山小屋便り

【山小屋便り10月号】「今が、私たちのウィンターコンサート ―― 目標に向かって突き進む、音楽合宿第1弾 ――」 るりこ

ウィンターコンサートまで、70日を切りました。3日間にわたる集中音楽合宿第1弾を行い、目標を定めて、楽器、コーラスの精度を上げました

12月7日に行なわれるウィンターコンサートに向けて、カウントダウンが動き出しました。

リビングと食堂の黒板に、ウィンターコンサートまでの日数と、週ごとの全体のテーマを掲げています。

第1週は、『コンサートに耐えられる体力と魅せる精神・中身を作ることを意識して誠実に練習や作業をする』をテーマに、みんなで筋トレやウォーキング練習での身体づくりを始めました。

脚上げトレーニングも加わりました

■目標を定めて

9月の中旬の3連休、音楽合宿第1弾を行ないました。音楽合宿とは、ウィンターコンサートに向けての楽器やコーラス、ダンスなどを集中して練習する期間のことです。合宿と名が付く通り、朝から晩までみっちり練習をします。

九月は畑作業も忙しいです。でも、音楽合宿と重なるように台風の影響で天候が崩れ、畑に入ることができなくなってしまったため、身も心も集中して室内での音楽合宿に向かうことができました。

合宿前夜の集合で、あゆちゃんがステップアップシートを配ってくれました。そこには、明日からの3日間のスケジュールと、楽器、コーラス、報告・連絡の3つのテーマに関する、今の自分の状況と課題、それを元にした音楽合宿の目標を書く欄が設けられてありました。

スケジュールに目を通し、それから1つひとつの項目に対する目標を掲げていきました。前日から、音楽合宿で何をするのかと、目標がはっきりしていると、明日からの音楽合宿に向けての気持ちが自然と作られていくのを感じました。

そして、音楽合宿第一弾の全体の目標は、「全体演奏『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』を合奏する」と、「新曲『シャンデリア』と『バッド・ロマンス』のコーラスとバンドの合わせをする」でした。

合宿1日目。まずは体育館に集まり、初めに3人1組になってOMTをしました。OMTでは、今日からの合宿で楽しみなことを話しました。心の中にあった思いを言葉にしていくと、自分が今感じている気持ちが見えてきました。わたしは今回の合宿のなかで1番コーラスを楽しみでした。自分のなかで、「○○が楽しみだ!」とはっきりさせると、さらにやる気が湧いてきました。

それから、柔軟体操・筋トレ・ウォーキング練習・発声練習に入りました。ウォーキング練習では、お父さんが指導してくれました。

そのなかで、お父さんが、「同じ歩いているでも、目的をもって歩いている人とそうでない人がいる」と言いました。

練習のときから、本番をイメージして、どういう場面でステージの上を歩いているのかという目的をはっきりさせて歩くと良いと教えてくれました。演技なのか、ダンスの出はけなのか、コーラスの出はけなのか、人によって目的は別々だけど、その目的があるのとないのでは得られるものが大きく変わってくることを教えてくれました。

私はそれを聞いて、練習のための練習にしてしまっていたと気がつきました。目的やイメージを持てていなかったと思いました。

ウォーキング練習の最後には、お父さんが、「みんな、きれいに歩けるようなってきた」と言ってくれました。毎朝のみんなとの積み重ねが形になってきていることが嬉しく思いました。

そのあとは、パートに分かれて、全体演奏の練習に分かれました。1日目の全体の目標は、『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』のAからFまでをパートで形にするでした。AからFまでが吹けるようになると、後半からは繰り返しが多いので、曲の大部分は掴むことができます。絶対に達成したい目標でした。

私が担当するフルートパートは、今回から新しい子が3人入り、全六人のメンバーで新鮮な気持ちで練習に向かっています。1人ひとりの段階は違いますが、パートリーダーのちさとちゃんが明るい空気で引っ張ってくれて、わたしは楽器練習の時間が好きです。

■1本の音になるまで

フルートパートは、初めに頭管部を使っての音だしを徹底してやりました。フルートは頭管部できれいな音が出せるようになることが、これからの演奏にも響いてきます。みんなの音が1本の音になるまで、集中してやりました。

それから、個人練習に分かれて、各自で譜読みを進めました。先へ先へと急ぎたくなる気持ちが出てきますが、、練習の初めに、さとみちゃんが、「1小節ごと吹けるようになっていく」ということを話してくれたことを思い出して、焦らずに、1小節ごとを確実に吹けるように練習をしていきました。

