山小屋便り

【山小屋便り5月号】 「今宵は、春のお花見ディナー! ―― 古畑の下で、『桃と桜と菜の花と音楽の夕べ』 ――」 るりこ

紅色の花桃、薄ピンクのしだれ桜に、黄色い菜の花、……。古吉野の坂を上ると、満開の春の花景色が広がります。今の時期しか見られない風景に心が弾み、美しいと感じます。

お母さんが、

「みんなでお花見をしよう!桃の木の下でごはんを食べよう」

と言ってくれました。

そして、花が満開に咲き誇る日曜日の夜。『桃と桜と菜の花と音楽の夕べ』と題し、古畑の桃の木の下でお花見会が開かれました。その日はお父さんの娘さんである、あやのちゃんがなのはなに帰ってきてくれていて、あやのちゃんを歓迎する気持ちも込められていました。

18時。「みんなは中庭で夕食を受け取り、古畑へ来てください」と放送が流れました。中庭へ行くと、日曜日恒例のなのはなカレーが用意されていて、温かいカレーを配膳の子が手渡してくれました。そのまま古畑へ移ると、2本の桃の木の下にござが敷かれ、特設ステージが設置されていました。そして、ゆいちゃんがライトアップしてくれた、しだれ桜、なのはな、花桃が明るく照らされていました。

お父さんの、「いただきます!」の大きな声で、会の始まりです。司会進行は、なのはな宴会部長のなおちゃんと、なのはな桃担当のあんなちゃんです。2人の笑顔と明るい声に一気にムードが盛り上がりました。

■満開に咲き誇る

まずは、アンサンブルの演奏で幕を開けです。曲は『ホール・ニュー・ワールド』と『リベルタンゴ』。サックス、トロンボーン、トランペットの奏でるメロディが桃の木の下でこだまし、まるでホールのなかで演奏会を聴いているような気分になりました。優しい音色が鳴り響き、地域の方々にも届いているかなと思いました。

続いて、なおちゃんとあんなちゃんが、この日の見所のお花、しだれ桜、なのはな、桃の木のことについて紹介してくれました。

玄関下のしだれ桜は、2009年になのはなファミリーが古吉野に移ってきたとき、地域の方と苗木を植えたものだそうです。しかし、なかなか花を付けず、一昨年、あんなちゃんが剪定と追肥をすると、その年に見事に花を咲かせ、今回も満開に咲き誇りました。今では、なのはな自慢のしだれ桜です。木の下から上を見上げると、降ってきそうなくらい数々のさくらが見受けられます。夜にライトアップをすると、さらに幻想的になり、地域の方の中には足を運んで、見に来てくださる方もいました。

菜の花は、昨年の10月14日のお父さんの誕生日に、園芸部のみくちゃんたちが種をまいたものです。古畑を囲むようにコの字に花が咲き、菜の花の黄色が眩しいくらい鮮やかに咲きました。なのはなファミリーに来られたお客さんのなかにも、「なのはなファミリーだから、菜の花なんですね」とおっしゃってくださった方もいらしたそうです。わたしも毎年この時期になると、菜の花が咲くのが待ち遠しく、そして花が咲くと、出迎えてくれるような鮮やかな黄色に嬉しい気持ちになります。

 

■あやのちゃんへ贈る1曲

古畑の桃の木は、2本あります。『白鳳』と『紅清水』という品種です。桃を担当するあんなちゃんが、品種ごとの味の違いや特徴について教えてくれました。

次は有志枠で、なっちゃん、あやこちゃん、さとみちゃん、みくちゃん、さやちゃん、わたしの6人で、この会に向けてつくった、オリジナルの替え歌を歌いました。

会の日の朝、あやこちゃんが声をかけてくれました。

「なのはなのオリジナル曲『桃の唄』で、あやのちゃんが来てくれて嬉しい気持ちを替え歌にしてつくってみたんだ。お花見のとき、みんなで歌いたいなと思って」。

そう言って、歌詞を手渡してくれました。

『今日は嬉しいお花見で 日曜カレーでおもてなし そこにいてくれるあやのちゃん 大事な大事な仲間です』

そこには、久しぶりになのはなへ帰ってきてくれたあやのちゃんに向けた思いが溢れ言葉が綴られていました。みんなの気持ちを代表し、1曲の歌にしてあやのちゃんに届けたいと思いました。

