第5回『ガーベラ』

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

僕が小学5年生のとき、1人の女の子が東京から転校して来た。
その子が何も話す前から、東京の大都会の雰囲気が漂っていた。
もちろん、日本人で何も変わったところはない子だったけれど、
その子は同級生の子供達の中に埋もれるようにまぎれていても、
いつどんなときでも、その子をひと目で見つけることができた。

その子のことをずっと想っていたのに、
田舎道で、その子とバッタリ出会ったことも会ったのに、
僕は一度も、その子に想いを伝えることができなかった。
あれから、何十年の年月が流れ、おそらくその子も僕と同じ年だ。
でも、今でも、まざまざとその子の姿がまぶたの裏に甦る。
特に目立つようなところもないのに、
チャーミングで、僕の心をぎゅっと締め付けて、今も離さない。
そう8月2日生まれ、だったね。
ガーベラ。
君の名は、ガーベラ……。