山小屋便り

【山小屋便り5月号】 「桃の花に囲まれて ―― 桃の人工授粉 ――」 あんな

桃の人工授粉をしました。

人工授粉をしたのは、私たちが育てている桃のなかの、おかやま夢白桃5本と、浅間白桃1本と、川中島白桃1本です。

これらの桃は、花粉を持っていないため、実を結ぶためには、花粉を持っている品種の花粉を、雌しべに付ける必要があります。人工授粉しなくても、風やミツバチが花粉を運んでくれたりもするのですが、人工授粉をしたほうが安心です。

おかやま夢白桃は、他の品種よりも開花が早く、3月31日には、ちらほら咲き始めていて、少し緊張しました。ここから先は、開花状況と、天気のタイミングを計って、良いときに授粉させるのが大事です。

人工授粉に向けて、4月3日から9日に、花粉採取をしました。

方法は、花粉を持っている品種から、摘蕾を兼ねて、膨らんだ蕾を採って集めて、採葯機にかけます。

開く寸前の蕾が、もっとも花粉が多く、採り頃です。

開墾畑の白皇や、古畑の白鳳、紅清水、池上桃畑のなつおとめ、清水白桃など、桃畑を巡って、採り頃の蕾を集めました。

ちょうど採り頃の蕾でも、枝の良い位置にある蕾は実にするために残して、摘むべき蕾だけを見極めて、集めていきました。

採葯機は、葯を分離させる機械です。分離した葯は、紙に広げて開葯させて、お茶の缶に入れて保存しておきました。

4月6日、山の桃畑の、おかやま夢白桃に1回目の人工授粉をしました。

この日、夢白は五分咲きくらいで、天気は気温が高く(最高気温21度)、風がなく、絶好の日和でした。

■優しい香り

ふみちゃん、あやかちゃんと、枝ごとに担当を決めて、一花ずつ、花粉をつけた梵天で、雌しべを、チョン、チョンと触っていきました。

開いている全ての花に授粉するため、枝を辿る道筋を決めて、どこまでやったかを見失わないようにしました。

花粉は、石松子という、濃いピンク色に着色された増量剤を、花粉と1対1で混ぜて使っています。

桃の花粉の香りなのか、ふんわりと優しい香りがしました。

おかやま夢白桃など、花粉がない品種にも、雄しべがあるのですが、花粉を持っている品種は赤茶色っぽいのに対し、薄い黄色っぽくて、花粉が入っていないのがわかります。

作業をしていると、品種によって花の表情の違いを感じました

梵天が触れた花を、目を凝らして見ると、雌しべの先に、ピンクの粉がついているのが見えます。雌しべの先は少し濡れていて、花粉が付きやすくなっている様子です。

すべての花を見るわけにいかないので、ちゃんとついているのか不安な気持ちはありますが、おそらく、上手くいくと思います。

同じ品種でも、池上桃畑のおかやま夢白桃は、数日、遅い開花でした。

人工授粉は、四から五分咲きのときに1回、八分から満開のときに1回すると良いと言われています。

4月6日から15日にかけて、夢白のほか、浅間白桃、川中島白桃なども、それぞれ、開花状況を見て、2、3回、人工授粉をしました。

桃は、ほとんどの品種が、4月9日頃には、七分咲きから満開になりました。桜や菜の花も、あたり一帯が、美しい色に溢れていて、1番の盛りのようでした。桃は花が咲いたら、霜害の危険も出てくるので、緊張感をもって臨みたいです。