特集-ウィンターコンサート2019

衣装物語

衣装部とは

 なのはなファミリーの衣装部の活動は様々です。ウィンターコンサートで、初めから最後まで、どの衣装を誰が着るのかという段取りはもちろん、新曲のダンス衣装、役者衣装などの考案も、中心となり作っていきます。ステージの世界をより魅力的に、具体的に、華やかに彩ります。
 ほかにも、イベント出演のときの衣装、なのはな内でのイベントの時にも、より楽しむために、華やかに、たくさんの衣装を使えるようにしています。
 衣装部屋もあり、これまでのコンサートやイベントで使われてきた、数えきれないほどの衣装が置かれています。

 私は衣装部をとおして、衣装以外にもたくさんのことを得ることができると思っています。コンサートを通し、仲間とここまでできたことは大きな成功体験で自信です。多人数の衣装を把握し、配色やつながりで衣装を考えることには統合力が必要とされます。
 どこまでもあきらめずに、美しい衣装にたどり着くまで信じて求め続けます。難しいところもあるけれど、だからこそ、喜びとやりがいを感じます。
 今回のコンサートでも、なのはなファミリーのステージを作る1人として自分たちにまかされた役割に誇りを持ち、取り組みました。

 

〈舞台背景のご紹介は衣装部長の、はるかちゃんが担当します〉

 

バッド・ロマンス


『バッド・ロマンス』

 

 なのはなファミリー、ウィンターコンサート幕開けの大切な一曲でした。バンドの演奏者を除くほぼ全員が踊りました。幕開けの第一印象となる衣装、そして前半の大きな土台となる衣装でした。
 全体は、3パターンの衣装、それから役者衣装で構成しました。レディ・ガガのプロモーションビデオからもインスパイアされ、白い全身タイツのような、なのはなで「デコチュウ」と呼ばれている衣装をぜひ使いたい、という曲でした。
 デコチュウを使った衣装、タヒチアンヒップフリンジを使った衣装、白に統一された衣装のなかにアクセントとして赤と黒を入れる衣装を考えました。
 デコチュウ、タヒチアンヒップフリンジを使った衣装は、シンプルでした。あまり冒険をしていない、スタンダードな使い方をしました。曲のインパクトと比べると、とても洗練されたきれいな衣装でした。
 デコチュウは、頭からつま先まで真っ白で、全身タイツのような衣装です。この衣装の考案を始めたとき、一見とても変わっていて不思議な衣装をどうやって格好よくしようか、魅力的にしようか。考案していて、どうにもアイデアが降りてこない、着こなすことができたらどこまでも可能性が広がっていくだろうに。そう思いました。

 なかなか良いと思える衣装を考えられないでいたときに、お母さんと衣装部のみんなで応接室に集まりました。「これとこれと、これ」お母さんが使いたいと言ったアイテムは数えきれないほどある衣装のなかで、たった5、6でした。
 たくさんの衣装がそろった衣装部屋に行き、衣装考案をする。そうじゃない。考案したい曲、ダンスの世界を知り、だったらこのアイテムを使った衣装を考えたいんだ。そうやって、衣装を作っていくんだよ。
 とお母さんが教えてくれました。お母さん自身が、やって見せてくれました。お母さんの見ている世界にすこしでも近づきたい、精いっぱい、自分の心も頭も尽くして、誠心誠意やりぬきたい、と思いました。
 デコチュウ衣装はデコチュウを着て腰に紺色のシフォン生地のマントを巻きました。頭の横には仮面をつけました。みんなに着てもらったとき、前から見てくれたお母さんやあゆちゃんが、どこかの王子様みたいだ、と言ってくれました。頭の横についた白い仮面が『バッド・ロマンス』の世界観を引き立てるようでした。

ネバー・ギブアップ


〈『ネバー・ギブアップ』〉

 