楽器練習の時間は楽しくて、時間が経つのが早いです。あっという間に感じたけれど、そのなかで集中して練習をすることができたので、何とかAからAからFまでの譜読みを終えることができました。初日1つ目の目標を達成することができたことは、自分にとって自信になりました。

午後からは、コーラス練習をしました。

1日目は、『ディス・イズ・ミー』の復習と、『グロウン・ウーマン』の音入れをしました。

『グロウン・ウーマン』は、これまでダンスのみでイベントなどでも演奏してきましたが、コーラスが入るのは初めてでした。

歌ってみると、リズミカルなテンポに合わせて、「hu!」や「hey!」などの明るい声が入ります。難しいところは、それらの音が裏拍で入るということです。タイミングを掴むのに苦戦してしまいました。

■ワンステップ上へ

15時半からは音楽室へ移動して、生バンドの演奏で『ディス・イズ・ミー』のコーラスをあゆちゃんに見てもらいました。

『ディス・イズ・ミー』はこれまで演奏を続けてきた曲で、改めて、あゆちゃんに見てもらいながら、みんなと、「オーオーオーオー」というフレーズを歌っていると、自分たちが戦士になったような力強さが湧いてきて、この曲が本当に大好きだと感じました。

『ディス・イズ・ミー』のコーラス練習で、私が印象に残ったことがあります。それは、「we are warriors」というフレーズを歌っているときでした。

そこは「ファ♯ラシシシ」の音で、アルトパートの私にとっては出しにくい音の高さで、これまで裏声で歌ってしまっていました。

それをあゆちゃんが、「そこだけ声が小さく聞こえてしまう。みんななら裏声じゃなくても出るはずだよ。怖がらないで」と言いました。

みんなと思い切り声を出してみると、本当に裏声じゃなくても音が出ました。しかも、その方が音が前に飛びやすくなりました。裏声じゃなくても声が出たとき、喉の奥につっかえていたものが取れたような気がしました。

これまでの私は、自分で自分をセーブしてしまっていたと思いました。出す声も自分で限界を決めてしまって、自分で幅を狭くしてしまっていました。

でも、限界を乗り越える勇気を出したとき、ポンと1つ上の自分に出会えた気がしました。そのことがとても嬉しかったです。

コーラスだけじゃなくて、こういうことは日常にもたくさんあるような気がしました。ウィンターコンサートに向かう過程のなかで、もうワンステップ上の自分を目指して、みんなのなかで殻を破っていきたいと思いました。

コーラス練習を終えたころには、歌いきった満足感でいっぱいで、気持ちよいと思いました。

練習は続きます。夕食後は、アルトとソプラノに分かれて、午後にあゆちゃんにおしえてもらったことを復習しました。

アルトパートのみんなで曖昧な部分も共有し合って、できるようになるまで何度も歌いました。浅いところで手を打つことはなくて、1人ひとりがちゃんとできるようになるまでやりました。

これからコンサートに向かって、アルトパートのメンバーで練習をする機会が増えていくと思いますが、最後まで諦めないで、みんなで高め合っていける練習にしていきたいと思いました。

■積み重ね

音楽合宿2日目。

午前はOMTから始まり、前日に楽しかったことと今日1日の目標を話しました。やりっぱなしの練習ではなく、OMTを通して、気持ちや目標を言葉にして整理することで、自分のなかに確実に積み上がっていくものを感じました。

また、仲間の目標を共有させてもらえることが嬉しく、みんなと一緒にウィンターコンサートに向かって進んでいける今の過程が私は好きだと思いました。

柔軟体操・筋トレで、私はこれまで以上に腹筋を鍛えることを意識しました。前日のコーラス練習で、大きくて太い声を出すには腹筋の力が必要だということを強く感じたからです。また、ウォーキング練習では、本番のステージでコーラスの出はけをしているイメージを持って歩きました。

1つひとつの練習やトレーニングに目的を持つことで、もっとこうしたい! こうなりたい! という意欲が湧いてきました。改めて、目標や目的を持つことの大切さを実感して、これからも意味のある練習をしていきたいと思いました。

また、この日から新しく腕立ての筋トレメニューも増えました。この積み重ねが形になって、最後には自信に繋がっていきます。どれも手を抜かずに厳しくやっていきたいです。

午前の3時間は、パートに分かれて全体演奏の楽器練習をしました。時間を十分にとって練習を進められたことが嬉しかったです。

■本番をイメージして

2日目の全体の目標は、『Fから最後までをパートで形にする』でした。楽譜にすると、約1枚と3分の1ほどありますが、大部分が前半の繰り返しになります。

フルートパートは時間を区切って、ウォーミングアップ、個人練習、合わせをしました。

フルートが担当するメロディラインは、後半に高音が多く出てきます。ファ、ミ、ソの♯など、私がまだ出したことがない音もあり、指使いや音出しに苦戦してしまいました。一音一音ゆっくり吹けば音が出るのですが、ピッチを上げると指がついていきませんでした。

