【山小屋便り6月号】「みんなと過ごす一夜 ―― なのはなニック(肉)フェスティバル&弾き語りライブ!! ――」 なお

 『果てしない大空と 広い大地の中でいつの日か 幸せを 自分の腕でつかむよう』

 夜空に、お父さんの歌声が響きます。人生というのは、いつでも途中経過。だから楽しい。未来は必ず優しい世の中になる(ならざるを得ない)のだから、そこに向かう混沌も、困難も、自分がそこでなにをできるだろうか、と考えて生きて行くから、面白いんだ。頭の中で考える理屈という小さな枠組みを飛び出して、自分の力の及ばない壮大な自然、時代という大きな流れの中で、一瞬のような人生を、いや、一瞬だからこそ懸命に生きること。それが、人生。

 お父さんのお話を聞いて感じた気持ちが、ラストの曲の歌詞と呼応して、自然と涙が出てきました。

 大空と大地の中で——。大好きな、お父さんの歌です。

■新メニューも!

 『NANOHANA NICK FESTIVAL2020』

 レクレーションウィーク3日目の夜は、古吉野なのはなで初夏のフェスティバルを開催しました。ロックフェス、ならぬニック(肉)フェスです。肉、そう、バーベキューです。バーベキューとアコースティックライブの宴、NICK FESTIVAL。

 今年はバーベキューコンロ(ドラム缶)を増やし、九台の焼き場が中庭に設けられました。これは、準備をした環境整備係の念願によりにより実現しました。待つ人がなく、みんなで一斉に焼いて食べられるようにしたい、という思いがあり、そのために新しくドラム缶で作りました。

 夕方5時30分頃から、バーベキュー準備の係とお父さんたちが、種火となる炭の準備を始めました。まだ明るい夕方の空に向かってのぼる煙や、赤くなる炭を見ると、否が応でもバーベキューへの期待がふくらみます。火のついた炭を、各ドラム缶に配っていきます。

 さあ、いよいよフェスの開場時間です。

 私は、フェスティバルの実行委員をしました。『最後尾はこちらです』の看板を掲げて、フェスに来場する、みんなの列を誘導します。今年のメニューは、豪華ななのはな野菜とお肉。定番のタマネギやアスパラに加えて、新メニューのブロッコリーの塩糀チーズのホイル焼き、豆餅ピザ、デザートのマシュマロなど、美味しそうな具材がプレートに並びます。

 炭火が九箇所に行き渡ります。午後のソフトボールで、お腹も良い具合に空いています。そろそろ、焼きたいですね。焼きませんか?焼きましょう!

 さあ、乾杯! いやいや、お酒の席ではありません。〝良い肉を!! いただきます!!〟実行委員考案のオリジナル音頭と共に、バーベキュー開宴です。

 みんなが、炭火のドラム缶コンロを囲みます。どれから焼こうか? おにぎりはタレを付けて焼きおにぎりにする? さてさて、ピザの焼き加減はどうかな。みんなと網の上に具材を広げながら、おしゃべりをしつつ、はやく焼けないかな〜と待つ時間もまた、楽しみのひとつです。

■いよいよ弾き語りライブ

 バーベキューをいただく間、私たちはキャンプレディオと題して、ラジオ番組のDJになりフェスの生中継番組をしました。番組では、みんなからのバーベキューにかけるあついメッセージを紹介したり、バーベキューソング(燃えろよ、燃えろよの替え歌)を歌いました。

 なのはなでのバーベキューが初めてという子からは、みんなで育てた野菜を焼いて食べられるのが楽しみ、どんなに美味しいのだろう、とワクワクするというメッセージがありました。自分たちで作った野菜を使ってのバーベキュー、炭火で焼くから美味しさも増します。それはなんて贅沢な食事だろうと思います。

 美味しい〜。みんなの中から、たくさんこの声が上がりました。炭火で焼きつつ、ゆっくりと味わう。みんなとのおしゃべりを楽しむ。普段の食事とは違うその時間の流れと雰囲気が、バーベキューならではです。昼間の真夏のような暑さが、少しずつ薄らぎ、涼しくなってきます。