 『ネバー・ギブアップ』のダンス衣装は、新曲のなかでも早い段階から候補の衣装が決まっていた曲でした。その衣装は、今年新たに取り入れたアイテムを使った、アラビアン風の衣装です。ダンサー1人ひとりが、赤、青、水色、黄色、ピンク、鮮やかな衣装をまといました。とてもかわいくて、魅力的な衣装でした。
 しかし、ダンスが完成してみると、変わっていくフォーメーションによって、衣装の色の配置、バランスを、どんなときも美しくみせることはとても難しかったです。この曲は、卒業生のりかちゃんが振り付けてくれて、りかちゃんも一緒に踊ってくれました。コンサートまでに、2回か3回、全員がそろって衣装を着て踊る機会がとても貴重でした。
 どの衣装を考えるときでも同じですが、全員がそろって見えるものと、そうでないのでは、見え方がまったく違ってきます。ホール入りの1週間ほど前から、やはり全員で衣装を着ると、見え方の印象が違ってくる、まだ、もう一息、もっと良くできるはずだ、そう思って試行錯誤していきました。お父さんとお母さんが、色の並びを見てくれました。どうしても、妥協が必要なところに突き当たりました。

 衣装を着ての通し練習の前日の夜、お母さんが、お父さんのお誕生日会のときに考案した衣装の写真を見せてくれました。
 お父さんのお誕生日会には、各チームがウィンターコンサートで演奏する曲のなかから1曲を選び、衣装や曲の演出などを考えて発表します。なのはなファミリーのお父さんのお誕生日会はお父さんのお祝いの場であると同時に、ウィンターコンサートの衣装や演出が生まれる場でもあります。
 「フェルメールの絵画、真珠の耳飾りの少女になって踊るんだよ」そうお母さんは言いました。今まで考えてきた衣装とは、まったく違うけれど、そこから感じる世界観がぴったりだと思いました。
 次の日の通しには、お父さんのお誕生日会から生まれた、新たな衣装でのぞみました。ダンサーのみんなが協力してくれて、着ることができました。色味や全体的なバランスは、もっと改善できる、と思ったけれど、前から見させてもらって、(これでやりたい) と思いました。
 ホール入り前、最後の通しの日に、卒業生のりかちゃんも帰ってきてくれて、はじめて5人がこの衣装を着て踊るところを見ました。そしてこの衣装で本番を迎えることが決まりました。

 この衣装で、一番魅力的なのが、真珠の耳飾りです。この衣装は、フェルメールの絵画『真珠の耳飾りの少女』がモデルです。『モナリザ』『最後の晩餐』、コンサートの中でも出てくる有名な絵画を残したレオナルド・ダ・ヴィンチが登場すること、ジャンとキョウコが美術館を訪れるシーン、そこからインスパイアされてできました。絵画の中の少女が、ダンサーとして登場する、とても魅力的なアイデアだと思いました。
 真珠の耳飾りは、『ネバー・ギブアップ』のダンサーのさやねちゃんが協力してくれて作ることができました。素材はコンタクトレンズのケースです。コンタクトレンズのケースの丸いくぼみの部分をくり抜いて、真珠を表現するために白く塗りました。耳飾りをつけて踊ることができるように、つけ方も工夫しました。
 頭につけていたのは、いつもはスパッツとして着ている衣装と、タヒチアンヒップフリンジという、腰につける衣装です。タヒチアンヒップフリンジは、なのはなでは『ソーメン』という愛称で呼ばれています。とくにソーメンは、頭にまく、フリンジの部分を三つ編みにする、今までにない新しい使い方でした。『真珠の耳飾りの少女』が頭に巻いているターバンを、再現しました。

ビート・イット

 

 

 「ビート・イット」の衣装は、お父さんのお誕生日会で生まれた衣装です。
 ビート・イットの衣装は、仮面作りに力を入れました。もとは白いスポンジで、それを形に切り取って、グルーガンを使った装飾、金色に塗るといった行程を経て作りました。ただ金色に塗るだけでなく、骨のような形の部分は、縁を黒く塗って輪郭をはっきりと見せることで印象を強く見せました。仮面の間から目がのぞくと、「ビート・イット」の雰囲気が出ていると思いました。

