第256回「人前に立つ緊張」

【質問】
 小さい時から、発表会とかで人前に立ったりしたことはありました。なのはなに来てもアセスメントとかイベントとかで、ステージに立つことはありますし、ウィンターコンサートもホール満員の観客の前で演じたりしたのですが、やっぱり人前で、特にたくさんの人の前で何かやるのが慣れないというか、毎回、緊張が高まってしまうのが困っています。場数が足りないのかなとも思うのですが、お父さんはどう思われますか。

 
 

【お父さんの答え】
お父さん:
 人前に出る、特にステージに出て演じるというとき、私もう慣れていますとか緊張しませんよ、という人はいないんじゃないかなと思うね、誰でもそうだと思います。
 どんな人でも、そうなんじゃないかな。何かやるときに、全然、緊張しませんと言うか言わないかはともかくとして、緊張しない人はいないと思う。
 僕も緊張するし、慣れるということはないよね。

 ただその、緊張して逃げ出したい一方で、そこに来たお客さんをなんとか楽しませたいなって言う気持ちもあるんだよね。
 上手く楽しませられたらいいなっていう期待が自分に対してある。その期待というか、楽しませたいという気持ちが大きければ大きいほど緊張する、とも言える。

 変な話、お客さんなんて何を思ったってかまわない、お客さんなんてくそくらえっておもっていたら、緊張しないよね。台詞を忘れて失敗してもかまわない、楽しんでもらわなくてもいい、なんて思っていたら緊張しないでしょう。
 高いレベルの効果を期待すればするほど、できる限り良いサービスしたいと思えば思うほど緊張するし、演じて終わった後に、期待以上にうまくいったとか、自分の持ち味を発揮できたと思えば、良かったなと充実感が大きい。やれたのはやれたけど持ち味を発揮できなかった、と思ったら残念に思うだろうね。

 人生にはハードルが必要だと思うんだよね、今、何の試験も受ける予定がないとか、何もハードルがないというときはすごく楽だね。緊張もない。人前で何かを発表したりステージをする予定がない、というときはまったく緊張がない。
 たとえば、今回は中止になったけどマラソン大会に出場するとか、そういうものはある種のハードルだよね。自分は42キロを走り切れるだろうか、という試練のようなもの。それに向かって日々、練習を重ねて持久力を高めてきた。大会の日が迫ってくれば、観客がどうこうでなくても、緊張してくるよね。今回は中止だけど。

 そういうハードルがあると、生活にある種の緊張が生まれる。張りが生まれる。
 今の自分にできるかどうかわからないけれど、力を試してみようとか、力を蓄えよう、自分の力を伸ばそう、そういうハードルが人生には時々きたらいいと思うし、そのハードルが高ければ高いほど緊張する。
 もし、とても立派な人になって、自分はもう何も緊張することがありませんよ、ということになったとしたら、もうちょっとで人生終わる人ということかもしれないよ。
 
 
 

(2020年5月28日 掲載)