後半からは、パートで合わせました。個人で練習するよりもみんなで合わせた方が、自分のできていない部分や曖昧にしている部分が明確になっていくのがわかり、課題が見えてきました。また、パートリーダーのちさとちゃんが奏でる音を聞いていると、出すべき音が1つしかないのだと思いました。

また、お父さんがパートを回って、指導をしてくれました。

お父さんが強調して教えてくれたことは、『姿勢』でした。楽器を構える姿勢から譜面台の高さまで、本番と全く同じようにしないと、本番になってやろうと思ってもできない、良い音も出ない、と話してくださいました。

練習だからという気持ちが少しでもあると、見え方で全部わかるのだと思いました。

「練習風景からお客さんに見てもらうくらい、美しく」というお父さんの言葉が心に残りました。練習のための練習にせず、どんなときも魅せる意識でいたいと思いました。

午後からはいよいよ、新曲『シャンデリア』のコーラスとバンド練習に入りました。

『シャンデリア』のコーラスは、Cメロの部分で歌詞を歌う部分があります。ボーカルのあゆちゃんが、「私でも難しい。みんな頑張って」と言うほど、コーラスが難しいです。それを聞いて、少し不安が出ました。

初めに、みんなで原曲を聴きました。歌詞を完全に理解することはできないけれど、曲に込められたせつなさと、そのなかにある希望のようなものを感じました。心が動かされるものがあって、『シャンデリア』を歌えるようになりたい! なのはなの『シャンデリア』にしたい! と思いました。

■曲のストーリー

いきなり歌詞を歌おうとすると難しすぎるので、さとみちゃんとみくちゃんがキーボードを弾いてくれて、音程をとれるようになることを目標に練習をしました。

それからその音程に合わせて、歌詞を入れていきました。段々と口が回るようになっていき、歌詞が音程にはまっていきました。頭で覚えようとするよりは、何度も何度も繰り返し歌って、身体で覚えていくほうが良いと思いました。

それから音楽室へ移動して、バンドメンバーと一緒に練習をしました。今回もあゆちゃんが前で見てくれて、部分ごとに分けてポイントをアドバイスしてくれました。

そのなかで私が心に残った言葉が、「曲のなかにストーリーをつくって」ということでした。

全部同じ気持ちで歌うのではなく、シーンを替えて歌っていくのだと教えてくれました。それを聞いて、私は全部に力を入れて一生懸命歌っていて、この曲で伝えようとすることを忘れていたと思いました。

あゆちゃんが、Cメロの部分は、大聖堂のなかでステンドグラスに向かって祈りを捧げるようなイメージで歌うと教えてくれました。イメージがあるのとないのでは心の込め方、声の出し方が変わってきて、歌いやすくなりました。

初めは難しいと不安だった『シャンデリア』が、どんどん自分たちのものになっていくのを感じました。

あゆちゃんが、「良い!」と笑ってくれるたび、あるべき形に形作られていくようでした。また、バンドメンバーのみんなが、曲の途中からでも臨機応変に対応して演奏してくれて、なのはなだからできるものだと思いました。

その場にある空気が、ウィンターコンサートに向かう今だけのものでした。この一瞬が、これからずっと宝物になっていくのだと感じました。

夜は、アルトとソプラノに分かれて、『グロウン・ウーマン』と『シャンデリア』を詰めました。

アルトパートでは、あゆちゃんが来てくれて、『グロウン・ウーマン』を修正しました。歌う部分を区切ったり、音の終わりを改善して、歌いやすくなりました。

■合宿最終日

合宿3日目。この日は3日間の音楽合宿の積み重ねを形にする、集大成の日です。朝から少しの緊張と、そのなかに膨らむ楽しみな気持ちの両方がありました。

柔軟体操を終えてから、パートごとに分かれて練習をしたあとに、全パートが音楽室に集まりました。音楽室へ入ると、パーカッション隊の人が演奏をしていて、その賑やかな音に気持ちが一気に高まりました。

サックス、トロンボーン、トランペット、クラリネット、フルート、パーカッション、大正琴、ベース、キーボード…、全パートが集うと、音楽室がギュウギュウになりました。 始めにお父さんが、『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』の意味は、『ある小さな夜の曲』だと教えてくれました。「繊細だね」とお父さんが言いました。