 衣装は、全体が黒と赤、グレーで統一され、シンプルだけれど格好良い衣装にしました。
 ギターソロをステージ中央で演奏するギターリスト2人の衣装もポイントです。なおとさん演じるレオナルド・ダ・ヴィンチと、バンドメンバーのまえちゃん。レオナルド・ダ・ヴィンチの衣装は、シンプルにタイトにまとまった衣装とは対照的なゆったりとした形で肩のシルエットやドレープの美しさが魅力的な衣装でした。レオナルド・ダ・ヴィンチの衣装に合わせてまえちゃんの衣装を考えました。足下まである丈の長いシルエット、ウエストの部分をストールで結んで変化をだしました。

 この曲は最後のサビになるとコーラスをしていたメンバーも加わり大人数での迫力のあるダンスへ変わります。衣装を考えてくる中で、ダンサーと2人のギターリスト、コーラスの衣装が並んだときのバランスが難しい曲でした。ダンサーの衣装はシンプルでしたが、ヒールのあるブーツ、金色の仮面、銀色の手袋、少しずつアクセントになるようなアイテムを取り入れることで、他の衣装と調和しながらも引き立つ魅力的な衣装にすることができました。

『シャンデリア』

 

「コンサートで一番最後の曲、納得がいくまで、これしかない、って思えるまで何回でも変えていきたいんだ」とお母さんが話してくださった曲でした。
 真ん中で、精霊の赤い衣装を着たれいこちゃんがのびのびと自由に踊っています。周りを囲む白い衣装のみんなが、そんなれいこちゃんの鼓動となり、踊ります。
 『シャンデリア』の衣装のイメージは、まえちゃんの作ってくれたコンサートのチラシの女の子でした。精霊のような存在感、透明感のある寒色、白いスカートを使った衣装です。考えるにあたって、大人数の衣装と合わせて、真ん中で踊るれいこちゃんが引き立つような構成にしたいと思いました。
 精霊のれいこちゃんは、赤い衣装をまとって踊りました。みんなで一つだけれど、れいこちゃんが映えるように、と思って、できるだけ周りの衣装の色を少なくしました。コンサートで表現してきた、なのはなファミリーの気持ちを全面に出す曲、神様に祈るような、一点の濁りもない透明で美しくきれいな心が見えるような、白に統一された衣装になりました。

 白を基調とした衣装のポイントは、スカートです。チラシの女の子をイメージし、踊ったときにふわっと広がるスカートのシルエットがきれいでした。頭の横についた白い仮面もアクセントになっていました。踊りながら見える、衣装の変化が奥行きをつけました。
 腕につけた白いシュシュは、今回のコンサートで使うために制作をしました。シフォン生地の布を使い、ひとつひとつ縫いました。腕につけた時のボリューム、シルエットにもこだわり、形も工夫しました。

 お母さんの、「納得がいくまで、これしかない、って思えるまで何回でも変えていきたいんだ」という言葉があったからできました。なのはなファミリーの一員として、仲間として、まだ見ぬ誰かに出会うためにやりたいと思いました。
 どこまでも進化し、変わっていくことが嬉しかったです。そうさせてもらえる、みんなと作っていくコンサートの過程がかけがえのない時間だと思いました。みんなの力で作ることができました。

明石小次郎

 

 明石さんの衣装の魅力は、ぐるぐるの渦巻き模様の赤いシャツと黒いズボン、耳のついた黒いベレー帽にあります。渦巻き模様の赤いシャツは、明石さんを演じたなおちゃんのお気に入りのアイテムです。明石さんの衣装を考えるときに見つけたシャツです。黒い渦巻きのズボンも、シャツに合わせて柄が統一されています。
 同じステージに立ち演劇をする精霊の衣装などとは違い、古美術商の店主兼探偵という役柄で、見た目にキラキラとしたアイテムを使うような衣装ではありませんでした。けれど、大切な役である明石さんの衣装を存在感のある衣装にしたいと思いました。

