山小屋便り

【山小屋便り7月号】「父の日に贈る、お父さんへの『発信』 ―― 2部にわたる、卓球大会と夜の会 ――」 るりこ

お父さんへ、日頃の感謝の気持ちを込めて、2弾にわたる父の日の会を開きました。

第1弾は、大好きなお父さんと遊びたい! ということで、お父さんが大好きな卓球で、みんなで卓球大会をしました。前回の卓球大会がとても盛り上がり、またみんなで卓球がしたいという声が上がっていました。

父の日の会を通して、お父さんと一緒に卓球ができることが嬉しく、私もこの卓球大会を楽しみにしていました。

会場となる体育館には卓球台が3台セットされ、A〜Cコートのなかで全12チームが戦う、トーナメント戦をしました。

試合前に、卓球部の子が基本のルールやラケットの持ち方を教えてくれました

まず、ちさとちゃんがチーム分けを発表してくれて、チームごとに分かれました。5人で1チームです。私は、お父さんお母さんチームになりました。

メンバーのなかにお父さんがいてくれるだけで、大きな安心感と勝ち進んでいける自信と勇気が湧いてきました。また、父の日だから、私自身もお父さんが率いるチームに貢献できるプレーがしたいと思いました。

ルールは1セット21点マッチです。各チーム5人が1対1で戦い、3セット取ったチームが決勝に進むことができます。さらに今回は、特別ルールも設けられました。それは『ハンデ得点』です。負けたチームを有利にするため、前試合の結果の得点差の半分が次の試合に持ち越されるというルールをお父さんが考えてくれました。

例を挙げると、Aチーム対Bチームの1セット目が21対15で勝負がついたとします。そうしたら2セット目は、21−15の得点差6の半分の点数、〝3〟がBチームに入り、2セット目は0対3から試合が始まる、ということです。

大勝ちをしても次の試合のハンデ得点が大きくなり、勝つことが難しくなってしまう。反対に負けてしまったとしてもハンデ得点が入り、チームとしては有利になる場合があるのです。

■チーム一丸となって

単に勝ち負けの1本勝負じゃなく、次の試合展開を、次に戦うチームの子を思った、頭と心をつかった試合運びが必要になってくる勝負が求められます。卓球の得手不得手に関係なく、チーム一丸となってみんなが楽しめるように工夫してくれた実行委員のちさとちゃんや、ルールを考えてくれたお父さんの気持ちが嬉しかったです。

チームに分かれて作戦を練りました

1試合目が始まりました。お父さんお母さんチームは、1回戦はゆりかちゃんチームと戦いました。挨拶をする前に出場順を決めます。出場順も勝利を大きく分けます。メンバーのなかで卓球経験者の子と初めての子を交互に交ぜて、ハンデ得点のことも考慮をした順番でお父さんが考えてくれました。

「それでは、試合を始めます。1番の人……」。審判の進行で、コートを隔てて両チームが整列します。そして1番目に戦う人から挙手をして、戦う相手を確認しました。手を挙げるまで誰と戦うのかわからないドキドキ感に緊張が高まりました。

1セット目は、私たちのチームからはまさひろさんが出場しました。卓球が初めてのまさひろさんは始めは慣れないラケットやボールに苦戦しているようでしたが、次第に感覚がつかめてくると、サーブが入るようになったり、相手の球を返せるようになっていきました。

■お父さんの一言に

まさひろさんに得点が入ると、応援している私たちは拍手をしたり、お父さんが、「いいぞ!」と声をかけました。試合は残念ながら負けてしまいましたが、次の試合に持ち越されるハンデ得点が入りました。

2セット目はお母さん、3セット目はけいたろうさん、4セット目は私が戦いました。相手はみくちゃんでした。みくちゃんはボールを左右に振ってきたり、返しにくい左のポケットめがけて打ち込んできました。

点数は拮抗しました。私は勝っても負けても点数が離れすぎるのはよくないと思い、試合に本腰を入れられないでいたら、横で応援をしてくれていたお父さんが、

「るりこ、お父さんにハンデは要らないぞ。勝っていけよ」

と声をかけてくれました。その一言が心強く、お父さんが頼もしいと思いました。それからは勝負に集中することができ、勝つことができました。

お父さんがアドバイスや作戦を教えてくれました

5セット目は、お父さんが戦いました。お父さんは軽く打っているように見えるのに、鋭いコースが決まったり、あるいは回転がかかった球を出したりしていて、とても強かったです。でもお父さんが強すぎて、次第に点数差が大きく開いていってしまいました。

