第242回「思いっ切り遊んだことがない」

【質問】
 今まで思いっ切り遊んだ記憶がなく、「さあ遊んで良いよ」と言われると困ります。
 学校の休み時間や夏休み前が恐怖でした。常にスケジュールは真っ黒でないと安心できず、やることが決まってない、正解がないものがどちらかと言うと苦手です。
 自由な状態が辛いと言ったら贅沢な気がしますが、人生を豊かにするために楽しむ方法を知りたいです。ヒントを教えてもらえると嬉しいです。
 自分の答え:この質問をしている自分がかわいそうだと書いていて思いました。ディズニーに行っても幼い頃はパニックになった位どうしたらよいかわかりません(今は普通でいられます)

 
 

【お父さんの答え】
お父さん:
 こういう人、すごく多いですよね。
 正解がわからないと困る、という人は、幼い頃から習い事ばかりさせられてきた人に多いですね。能力開発とか含めて。
 もともと、人生を豊かにするための正解なんてないですから。いろんな答えは草花、木、動物、そういうものが持ってることが多いです。
 カメムシ見てて外に出たいのか家に入りたいのかどっちなのか、理解できない、どっちが正解なのかって考えていても無駄ですよね。
 フンコロガシ、ファーブル昆虫記で1番最初に出てきますけど、糞を転ばすのが上手。日本にも1種類います。その辺に落ちていたら転がしていく。自分の卵を産み付けるために転がしていく、ということなんですけど、必ずしもそうではなくてそれが楽しくてやってるんじゃないか、とも思う。昆虫を見てても人生の楽しみ方教えてくれる。

 僕はね、なのはなファミリーに身体こそありますけど、いつでもやりたいこともいっぱいあります。自由にしてもらえるなら、今だったらすぐに海に行きたい。魚を突きたい。山でも良い。山に行ったら手持ちの罠を全部しかけて、イノシシを獲りたい。シカでもいい。特に3本脚になっちゃったイノシシを捕らないとね。
 やりたいことはいつも複数あります。音楽もギターもやりたい。曲も作りたい、小説を書きたい、旅行記を書きたい、本も読みたい。常に読みかけの本があります。時間があったら読みたい。

 友達を作りたいと思ってないと言ったとき、寂しくなかったんですか、と聞かれたけど、寂しくない。小説の中に友達がいるから。著者と分かり合えている。友達が現実的に存在しているから、寂しいわけがない。なんていうんだろうな。未来に友達がいる、という感じ。そのための準備をいつもしている。いつ、どうやったら幸せになるのか、まだ見ぬ誰かと絶対に出会える、と思っていて、すっごく楽しみ。そのために準備することが。だから、過去の友達と友達ごっこしてる暇がない。

 今はさすがにこれだけ出会うべき人と出会っているよね。毎日のハウス・ミーティングじゃ足りないくらい、みんなと話したいこと、遊びたいことがある。お母さん一人だけでも、満足させるハードルが高いし。
 そんなこと考えると、遊びのための遊びは、しないほうが良い。遊んでいいと言われたらまず本を読みましょう。準備できてない人はね。
 いつも言ってるけど、代々木公園に子供連れの家族が来て、子供が走り回る姿をみると、どのくらいの広さの家に住んでいるかすぐにわかります。4畳半くらいのスペースを子供はクルクル走っている。自由に走って、と言われても最初は4畳半分のスペースしか走れない。自由に絵を描いていいよと言われても、内側に何もなければ描けないのが当然です。
 僕は、「自由」と「個性」という言葉が大嫌いです。基本ができてないのに個性もへったくれもあるか、ということです。人間としての基本を作りたい、作りたいで生きてきて、30くらいまでなってもまだできていない。そのために本を読んだ。
 「自由」である前にまず「規律を守れる人であるかどうか」。誰でもどこかの世界に所属して生きている。どの世界にも、どの会社にも、規律というものがある。
 ほんとの自由なんてものは、ないですよね。それぞれの国には法律や、伝統、習慣があって、まったく自由にしていいところはどこにもない。国、会社、組織、地域社会という規律の中で生きてる。

 問題はこの人ですね。
 もし、ほんとに東京ディズニーランドにいって困らないためには、勉強してください。ディズニーランドの楽しみ方という本はたくさん出ているんじゃないかな。そして、ディズニーランドに行ったなら、さも自由に遊んでいるように、実は勉強したとおりに遊ぶ。それが一番です。何事も、まずは先達に教えてもらう楽しみ方を楽しんでみる、というのが早道でしょう。
 生き方も教えてもらう。デタラメな生き方ではなく、いい生き方をしたいなら、その道の先達に教えてもらうということなんですよ。
 みんな自由に生きてると思わないほうがいい。ほとんどの人は後悔したり、迷ったりしながら生きている。
 その良い生き方を学んだ人ほど、どう生きるか、いい判断ができやすい。いまを考えてみると、上手な生き方の先生は、なかなか目の前にいないよね。
 ほんとに人間としてよく生きられるように、という親の願いで子供達は習い事をたくさんさせられるけど、特定の能力を身に着けるためだけの習い事が先行して、それに追われてしまうから、遊ぶ時間さえなくなり、人間として生きるノウハウが欠落してしまう。それが子供を困らせている。
 人間としてのノウハウじゃなくて昆虫のまねができたり、動物のことをよく知っていて動物のまねが上手な人が、むしろ人間として最高級の生き方ができるかもしれない。誰もそうですが人間としてのノウハウの積み重ねで、人間らしくなってるんですよ。だから上手に人間をやれる人っていうのは、人間のことも知ってるけど、昆虫もよく知ってるという人が多いんじゃないかな。
 
 
 

(2020年3月26日掲載)