 バーベキューも、終盤のデザートマシュマロにさしかかった頃でしょうか。メインイベント、お父さんとお母さんの弾き語りライブです。

 今年は、ベストヒットライブとして、みんなからのリクエストで曲を構成しました。さらに、野外でお父さんお母さんに聞いてみよう、という質問コーナーもあります。

 テーマは、4つ。

1.アミノ酸について。

2.芸術について。

3.女性であること、美しさについて(お母さんへの質問)。

4.未来について。

 タイムリーな話題を中心に、弾き語りライブの中に質問コーナーを組み込みました。

 世界で唯一のコンサート会場。中庭のロータリーステージは、お父さんお母さんの歌う席を円を描いて囲むようにみんなの席があります。夜空の元での開放的な雰囲気もありながら、不思議とすっぽりと包み込まれているような感覚もあります。

 1曲目の『少年時代』が、初夏の夜の空気をぐっと深めます。少し早い夏休みを、みんなと満喫しているような気持ちになります。少しの切なさも感じる1曲です。

 ある人は口ずさみ、ある人は手拍子をうち、ある人は歌声に身を委ねて揺れています。みんなが、心待ちにしていた、ライブの時間なのです。

 質問最初のテーマはアミノ酸です。お父さんは、みんなからの質問の中で、アミノ酸の大きな可能性について、話してくれました。私たちの身体や、生活の様々な場面で活躍する可能性を秘めたアミノ酸の世界。お父さんは言います。

「自分がどう生きたいかという意志の手助けをするだけなんだよ」

 アミノ酸が身体に良い、と言っても、その力を生かせるかどうかは、自分の気持ちしだいなのです。まず、自分自身で生きる方向を定め、どうありたいかをはっきりとさせること、それで初めて良い効果がもたらされるのです。それは、アミノ酸に限らず、自分を助けてくれる人の存在や、出会いというのも、同じなのだと思いました。どう生きるか、それは誰が決めてくれるものでもありません。何処に行くのか自分がわかっていなければ、どんな強力な助けがあっても、意味はないです。アミノ酸という世界を起点に、どう生きるかという広がりを持つ答えになっていきます。お父さんに聞いてみよう、の面白さは、その話の世界の広がりにあります。深く、幅広く、自分自身と向き合い答えを見つけるきっかけとなるお父さんのお話は、やはりとても楽しいです。

 お母さんと一緒に歌う『夕暮れ時はさみしそう』。この曲は、こんな野外でのライブにぴったりです。少しずつ暗くなる初夏の夜を、お父さんとお母さんの歌声が包みます。

■自分から離れて

 質問は、続いて芸術のテーマに移ります。

「心が深くなければ芸術の良さをわからないものでしょうか?」

 この質問に、お父さんは答えてくれます。

 自分を離れることができるかどうか、それが芸術作品の良さをわかるためには必要だと話してくれました。自分が自分がという我の強さや、自分の損得というところを離れて、相手のために自分がどうあればプラスになるのか、良い関係を作れるのか、良い仕事ができるのか、と客観的に自分を見つめることができる人。そういう人は、芸術作品の良さを感じることができます、と。心の深さ、というと抽象的で難しいのですが、自分にこだわったり、自分の損得でものごとをはかったり、自分の世界にこもらない 、ということなのだと思うと、とてもわかりやすかったです。自分にこもって、自分にこだわると言うことは、バランスが悪く、美しさがありません。芸術作品の中ある美しさを感じ、理解するというのは、物事のあるべき正しい姿、人と人のあるべき正しい関係、そこにある優しさや美しさがわかるということなのかなと思いました。

■初披露

 リクエストも多かった『とんぼ』と、お母さんも大好きという『いちご白書をもう一度』を2曲続けて歌います。歌ももっと聴きたい、お話もたくさん聞きたい。夜の時間が止まれば良いのに、そうメッセージに書いてくれた子の気持ちに、私もなりました。

 続いて、NICK FESTIVAL特別編。お母さんに聞いてみよう、とお母さんのアコースティックバージョンの曲です。質問のテーマは、女性せあること、美しさでした。

 お母さんは、女性だから、男性だから、という区分けではなく、美しさも品格も、人としての生き方なのだと話してくれました。そして、いつも話してくれる時間と場所と人が違えば答えは変わる、ということにも通じます。こういう場合女性としてどう振る舞うか、ということではなく、いま相手にとって自分がどういう立ち位置であるべきなのか、それは男性女性というよりも、時間と場所と人によって、どう振る舞うのが正しいのか(美しいのか)が変わってくると言うことです。そしてお母さんは、上品でありたいと願い、日々の小さな積み重ねで、人としての美しさや品格は作られていくのだと話してくれました。