会が始まる前に、みんなで集まって歌の練習をしました。このメンバーは、夕方の役割当番でOMTをしているチームです。チーム名はさとみちゃんが考えてくれた、『桃花シスターズ』に決まりました。時間は短かったですが、みくちゃんの伴奏に合わせて、歌い回しや歌詞の確認をして、本番に向かいました。

司会のなおちゃんが、「それでは、桃花シスターズのみなさん、どうぞ!」と言い、わたしたちはピンクのレイを頭に被り、桃の木の下の特設ステージ前に並びました。みくちゃんの前奏があり、歌詞が始まりました。丁度、わたしたちの前にあやのちゃんが座っていました。

『花のように笑うあやのちゃん お父さんと目元が似ています ふとしたときに見せてくれる 優しい笑顔が嬉しくて』

このフレーズを歌ったとき、あやのちゃんと目が合い、あやのちゃんが恥ずかしそうにはにかんでくれました。あやのちゃんへ、みんなの思いが届いたかなと思い、嬉しかったです。

■夢のような時間

歌を聴いたお母さんが、「本当の『桃の唄』も聴きたいね」と言いました。まだ桃の唄を聴いたことがない子も、「聴きたい!」と言いました。突然のリクエストでしたが、バンドメンバーがすぐに楽器を用意してくれて、あゆちゃんも歌う準備をしてくれました。「ダンスも踊れる?」というお母さんの言葉に、ダンスメンバーの子たちも桃の木の下に並びました。

オリジナル曲『桃の唄』を生演奏し、踊りました

みんなの大好きな『桃の唄』が、実際の桃の木の下で歌い繰り広げられました。ライトアップされた桃の木の下で、あゆちゃんの暖かい声が響きます。その横では、みくちゃんのキーボード、なおとさんのギター、さとみちゃんのソプラノサックスの音色が鳴り、その後ろではダンスメンバーの子たちが踊ります。演奏している子も、踊っている子も、それを見ている子も、みんなの顔が嬉しそうに輝いて、それは夢に見たような一時でした。

『桃に花見はあるかしら わたしに出会いはあるかしら』

その歌詞を聴いたとき、(桃に花見はあった!)と思いました。わたしはこの景色も時間も、一生忘れないと思いました。

次は、お父さんの弾き語りです。みんなが大好きな、お父さんの弾き語りです。ギターを片手にしたお父さんがステージに上がったとき、会場から拍手が湧きました。お父さんは少し照れくさそうに笑いました。

ライトアップされた桃の木の下で、お父さんが弾き語りをしてくれました


■仲間のなかで

その頃には、辺りも真っ暗になっていました。レイトアップされた桃の木となのはなが暗闇の中に浮かび上がっています。それをバックに、お父さんもライトの光に包み込まれていました。

お父さんが歌う一曲一曲が大切に思いました。手拍子をするのも忘れ、お父さんの弾き語りに心を傾け、どんどん安心していくのを感じました。

アンコール曲に、お父さんが『ヒーロー』を歌ってくれました。サビはみんなも声を出して一緒に歌いました。お父さんの力強い声に力が湧いてくるようで、お父さんの弾き語りがさらに好きになりました。

最後はみんなで、オリジナル曲『君が生まれた日』を歌いました。なのはなファミリーの大切な曲で、わたしも大好きな1曲です。普段、バンドメンバーの演奏は聴いていましたが、実際にみんなと歌うことは初めてだったので、とても嬉しかったです。

歌詞を追っていると、この曲を作ってくれたお父さんが言葉1つひとつに込めた思いを感じました。全ての言葉に意味があると思いました。

『ああ、こんな僕でも立ち向かうんだ』

わたしも、お父さん、お母さん、なのはなの仲間と共に、強く強く、立ち向かって進んでいきたいと誓いました。奇麗な花に包まれて、みんなで歌い、踊った時間がとても暖かく、楽しい晩でした。

オリジナル曲『君が生まれた日』を、みんなで歌いました

なのはなで過ごす時間が経つにつれ、まわりのお花が目に入るようになり、そして、奇麗だと感じられることが増えてきました。なかでも、春の花には心惹かれます。今まで身近にあったものでも、自分の心が楽になっていくと同時に、見方、感じ方が異なってくることを知りました。

今、見られる景色も、どれもが1度きりです。今だけのものをたくさん感じ、満喫し、心の耕しにしたいです。