【山小屋便り7月号】「田んぼの大海原へ! ―― お父さん、永禮さんとの機械植え ――」 れいこ

 古吉野から見下ろす石生田んぼの景色。冬には土の茶色が少し寂し気で、でも、5月に入ると1つ、また1つと、田んぼに水が張って水面がキラキラと輝き、自然のパッチワークのように美しく、心が躍る季節です。

 今年もなのはなに、田んぼの季節がやってきました。

お父さん、永禮さんチームの二台体制で機械植えを進め、12枚の田んぼを2日間で田植えを終えることができました!

 お父さんと永禮さんが田植え機を動かしてくださって、機械での田植えと、家族総出の手植え大会で、計14枚の田んぼに無事に稲の苗を植え付けることができました。

 まえちゃんやみかちゃんを中心に、播種から全て自分たちで行って、毎日みんなでじょうろで水やりをして、育ててきた大切な稲の苗です。

 稲の強化で、思いっきり体重をかけて、小さな苗をぎゅっとつぶした時はドキドキしたけれど、それでもすぐに力強く立ち上がり、強く強く根を張ろうとする姿から、私も背筋が正される思いがしました。

 その苗たちが、今日、大きな田んぼへ力強く旅立っていきます。

 2日間、私は、お父さんチームで、みかちゃんとさやねちゃんと一緒に、田植えの補助に入らせてもらいました。

 初日の朝、朝食を食べて間もなく、お父さんが到着されて、ブルーのラインのシャツに麦わら帽子をかぶったお父さんの笑顔に、元気が湧いてきました。軽トラの荷台には、お父さんの相棒、田植え機の『早苗ちゃん』がいきいきと誇らしげに佇んでいます。

■やる気十分

 1日目の目標は、石生田んぼ、桃横田んぼ、川向こう田んぼの3枚です。その内の2つは、3反田んぼで、大きな目標にワクワクとドキドキと、ちょっぴり緊張がありました。お昼はお弁当を持たせてもらい、やる気は十分で、最初の石生田んぼに向かいました。

 私はさやねちゃんと一緒に、一足先に田んぼに到着すると、早速苗に水と薬を与えます。その水加減がとても重要だそうで、田植え機のつめがつまらないように、かつ緩くなりすぎて崩れない程度の水をやりました。

 お父さんが、軽トラから、早苗ちゃんをバックで下ろします。

 田植え機の足は思っていた以上に細くて、かなり揺れたりするのかなと思ったけれど、お父さんが急な坂もひょいっと下ろしてしまうので、すごいなと思いました。

「それじゃ、行ってくるね!」

 初めに、お父さんが外周をぐるっと、マーカーで印をつけながら回っていきます。左右についているオレンジのマーカーで、ラインをつけて、次の列を走る時は、今度はいま付けた印に真ん中の緑のアンテナを合わせていくと、等間隔に植わるようになっているのだそうです。

 夢中で、苗の水やりをしていると、みかちゃんが、「苗を植え始まったよ!」と言いました。

 確かに、お父さんの走った後から、4列のまっすぐな苗の列が始まっていました。

「カチャコン、カチャコン……カン、カン、カン、カン……」

 これが田植えの音かと思いました。

 お父さんがくくっとハンドルを操作すると、田植え機の『早苗ちゃん』が繊細に、美しく舞うように動いていました。

 お父さんがこちらの岸に帰ってくると、私たちは苗のトレーを補充します。苗が切れていないか、機械に不調はないか、交代交代で、お父さんの田植え機のあとをついて、歩いていきます。

 今度は、うしろ姿を見ていると、『早苗ちゃん』が土を押さえている、スキー板のようなひれの部分がフリフリと動いて、これがまた愛おしいのです。

 苗の入ったトレーが縦に4列に並んでいる部分が、左右に動きながら、田植え機のつめが一定のリズムで苗を掴み続けます。

 まえちゃんやみかちゃんたちが、たくさんの準備をしてくれたお陰で、田植え機のコンディションもとても良く、お父さんが嬉しそうで、私も嬉しかったです。

■順調なスタート!

 石生三反田んぼでは、たくさんのみんなが代わる代わる、お父さんの田植えの見学に来てくれました。とても賑やかでした。

 最後は外周を2周回って、ゴールです。外周を回る時は、苗の補給が長い間できなくなるので、十分にトレーを補充して、お父さんは大海原へ向かいました。

 順調なスタートを切り、午前中は予定よりもかなり速いスピードで、桃横田んぼまで進みました。

 田んぼで過ごす時間は、あっという間に感じて、ちょうど1時ころ、2枚の三反田んぼを終えて、山裾でお弁当をいただきました。ハートの玉子焼きがとてもかわいくて、豆ごはんのおにぎりも格別に美味しく感じました。

 午後は、川向こう田んぼから、ここは今年から、新しくお借りした田んぼです。比較的小さな田んぼだったので、苗の補充も2往復に1回くらいで足りました。いつもより近くで、お父さんの田植え機の操作を見させてもらえて、嬉しかったです。

 予定より大分速いスピードで進み、最後に、山裾西田んぼにつくと、水面に小さな波紋がいっぱい広がって、一瞬雨が降ってきたのかと思いました。でも、それはアメンボの大歓迎でした。雨が降ったみたいな模様ができるから、アメンボなのか! 知っているようで知らなかったなと思いました。

 三角形の田んぼは、ターンが難しそうだなと思ったけれど、1日中、田んぼのそばにいると、海にいるような錯覚になってきて、田植え機がスイスイーと船が進むようにも見えました。

■お父さんと早苗ちゃん

 機械植え2日目は、山裾東田んぼからスタートしました。

 段々と、私たちの補助も阿吽の呼吸になってきました。

 まえちゃんやみかちゃんが、入念にメンテナンスや準備を進めてくれたおかげで、田植え機の『早苗ちゃん』は一度も不具合なく、快調に走ってくれました。

 山裾田んぼの用水路は、水がとても豊富でした。水をくむとき、じょうろをぎゅっと握っていないと流されてしまいそうなくらいに、水の流れが力強くて、自然の大きな力を感じました。

 みかちゃんとさやねちゃんと交代で、時々、田植え機の通った後を追いかけて、苗が切れていないか、機械の不具合はないか見守っていきます。

 一度に掴む苗の量を、お父さんやみかちゃんが相談しながら、調整されていて、1往復で補充する苗の量も段々と分かってきました。

 次の那岐山三反田んぼは、昨日と合わせて6枚目、お父さんチームのラストの田んぼです。これが最後なんだと思うと、ちょっぴり寂しい気持ちになったけれど、頑張ろうと思いました。

 私は、那岐山三反田んぼで、カメラを構えて、写真を撮りました。

 広々とした青空の下、田んぼは鏡張りのようになっていて、お父さんと早苗ちゃんがくっきりと水面に映っているのが、とてもきれいでした。また、那岐山の背景も何とも言えない美しさで、シャッターを切りながら、その景色が心に焼き付きました。

 いよいよ、最後に外周2周で、フィニッシュです。

 田植え機にいっぱいの苗を積んで、お父さんがぐるっと2周回るのが、ウイニングランのようで、私もとても誇らしいような気分になりました。

 お父さんと永禮さんが、2日間、田植え機をフルに動かしてくださって、無事に今年のなのはなの田植えが済みました。本当にありがたくて嬉しかったです。

 みんなと1年間食べるお米を自分たちの手で育てる、田んぼの始まりの日、とてもおめでたい日になりました。