次の試合の流れが危うい……! と思っていたら、急にお父さんがコースを外したり、ネットをし始めて、相手におまけの点数をあげました。それまではお父さんに点数が入ると、けいたろうさんと一緒に拍手をして喜んでいたのに、今度はお父さんがミスをすると思わず拍手をしてしまう、という反対のことが起きていきました。

そんな状況に、観戦しているみんなからも笑いが起こりました。点を入れても喜び、落としても喜び……普段のルールなら見られない光景に、たまにはこういう試合もありかもと思いました。

1試合目は、4対1で勝利することができました。

■みんなと積み上げる1点

他のチームの試合を観戦するのも楽しかったです。お互い拮抗する試合もあれば、大きく点数差が開く試合もありました。みんなの意外な一面を知ることもできて、やっぱりスポーツはやればやるだけ、楽しさや感じ方が変わってくるように思いました。

2試合目も同じ作戦、同じ順番で戦いました。自分の試合の番がきて、コートに立つと緊張しました。でも、そのたびにお父さんが、「勝つと思うな」「入れていけ」と落ち着いた声でアドバイスしてくれたり、点数が入るとチームの子が拍手をしてくれて、自分1人で戦っているのではないと思うと安心して戦うことができました。お父さん、お母さん、けいたろうさん、まさひろさんと積み上げていく1点、1勝が誇りに思いました。

隣のコートからも、「○○ちゃん! 頑張って!」と、大きな歓声が響いてきて、どの子も真剣に勝負をしている空気が体育館いっぱいに満ちていました。

決勝トーナメントでは、卓球部のなおとさん対お父さんの卓球経験者同士の試合も繰り広げられ、応援にさらに熱が入りました。

なおとさんがサーブに回転をかけていたり、お父さんの勢いのよいスマッシュが何本も決まりました。ボールのスピードの速さに目が追いついていかないほど打ち合うテンポが速く、次はどんな球が出てくるのだろうと、先が読めない試合展開に目が釘付けでした。 どちらかの点数が決まるたび、会場が湧き上がります。外は強い雨が降っていましたが、そんな雨音も打ち消すくらいの盛り上がりでした。お父さんとなおとさんがプレイする姿から、卓球の奥深さや面白さを教えてもらったように感じました。

お父さん対なおとさんの試合が白熱しました
お父さんのカットサーブやスマッシュが決まります

■真剣勝負の決勝戦

私たちは決勝まで勝ち進み、決勝戦はお父さんお母さんチーム対有志チームになりました。有志チームとは、決勝トーナメントには進めなかったけれど、我こそは! という卓球が得意な子が集まって結成された最強チームです。ハンデ得点はなくなり、勝負1本の真剣勝負となりました。それまでとは違って、会場には静けさがあり緊張が増しました。

3コートをつかって、一斉に3試合がスタートしました。さすがにこれまでとは違って、お父さんもお母さんもどの子も、先が読めない厳しい試合となりました。お父さんは卓球部のさきちゃんと戦いました。それまでは楽々と決まっていたお父さんのスマッシュも、さきちゃんは打ち返してきます。応援をしていても身体に力が入り、(お父さん、頑張って!)と祈りました。

優勝は、有志チームでした!

私は決勝戦でまゆこちゃんと戦いました。まゆこちゃんが全力で1球に向かう姿から、私も刺激を受けてやる気が上がりました。勝ち急ごうとすると手に力が入ってしまってラケットを強く振りすぎてしまい、ミスに繋がります。私が1点をとると、今度はまゆこちゃんが1点をとって……と、試合は拮抗しました。

1点1点が進むたび、心臓が高まりました。最後は19対20になりました。まゆこちゃんが左右に振ってくるボールに必死に食らいついたけれど、(あっ、まずい)と思った瞬間、ボールがコートを飛び越えてオーバーをしていまいました。

あと少しで悔しかったけれど、自分のなかでは最善を尽くすることができたと思いました。だから、悔しさ以上に楽しかった気持ちで胸がいっぱいで、清々しさがありました。最後はまゆこちゃんと笑顔で向き合って、お互い、「ありがとうございました」と言いました。

総合結果は1対4で有志チームが優勝し、お父さんお母さんチームは準優勝でした。お父さんが、「卓球はやっぱり楽しいね」と笑ってくれました。お父さんの笑顔とみんなの笑顔が体育館に溢れました。

卓球大会を通して、お父さんとたくさん遊んで笑って、身体を動かして、そして卓球の楽しさを知ることができた時間になりました。

■父の日、第2弾!

