第251回「アメリカンドリーム」

【質問】
 お父さんはアメリカンドリームについてどう考えますか?
 オバマ前大統領はアメリカンドリームを実現した1人だと思いますが、そうやって成功する人はごく一部しかいないと思います。
(ちなみに1970年代のアメリカがギラギラしていた時代が、ヒッピーやケネディー大統領のNASA宇宙計画もあって好きです)

 

【お父さんの答え】
お父さん:
 そうやって成功するのはごく一部しかいないと思いますっていうことですけど、アメリカンドリームを夢見る人からの質問ですね。
 なんでアメリカンドリームを夢見るか、何でジャパニーズドリームって言わないのか、いちばん大きな理由は何でか解ります?
 僕が思うのはこうじゃないかな、と思うところがあります。

 

(みんなの考えた答え)
M1:広い国だから。
M2:歴史がないから可能性がある。
R:植民地から移動したから。
A:ゴールドラッシュがあったから。
N:税金が安い。

 

お父さん:
 アメリカの人口って、3億6千万人いるんですよね。それに対して日本の人口は1億2千万人余り。だいたい、人口が3分の1です。
 日本の出版界で大ヒットっていったら、100万部くらい売れます。
 でも、フランスで大ヒットって言ったら30万部くらいです。人口が6千万人くらいと日本よりも少ないからです。
 アメリカでは発行から2年足らずで900万部というベストセラーになったアラバマ物語という小説もある。
 つまり、アメリカという国は、マーケットが大きいので商品がヒットすると売り上げがすごいんです。中ヒットでもすごい。単純計算でいえばマーケットは日本の3倍ですが、英語圏は広いので、実際にはそれよりも大きいでしょうね。それがアメリカンドリームって言うのかな、ちょっと成功するとお金持ちになる。そんな夢がある。
 成功して大金を得て、あとは悠々自適に遊んで暮らす、というのがアメリカンドリームでしょうかね。
 成功してお金持ちになる夢がアメリカンドリームなんでしょうけど、成功する人も日本の3倍以上だろうし、マーケットが広いということは成功しやすい環境でしょうね。
 日本にも成功した人はたくさんいます。ユニクロを成功させた柳井正さんとか、楽天を成功させた三木谷さんとか。
 余談だけど、パソコンを見ていると腹立ちますよね。肝心なところが英語でしょ。日本人がコンピュータを発明していたら日本語だったんだろうけど。しかしすべてのパソコンは英語が基本になっている。そういう意味でアメリカンドリームなんでしょうね。

 ちなみに、この質問者は、70年代のアメリカがギラギラしていて好きですって書いてあるんですけど、なのはなファミリーにいて、これを言うのはおかしいよと思います。
 ヒッピーがあったっていうのも、アメリカはすごい経済成長をして、文化的な生活とかハイソな生活とかが大ブームになっていく、そういう中でのアンチテーゼですからね。俺たちはのらないぜ、って働きもせず、フラフラとバイクに乗りながら麻薬をやりつつ放浪するというイージーライダーという映画がありました。
 ハーレーにのりながら放浪する。優雅な放浪だよね、それが村外れで野宿をしていると、この不良どもを始末してやるって保守的な男たちから殴られる、そういう映画なんだけどね。
 その頃はまだまだ、どこまでも豊かさを追求していこう、いや自由に行こうとか、そんなことを言っている時代でした。
 ところがそれに対して今という時代は、もう豊かな社会というものの天井が見えてしまって、このままだと人類がダメになってしまう、だから生き方を変えませんかっていう時代なんだよね。
 ここでなのはなの子から1970年代のアメリカが好きですって言われるのはちょっと痛いね。
 どうしてかっていうとみんなの病気は、稼げば稼いだだけ幸せになれる、頑張れば頑張っただけ評価される、それだけ頑張れば幸せになれるんだっていう迷信を信じた大人たちにもっと頑張れって尻を叩かれた、それで病気になったんですよ。
 そういう豊かさを今から競争のように追求しても、虚しいだけでしょう。
 だから、みんなは病気になってもう走れない、となった。その代わりに、意欲的に生きていける人生の哲学というかソフトウェアを新たに生み出していかなくてはならない、という使命を負って病気になったというべきですよね。
 経済だけを追求してはいかんなって世界がなってきた。世界中、自由に歩いて、その気になれば何でもできて素晴らしいと思っていたら、素晴らしくないよ、というのがコロナ禍だよね。
 良く考えたら、人類が一番強いと思っていたけどウィルスの方が強かった。
 原油を使いたいだけ使って、やがて地上から原油がなくなったら、なくなってごめんと孫に言えるのか。そんなことになってはだめでしょう。
 そういう反省を求める機会をコロナ禍は作っているようにも思う。そしてみんなの病気がある。
 みんなはどう生きれば幸せになれるのかを考える責任がある。自分たちがその苦しさを体験した存在として、もっと欲を捨てて、変な競争じゃなくて、お互いを助ける関係を作っていかないともっと苦しくなる、と訴えていかなくてはならない。
 そういうソフトウェアを僕らがつくって世の中に提示していく責任があると思う。
 どうしたら幸せになれるのか、どうしたら消耗せず、焦らないで生きていけるのか、今まで人類が作れなかったソフトウェアを考えて行こうよって、そういう病気なんですよ。
 それなのに治ったら、勝者になりたい、ギラギラした時代が好きってガツガツ言われたら、ちょっとずっこけますよ。残念です。
 アメリカンドリームでもなんでも、人間の夢は実現できます。実現できるって思った人は必ず実現できます。自分で挫けた人は挫けた人生になります。
 だけど、人の上に立つような成功がしたいという夢は、夢というより欲でしかなくて、そういうことを思うのは下品ですよね。

 

(2020年5月2日掲載)