 ひとつ、女性として生まれて幸せだったといえることがお母さんにはあります

「お父さんと出会えたこと(男性だったら一緒になれません!)」

 この答えに、みんなも盛り上がります。お父さんが大好きなお母さん、お母さんが大好きなお父さん、そんなお父さんとお母さんが、私たちは大好きです。

 そして、このフェスティバルが初めてとなる、お母さんの歌う『銀の龍の背に乗って』のアコースティックヴァージョン。

 これまでバンドで歌っていた曲ですが、野外ライブのために、さやねちゃんがアコースティックギターでの伴奏を練習し、初披露となりました。これも、みんなからのリクエストにより実現した曲です。お父さんも、この曲の時にはステージを降りて客席の最前列で聞いてくれました。私も、実行委員でこの案が出てからずっと楽しみにしてきた1曲です。

 前奏の繊細なメロディが、奏でられ、お母さんの銀の龍の世界になります。私のすぐ側にある痛みや、哀しみ、それを携えながらも勇敢に前を向いて飛び立ってきたい。

 私はお母さんの歌うこの曲を聞くとこう感じます。そんな私に、お母さんが、さあ行こうぜ、と背中を押してくれます。お母さんの強さや勇気、そしてその強さの側にきっとある痛みや悲しさに、さやねちゃんの引くアコースティックギターの音がぴったりと合っていて、本当に素敵な歌でした。アコースティックギターだからこそ、お母さんの歌声の魅力がより引き立っているように思いました。バンドとは違った魅力のある『銀の龍の背に乗って』の世界に私たちは引き込まれて、心を捉えられました。さやねちゃんの表情や姿も、お母さんの歌声と重なる強さや切なさを持っていた、引き込まれます。大きな拍手が、お母さんとさやねちゃんに送られます。

■原点の1曲

 ライブも終盤。質問のテーマは、未来についてになります。

 学校、仕事、人の生活は、どう変わっていくのか。マイナスの面もあり、プラスの面もある。昨年のコンサートでも取り上げた、温暖化についても話しました。今の状況は、もちろん個人の生活についても、国としても、世界としても、困難であることは確かです。けれど、お父さんとお母さんのお話の中で、世の中は良い方向に行かざるを得ない、という言葉がありました。

「個人の価値観、学校、家庭、地域との付き合い、そういったものが『モラル』という共通項で串刺しにして変わっていく」

 優しい世界、良い世界、というゴールにつくか、それが問題ではないのだと話してくれました。良い方向へ向かう途中経過にあり、その途中にある山を今乗り越えようとしているのだと思いました。

 すっかり暗くなった夜の空のもとで、お父さんとお母さんの言葉がしみこみます。自分の生き方をしっかりと定め、いつどんな状況でも楽観的に前向きに生きていきたい。そう思いました。

 ライブ最後の曲は、『HERO』。1番リクエストの多かった、みんなの大好きな曲です。最後のHEROのサビで、空はひび割れ、月は砕け散っても、という歌詞があります。そこを歌うお父さんの歌声が私はとても好きです。力強く、どんな状況でも、困難でも、HEROで在り続けるお父さん。私も、誰かのそんなHEROでありたいと思います。

「お父さん、もう1曲歌って!!」

 りゅうさんの声に、みんなが続いてアンコールをコールします。フェスティバルラストナンバーは、『大空と大地の中で』です。自分にとっても、原点の1曲。なのはなのに来た日にお父さんが歌ってくれた曲です。

『いつの日が、幸せを自分の腕でつかむよう』

 お父さんは、なのはなの子1人ひとりに、その願いを持って、なのはなに迎えてくれます。必ず、自分の腕でつかめるようになるよ、そう誰よりも信じてくれるお父さんとお母さん。だから私は、いまこうして幸せを味わって日々生きていくことができています。そしてこの夜も、お父さんの歌声は、目の前にいるなのはなの子供1人ひとりに、伝えてくれました。

 いつの日か、幸せを 自分の腕でつかむよう——。

 NICK FESTIVAL2020。

 お父さんお母さんのベストヒットライブは、家族みんなの満たされた気持ちとともに、おひらきとなりました。