特集-ウィンターコンサート2018

感想文集【4】「夢の中へ」 さやね

 ただ、美しくありたい。その思いだけでした。
 神様の思うような心優しい世界に、誰もが優しく、誰もが生きる歓びを感じられる世の中に導いてください。お父さんとお母さん、みんなと、たった一つの祈りを表現しました。
 私はお父さんとお母さんのために何ができるだろう、なのはなファミリーのために何ができるだろう、といつも考えました。ダンスを踊り、楽器を演奏し、みんなと過ごしているとき、勝央文化ホールの輝くステージを思い、満員の観客を思いました。私は私という人間をかけて、私の姿をみんなに見せました。みんなに見てもらって、成長して、みんなと良くなりたかったです。
 この日々がずっと続くような気がしていました。もっともっと上がある、その思いに終わりはありませんでした。

 開演の2時間前、勝央文化ホールのレッスンルームに全員が集まりました。カメラマンの中嶌さんと岡さんが、東京から駆けつけてくださいました。村田先生、あきこさん、たくさんの卒業生がお子さんを連れて帰ってきてくれました。まみちゃんと大竹さん、正田さん、大野さん、りゅうさんが来てくださいました。永禮さんや水田さん、岡本さん、ボランティアで来てくださるたくさんの方、そして、勝央金時太鼓保存会のみなさんがいてくださいます。ホールの入り口には、開場の30分前に列ができました。池田さん、ギターの藤井先生、いつもお世話になっている古吉野地区のみなさん、本当にたくさんの方が来てくださいました。
 この日ここに集まったなのはなファミリーの仲間と、ともに走り続けた日々の、最後のショーが始まります。

ザ・グレイテスト・ショー

 まだ誰も見たことのない、誰も聞いたことのない、誰もやったことのない、なのはなファミリーのウィンターコンサートが始まる。勝央金時太鼓保存会のみなさんが一緒に演奏してくださいます。和太鼓と、なのはなファミリーのバンド演奏、あゆちゃんの歌、コーラス、ダンス、お父さんが作り出す音、光、衣装、舞台美術、満員の観客。夢に満ちた世界へ誘います。

 私はダンスを踊りました。なのはなファミリーのバンドメンバー以外の全員で踊ります。卒業生ののんちゃんが振り付けをしてくれました。
 毎日、夕食後に体育館に集まりました。お父さんとお母さんに見てもらい、踊りました。体育館、グラウンドで練習しました。
 毎日が本番でした。たった1人でも見てくれる人がいるならば、その人に向かって表現しました。何かを感じてほしかったです。昨日よりも今日の自分が、最高でありたかったです。
 私はダンスのリーダーとして、なるちゃんとあけみちゃんと練習を進めました。お父さんとお母さんだったら、あゆちゃんだったら、何を見て、何を思い、何を言うだろうかと考えました。
 なのはなファミリーのメンバーは入れ替わり、今回のウィンターコンサートが初舞台だという人が多くいました。このままでは、ステージで見せられない、お父さん、お母さんにそう言わせてしまったことが非常に悔しかったです。
 ポーズを揃え、カウントを揃え、身体の向き、目線、動きを揃えました。何度も繰り返して踊りました。卒業生ののんちゃんが振り付けてくれたダンスは、すべての動きに意味があります。一瞬も無駄にしたくなかったです。ボーカルのあゆちゃんが、どの音にも意味があって、すべての音を細部まで聞いて歌っていると教えてくれたように、ダンスを踊りたかったです。
 何度言っても揃わない振りがありました。身体の角度が甘い、キレがない。できていない人の名前を呼びました。バディを組んで、毎日15分間集まって練習し、徹底的に揃えました。ただ、美しくありたい、それだけでした。

 私は、いつも宇宙を思いました。なるちゃんとペアになって踊りました。私たちが腕を広げたら、目の前に宇宙が広がります。そしてすべての人を包み込みます。
 幕が開いたとき、客席がざわつきました。1人ひとりが星となり、輝き、舞います。なのはなファミリーという集団が、全員で手をつなぎ世界を作ります。

スリラー

 ゆずちゃんとまゆみちゃんと3人で踊りました。このダンスは、本番の前日、ゲネプロで完成しました。
 この曲を踊ることが決まったとき、コンサートまで3週間を切っていました。お母さんに相談しメンバーを決めました。高校に通っているまゆみちゃんに、できるだけ早く帰ってきてほしいとお願いしました。衣装係のゆずちゃんに、衣装の作業よりもダンスの振り入れを優先してもらいました。舞台美術、音響、ギタリストとして多忙なまえちゃんも、練習に来てくれました。できるかどうかわからない、全員が揃うかどうかわからないけれどやりました。周りのみんなが協力してくれて、4人揃って振り入れをしました。私が伝えきれなかったことを、まえちゃんがまゆみちゃんに伝えてくれました。毎朝、高校に行く前に、まえちゃんとまゆみちゃんが2人で練習をしてくれました。

 12月のはじめ、卒業生ののんちゃんが帰ってきてくれて、ダンスを見てもらいました。
「スリラーは、私が初めて振りをつけた曲なんだ」
 とのんちゃんは言いました。曲の中盤で4人が入れ替わるところ、4人の決めポーズを、のんちゃんに見てもらいました。前は3人で踊っていたので、私が変えました。これでいいかどうか、のんちゃんは、これでいい、ここは膝を折るほうがいい、フォーメーションが崩れてしまうところはこうしたらいいと教えてくれました。
 のんちゃんのすごいところは、一度振り付けたダンスを一つも変えないところです。時間が経っても、直さず、迷いなく踊ります。私は誇りを持って踊ります。

