を教えてくれました。

「目標は、新しくお借りした畑2枚を終わらせられたら良いと思っています。できれば夕方に土寄せも進めたいです」

 とのことで、私たちは1時間半でこの目標を達成すべく、まえちゃんに気持ちを添わせて作業に取りかかりました。

 追肥の作業と聞けば、今までなら、バケツリレーで先頭の人までテミを運んだり、肥料袋に詰められた牛肥を個々で黙々と施していたけれど、今回の追肥はひと味違って、1畝1ペア制。テミを運び専門、追肥専門の2人で、1畝を担当します。私はえみちゃんとペアで、追肥をしていきました。

 私自身、初めてペアでの追肥作業をするので、いつもと違う作業に少し緊張しました。お互いの手を余らせないようにスピーディーに、でも急かさないように、息を合わせて作業ができたら。

 まえちゃんとの作業は、厳しくて無駄な余裕がないけれど、楽しいと感じられるテンポがあって、結果も頑張った分ついてきます。私はそれがとても楽しいと感じます。

 今回の作業も絶対に楽しいと信じられるから、えみちゃんと顔を真っ赤にして、全力で動きました。

「高さ3センチのロッキー山脈作るように」

 お父さんが教えてくれた追肥量です。株に沿って筋状に山脈を作ります。

 追肥をしていると、定植してくれたみんなの心遣いに、思わず笑顔になってしまいました。山脈が、真っ直ぐ作れるのです。

 植え穴は縦幅15センチ強あり、奥と、手前と、真ん中、何も考えずに植えたら、土寄せの時、デコボコの畝になってしまいます。追肥も、真っ直ぐ植えてあると思って、真っ直ぐ移動したら、手前に株があって牛肥がかかってしまう。そんなことになりかねないです。

 でも、私が真っ直ぐ移動したら、常に牛肥と株の距離が一定で綺麗な山脈が作られていきました。植え付けたみんなの優しさ、心配りが、とても嬉しく感じました。

 作業のスピードは畑が変わるごとにどんどん上がっていき、その分面白さも幾分も増していって、気持ちが高まりました。ペアの人の動きを見ながら、次の自分の動きを考えるのが難しく感じたのですが、えみちゃんの動きは、思いやりがあって、優しかったです。

■みんなのなかで

 私が追肥をしている途中で、手でテミの受け渡しができないとき、牛肥が無くなるであろう所を予測して、置いておいてくれていました。ずっと牛肥を走って取りに行って、走って運んできてくれて、顔が真っ赤で大変なのに、笑顔でテミを渡してくれました。私はありがとうでは足り無いくらい、その笑顔や一生懸命さに救って貰いました。

 他のペアからも色々なところで、「ありがとう」という声が聞こえてきます。1人で作業して、1人で結果を自分の物にするのではない、「みんなで」という気持ちが、なのはなのもので、とても優しい、心強いものだと改めて感じました。どんな時もお互い様で、支え合う関係がここにあって、何にも変えられない大切な、幸せだと感じます。

 あっという間に1時間半の追肥は、エゴマも含めた4枚の畑を終えて、残すは第1鉄塔畑のみになりました。夕方の時間を使って、続きの作業を進めてくれました。

 次の日も、まえちゃんやみんなが早朝から土寄せをしてくれていました。

「土寄せもスピードが上がっていて、どんどんみんなと習熟していけるのが嬉しかったです」

 と朝食のコメントでも聞いていて、私もとても嬉しくなり、一緒に土寄せがしたいと思った所に、「日中に新良いとこ畑の土寄せを一緒にしてくれる人」と募集があって、(行くしかない!)と、ワクワクした気持ちになりました。

 畑に着くとまえちゃんが、「この1枚をあわよくば終わるくらいで、できるところまで進めていきたいです」と伝えてくれました。「あわよくば終わる」と言っても、みんなの気持ちは、「終わらせたい」の一心だったと思います。

 1回目の土寄せは双葉まで土で埋めて、その上の本生葉が見える程度まで寄せます。畝間の土は少年サイズの白大豆にとって、多すぎず少なすぎずの量で、とてもやりやすかったです。

 後ろを振り返れば、追肥した時の牛肥のロッキー山脈に習うように、一直線の山脈ができていって、気持ちが良かったです。定植したみんなの気持ちに、また嬉しい気持ちになりました。

■作業の面白さ

 作業中は、「ザッザッ」と、鍬で土をかく音が澄んで聞こえました。静まった、粛々とした空気の中で作業が進んでいきます。活気ある雰囲気も楽しくて好きなのですが、真剣な、研ぎ澄まされた空気の中での作業にも、別の面白さがあって好きだと思いました。

「あと2分で全畝終わらせます」と、嬉しそうな声が聞こえてきました。

 新いいとこ畑は8.5アールほどあるのですが、それを40分で終えた達成感は本当に気持ち良くて、終わらせたいと思い続けてみんなと作業した時間は濃かったなと思います。

 まえちゃんは、「終わると思っていなかった」と言っていて、みんなと予想以上の働きで結果を出せて、嬉しくなりました。

 梅雨前に、追肥土寄せを終えらることができました。これからの雨で、白大豆はきっと、牛肥の栄養を存分に吸収して、寄せられた土にしっかり根を広げて大きく育つと思います。

 そして、お父さんは「願いも追肥の内」と教えてくれます。

 白大豆が、元気に育ちますように。良い実をたくさんつけますように。