さらに次の日の晩は、父の日の会第2弾が開かれました。

当日の朝、なおちゃんとまえちゃんが、

「今夜の父の日の会で、ドレスコードを決めたいと思います。黄色かオレンジの差し色となるアイテムを身につけてきてください」

と伝えてくれました。

「何を着ようかな」「黄色かオレンジのもの?」

その日は夜のドレスコードのことで話題が持ちきりで、ちょっとオシャレをして父の日の会を迎えられることが嬉しく思いました。なかには、黄色いお花紙をつかって、お花の飾り物を手作りしている子も見られました。

会は図書室で行なわれました。前日からまえちゃんたちが飾り付けをしてくれていて、なかに入ると、黄色やピンクの布が天井から吊られ、その前に半円状にお花の置物が並べられていました。父の日に向けて卒業生から贈られてきた花束も置かれてあって、色鮮やかな会場に胸がときめきました。

そこへみんなが集まります。ワンピースを着ている子、手作りのお花の髪飾りを身につけている子、なのはなからお仕事へ通っている子たちは頭のてっぺんにお揃いの黄色とオレンジのマリーゴールドを差して並んでいて、その姿が宇宙人を連想させて面白かったです。

なのはなバンドのキーボードを担当する子たちが、『サマー』を演奏してくれました

みんなの気持ちが高揚し始めたころ、お父さんとお母さんの入場です。それに合わせて、この日に向けて準備をしてきたという、みくちゃんとはるかちゃんとさくらちゃんが、キーボードで『サマー』を演奏してくれました。

■伝えたい思い

3人の演奏を聴くお父さん。パリッとしたシャツを着た姿が凜々しく見えました。その横でお母さんが静かに涙を流していました。みくちゃんたちが奏でる音色が、胸のなかに優しく染みこんで、じんわりと広がっていきます。その一音一音に、みくちゃんたちがこの曲に込めた気持ち、お父さんとお母さんに届けたい思いがつまっているのを感じました。

言葉はなくても、伝えたい思いさえあれば十分伝わるんだと思いました。会場にその空気が充満し、優しい音色に目頭が熱くなりました。あたたかくて、穏やかで、お父さん、お母さん、みんなを傍に感じた瞬間でした。

「ねえ、見て見て! これ、お父さんスタイル!」。

演奏のあとは、お父さんの服装を真似たなおちゃんとまえちゃんの寸劇で会が始まります。2人のテンポよい掛け合いに、会場にいるみんなも引き込まれていきました。

お父さんのモノマネをした、なおちゃんとまえちゃんが司会進行をして盛り上げてくれました

「お父さんは私たちにいつも新しいことを発信してくれる。だから今日は、私たちがお父さんに発信しよう!」

今回の父の日の会のテーマは、『発信』だと、なおちゃんとまえちゃんが伝えてくれました。

早速1つ目の『発信』は、3組の有志の子による演奏です。1番最初にパフォーマンスを披露してくれたのはつい先月なのはなに来たばかりの、プリマのみほちゃんによるクラシックバレエの踊りでした。

お父さんへの『発信』に、3組の子たちがそれぞれの特技を演出しました

この日がみほちゃんのステージデビューです。白いドレスと、白い羽がついた頭の飾り物を身につけたみほちゃんは、首筋が真っ直ぐ伸びて、とてもきれいでした。みほちゃんが一礼し、曲と共に踊り始めました。私はこれまでバレエを一度しか見たことがなく、それもまだ幼い頃のことだったのはほとんど覚えていません。目の前で踊るみほちゃんが高く飛び、華麗に踊る姿に目が釘付けになりました。みほちゃんが大きく表現する姿に、会場が広く見えました。

みほちゃんの踊りをみたお母さんは、「コンサートでも活躍してね」と言いました。照れながらも頷くみほちゃんに、なのはなに新しい風が吹いた気がしました。

■オリジナルの替え歌で

2組目はまことちゃん、ゆいちゃん、ひろこちゃんによる、オペラとアコースティックギターの演奏です。アコースティックギター教室のメンバーのゆいちゃんとひろこちゃんが演奏する『スカボロー・フェア』に合わせて、長いドレスを着飾ったオペラ歌手、まこと・カラスとなったまことちゃんがお父さんへ思いを込めたオリジナルの替え歌を歌いました。

なのはなからお仕事へ通うまことちゃんが今感じている気持ちを歌にのせて、堂々と大きな声で歌います。まことちゃんの姿から、まことちゃんがなのはなを大好きな気持ち、お父さんとお母さんを信じる気持ちが伝わってきました。歌詞には、ちょっぴり笑いも含まれていて、3人の演出に場の空気が和みました。