あゆちゃんの指揮で第1回目となる合奏が始まりました。

フルートは1番前列で演奏します。後ろからたくさんの楽器の音が響いてきて、後ろから飲まれるような気持ちでした。そのなかで私は、2日間で習得できた部分を懸命に吹きました。

演奏を聴き終えたお父さんの評価は、「どの楽器もとにかく吹こうと必死で、全体が慌ただしい感じがする。1番聞かせたいメロディラインがわからない」でした。

そこから、お父さんとあゆちゃんが初めから区切りながら、指導してくれました。

メロディラインを引き立たせるために、自分が吹いているパートはどういう役割をしているのかを意識するようにと、お父さんが言いました。主旋なのか、それとも支えとなるのか。同じ楽器でもファーストとセカンドなら、セカンドは少し押さえを聞かせて、あくまで高音のファーストが引き立つように吹くのだと教えてくれました。

また、私が担当するフルートはメロディラインが主となるので、高音の音ほど大きく出すようにと教えてもらい、これからの課題になりそうだと思いました。

お父さんとあゆちゃんがアドバイスしてくれて修正していくと、どんどん全体が変わっていきました。

最後の合奏を聴いたお父さんは、「初めと全然違う。とても良くなってきた」と言ってくれました。

個人的にはまだまだだと感じたけれど、みんなとの初合わせが上手くいったことが嬉しかったです。

音楽合宿の全体演奏の練習の過程を通して、私は自分なりの目標を達成することができました。

合宿前はほとんど譜読みもできていない状況で、本当に3日間で合わせまで形にすることができるのだろうかという不安がありましたが、初めからできないと決めつけないで、絶対にできる、やるんだという気持ちで臨もうと思いました。

1日、2日と、全体で決めた目標を達成するたびに、自分の小さな成功体験になっていきました。みんなの大きな流れにのって、みんなと一緒に進んでいこうという姿勢が、ウィンターコンサートに向かう過程で1番大切なような気がしました。こういう気持ちや成功体験を、これからもっと積み上げていきたいです。

午後からは、みんなで『シャンデリア』の確認をしてから、約1時間、個人練習に分かれました。

原曲を何度も聞いて、それからコーラスを復習しました。みんなのなかにいるとできているような気持ちになっていたけれど、実際はみんなに頼っていたことに気がつきました。ソロでも歌えるくらいになろうという気持ちで、一音一音の音を確認しながら、個人練習を詰めました。

■気持ちを表現する

全員が体育館に集まり、バンドとコーラスの初合わせをしました。ステージの上にバンドメンバーが並び、コーラス隊の私たちは向かい合うようにして立ちました。お父さんが音の調整もしてくれました。

曲が始まると、私はその世界に入りました。演奏するときに感じる楽しさや気持ちの高まりは、文章にすることができないです。演奏している側でしか感じられない喜びだと思います。

私はこの3日間であゆちゃんが教えてくれたことを全て表現するんだ! という気持ちで歌いました。鳥肌が立ちました。

曲が終わると、聴いてくれていたお父さん、お母さん、なおちゃん、ちさちゃんが拍手をしてくれました。

お父さんは、「すごく良いね。これが本番でもいいくらいだよ」と笑ってくれました。とてもとても嬉しかったです。

最終日の夜は、ミーティングで今回の音楽合宿の成果について、お父さんとお母さんが話してくれました。改めて、ウィンターコンサートをする意味も聞かせてもらいました。

私は音楽合宿第1弾を通して、ウィンターコンサートに向かう気持ちが固まりました。

今回の音楽合宿は常に目標が明確でした。あゆちゃんが用意してくれたステップアップシートがあったおかげで、全体の目標も個人的な目標も常にあって、自分が向かうものが見えていました。

合宿の合間にOMTができたこともよかったです。自分の気持ちの整理もできて、1日1日が確実に積み重なっていることも感じられたし、確実に3日前の自分から成長することができました。

そして、音楽合宿に向かっているなかで、台所さんやりゅうさんが美味しい食事を用意してくれていて、体力やエネルギー十分で練習に集中することができました。

たくさんの人に支えられて、自分たちはコンサートに迎えることに感謝したいです。

ウィンターコンサートまで時間は限られています。あと何回、合宿ができるかもわかりません。1回1回の練習が1度きりの本番だと思って、どんな作業や練習にも目的や目標をもって意味のあるものにしていきたいです。

ウィンターコンサートに向かう今の過程を大切にします。