 使う素材は派手なものではないけれど、渦巻き模様という、目を引く少し変わったモチーフを入れることで存在感をだしました。
 2つの耳のついたベレー帽が、チャーミングなポイントです。はじめは鬼の角みたいに見える、と言って耳を折りたたんでかぶってみたりもしました。
 しかし、明石さんがその帽子をかぶっているのを見ているうちに、明石さんの帽子になっていきました。角だといわれていたのが、そうではなく明石さんの人柄が見えるポイントに変わりました。明石さんの気持ちの大きさ、優しさを感じさせてくれる、親しみやすくなるアイテムとなりました。

精霊

 

 精霊の3人の衣装は、赤、青、白の3色で考えました。考えるとき、レオナルド・ダ・ヴィンチの作った機械の精霊である、という共通点もあり、同じデザインで、色違いになるような衣装を考えました。
 人間ではない精霊、妖精のような雰囲気があったらいいなと思いました。ふわっとしていたボリュームのあるチュチュスカートを使いました。よくベリーダンスの衣装として使われるヒップスカーフというアイテムを首もと、胸、腰に巻き、豪華でボリューム感を出しました。ステージにたち、照明を浴びると、より存在感がありました。

 アカリの意志の強さや少しボーイッシュな部分を引き立たせる赤いヘアゴムと髪飾り、キョウコの上品な大人の女性をイメージした、青いバラの髪飾り、『セカンドワルツ』で登場するツバサの白い羽の冠。それぞれの精霊のキャラクターをイメージした髪飾りもポイントです。

レオナルド・ダ・ヴィンチ

 

 お父さんが書いてくれたレオナルド・ダ・ヴィンチの衣装のイメージをもとにつくりました。ルネサンス時代の衣装を意識しています。レオナルド・ダ・ヴィンチはおしゃれだったという情報を元に、はじめは深紅のガウンのような衣装にしたい、ということでした。

 制作したレオナルド・ダ・ヴィンチの衣装は、一枚の布から作っていて、広げると図書室に広げきれないくらいの長さでした。レオナルド・ダ・ヴィンチ役のなおとさんに協力してもらいサイズもオーダーメイドです。
 腰下のドレープは、ウエストにゴムを入れることで一気にひだの感じが増しました。肩には、クリアファイルで作った肩パッドを入れることで、レオナルド・ダヴィンチの風格や、強さを強調しました。

絵画たち

 美術館のシーンで、絵画になりきって登場した衣装は、どれも実際の絵画を再現できるように考えました。

 

〈笛を吹く少年〉

 ゆとりのあるシルエットの黄色いズボン、黒いボレロを使い、絵画の中の少年を再現しました。赤と黄色で統一した衣装で、ステージの上でも存在感がありました。
 頭につけた、王冠も魅力的です。金と赤で描かれている『笛を吹く少年』を見て、衣装部屋にあった、イギリスのお土産でいただいた王冠がぴったりでした。画の中の堂々とした少年の立ち姿と、衣装のきりっとした格好良さが合っていて、なのはなのみんなにも人気がある衣装でした。

 

〈ドガの踊り子〉

 ドガの踊り子の絵画を見ると、どの踊り子も首にリボンを巻いているのが共通していました。首にリボンを巻くことで、ドガの描いた踊り子であることを表現しました。
 バレリーナをイメージし、白いタイツ、白いふわっとしたスカートを使いました。

 

〈後半では、『最後の晩餐』の絵画のシーンや、
『モナリザ』『サルバトール・ムンディ』も登場しました〉


〈『最後の晩餐』〉

 


〈『モナリザ』〉

 


〈『サルバトール・ムンディ』〉

彫像

 センチュリー・アートのシーンでは彫像が印象的に存在していました。彫像のポーズは実在する彫像のポーズを再現しました。
 ポイントは全身、足のつま先から、頭のてっぺん、指先まで真っ白だということです。

 白い全身タイツのようなデコチュウを基本にして考案しました。指先まで真っ白に、彫像を表現するために手袋をしました。顔も、彫像を再現するために、真っ白な仮面をかぶりました。
 面白かったのは、全身真っ白で彫像になっているので、誰が彫像役なのかわからなかった、ということです。


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