3組目は、なおとさんとみくちゃんによるアンサンブル『スタンド・バイ・ミー』です。みくちゃんがキーボードを弾き、なおとさんがステージの真ん中でアコースティックギターとボーカルで弾き語りをしてくれました。なおとさんの弾き語りを聴くのは紅白歌合戦以来です。いつ練習をしたのだろうと思わせるくらい、なおとさんが英語の歌詞をこなし、ギターを弾く姿に驚きました。なおとさんの勇気が格好いいなと思いました。

2部は、「お母さんに聞いてみよう」です。毎晩の「お父さんに聞いてみよう」ではなく、特別企画として、お父さんのことお父さん以上に知っているお母さんに、お父さんのことを聞いてみようというコーナーでした。

みんなから集まった質問に、お母さんが1つひとつ丁寧に答えてくれました。

「お母さんと会ったばかりの頃のお父さんと、今のお父さんの変わらないところは?」

「お父さんの好きな言葉は?」

「お父さんと行ってみたいところは?」

など、11の質問にお母さんが答えてくれました。お母さんが答えてくれるからこそ聞ける質問や答えにワクワクしたり、胸が温かくなったりました。なかでも、お父さんとお母さんの夢を聞かせてもらったときは、私も今のままではいけない、お父さんとお母さんに続く1人として精一杯今を生きたいという気持ちに駆られました。お父さんとお母さんからたくさんの刺激を受けて、そして希望をもらいました。

■『お父さんへ』

ここで一度おやつ休憩を挟みました。今回のおやつは、お仕事組さんが手作りしてくれた、バージョンアップした酒粕アイスとガルボ風チョコレートです。酒粕アイスのレシピに一工夫がプラスされ、さらになめらかな舌触りになりました。美味しさの秘訣は、「愛!」と答えたまゆこちゃんの一言にみんなが笑顔になり、そして一口含むと、アイスの甘さが舌の上で溶けて、なのはなの酒粕アイスはピカイチだなと思いました。

3部は、なのはなの子1人ひとりがお父さんに向けて書いた手紙を贈りました。カラフルな水玉の便せんにお父さんへの日頃の感謝の気持ちを綴り、水色の封筒に閉じて、『お父さんへ』と書きました。

3人の子が代表して、お父さん、お母さん、みんなの前で手紙を読み上げてくれました

みんなの思いが『64の手紙』という形になり、そのなかから代表して、れいこちゃんとけいたろうさんとやよいちゃんがみんなの前で手紙を読み上げてくれました。

「なのはなで大人になっていけることが嬉しい」「お父さんのような笑顔が素敵な男性になりたい」「お父さんとお母さん、なのはなの力になりたい」

3人の手紙を共有させてもらって、改めて、私もたくさんの仲間のなかで成長していけることが嬉しく思いました。3人から受け取った手紙が入った箱を、お父さんが大切そうに抱えて微笑んでくれました。

お父さんへ思いを込めた、64人の手紙を贈りました

■前向きになる1曲

会のフィナーレはみんなが大好きな、お父さんの弾き語りでした。

今回は事前にお父さんに歌ってほしい曲をリクエストし、そのなかから投票数が多かった4曲とアンコール1曲をお父さんが歌ってくれました。

『とんぼ』『いちご白書をもう一度』と続き、3曲目は、私もお父さんの弾き語りのなかで1番好きな『大空と大地の中で』が選ばれました。

私は、お父さんが歌うこの曲が大好きです。初めて聴いたときから心が動かされ、それからもお父さんの弾き語りを聴くたびに『大空と大地の中で』が聴きたい、と思います。曲の歌詞から自分がなのはなに来た意味を思い、そしてそれを歌うお父さんの歌声から背中を押してもらっているように感じます。最後は必ず、今をしっかり生きたいと前向きになることができる1曲です。

今回もお父さんとお母さんが2人並んで歌う姿に涙が出てきました。もっと強く生きたいと思いました。

4曲目には最も投票数が多かった『HERO』に合わせてみんなと手拍子をし、お父さんの力強い歌声が心のなかに落ちて広がっていくような気持ちになりました。

最後にみんなと口を揃えて、「お父さん、いつもありがとうございます。大好きです」と言いました。お父さんが、「ありがとう」と笑いました。

なおちゃんとまえちゃんが企画してくれた父の日の会は、とても楽しくて温かな時間でした。お父さんとお母さん、みんなと、父の日をお祝いすることができて、とても嬉しかったです。

お父さん、いつもありがとうございます!