 ホールに入ってから、お母さんが、最初から踊ってほしい、と言いました。2番から3人で踊る予定でした。1番は1人で踊ります。2番から2人が加わります。お母さんが言うなら、私は何だってやります。
 本番の2日前にのんちゃんが帰ってきてくれました。ゲネプロの前に、出だしの動きをのんちゃんに相談しました。たったひと言で、のんちゃんは考えてくれました。スリラーのダンスが完成しました。

「地球人を救うですって?!」
 団長とジーヴスを見て、女学生が逃げる、道子もあとを追いました。団長とジーヴスがエイリアンのようなおかしな格好をしたら、会場に笑いが起こりました。かにちゃんがバチを叩く音を聞いて、ステージに出ました。私はなのはなのダンサーです。
 自信に満ちて、堂々とあることを心がけました。最後のサビまで帽子を落とさないようにしていて、帽子のツバで目の前が見えませんでした。ゆずちゃんとまゆみちゃんが来ました。2人を信じました。帽子をとりました。お客さんが客席を埋め尽くしていました。みんなが私たちを見ていました。帽子を踏みそうになって、振りを間違えました。あまり記憶がありません。踊り終ったとき、客席から真っ先に声が上がりました。お母さんだと思いました。

アイム・ゴーイング・スライトリー・マッド

 大型台風によってみんな流されて、それともみんな避難して、誰もいなくなってしまった。そこにたった1人、岩にしがみついて流されそうになっているれいな。船に乗った団長とジーヴスが、れいなを助けました。

 この曲は、卒業生ののんちゃんとあけみちゃん、しほちゃんが踊り、なるちゃんとゆずちゃんとのんちゃんと私は壊れた人形になります。
 3人のダンスは、前のウィンターコンサートで先輩たちが踊っていたものを、あけみちゃんとしほちゃんが映像を見て、再現してくれました。ここに卒業生ののんちゃんが加わって、長身の3名が舞います。
 私たち4人は、完全に頭が狂い、首が抜けて、関節が外れた人形。前で踊る3人を引き立てます。立ち位置、動き出すタイミング、ポーズ、踏み出す足の幅、目線をすべて揃えました。無表情だけれど意志のある表情です。
「このダンスが好きだな」
 とのんちゃんは言いました。
 おどろおどろしく美しい世界で演じます。4人が崩れ落ちて、3人がポーズを決めたとき、笑い声がしました。

ジ・アザー・サイド

 場面は、れいなとみちこが通う高校へ。いつか授業はすべてネット配信になり、学校に来なくていい、そんな時代がやってくる。
 それでいいのだろうか?
 ついてこい、見たことのない自由を作れる世界がここにある。さあ一緒に、新しい世界を作ろう。

 袖幕のなかで、ステージから漏れる光を浴びて、りかちゃんが微笑みかけてくれました。りかちゃんと、なるちゃん、ゆずちゃん、のんちゃんと目を合せました。強く拳を握りました。

 この曲のダンスは、卒業生のりかちゃんが振り付け、教えてくれました。「ワック」というジャンルのダンスです。腕や手首を、しなやかに素速く動かします。男性が自分を女性らしく見せるために作ったダンスで、男性が踊ると本当に女性に見えるくらい、情熱的なところが好き、とりかちゃんは教えてくれました。
 りかちゃんは、なのはなから高校に通い、なのはなのみんなの中で勉強し、医学部に進学しました。高校も大学もトップクラスの成績をとり続け、今は研修医として働いています。そしてりかちゃんはなのはなでダンスを踊り、大学でもダンスを踊り、社会人になってからもダンスチームに入って踊っています。
 今年のはじめに、りかちゃんのダンスチームの発表を見させてもらいました。ただすごかったです。りかちゃんのチームは図抜けていました。なのはなの卒業生として、こんなにも高いレベルで、仲間と一緒に表現し続けている、りかちゃんの姿がただ格好良かったです。

 りかちゃんがなのはなに帰ってきてくれて、ダンスの振り入れがありました。違う世界の言葉でした。とにかく動きが速くて、次の動きが予測できなくて、りかちゃんはただ美しくて、真似をしても鏡に映る姿はまったく違う。覚えられず、踊れず、呆然とりかちゃんを見るだけでした。
 りかちゃんはワックの基礎から教えてくれて、ゆっくりカウントを数えて何度も踊って見せてくれました。丁寧に、真剣に、踊ってくれました。
 りかちゃんと同じように踊れる、それは私の思い上がりでした。お母さんと話したとき、振りを簡単にしたり、りかちゃんにソロで踊ってもらう、という話がありました。私は驕りだとわかっていて、受け入れられなかったです。できないと言われたら、やってやりたかったです。保証はゼロでいい。本当に偉そうだけど、りかちゃんにできるなら私にもできなければ嘘だと思いました。りかちゃんが振り付けたダンスを踊りたい。りかちゃんのために踊りたい、りかちゃんのことを知りたい、りかちゃんの心を感じたい、りかちゃんが思い描く世界に行きたい、りかちゃんと同じ世界を見たい。りかちゃんの踊る姿を見て、りかちゃんの生き方を見たら、踊らずにはいられなかったです。

 りかちゃんが帰ってから、4人で練習しました。次にりかちゃんが帰ってくるまでに、教えてもらった振りは、原曲のスピードで踊れるようにしようと決めました。りかちゃんがいてくれたときの映像を、さらにゆっくりのスピードにして、ワンエイトずつ、分けて踊りました。何度も何度も踊りました。
 高い集中力と、体力と、精神力が要りました。やりたい気持ちはあっても、練習は1時間半が限界でした。力が切れたら、言葉が出なくなりました。4人の雰囲気が悪くなりました。みんな必死でした。毎日練習しました。練習していないときは、頭の中でアザー・サイドのことを考えました。1分でも時間ができたら、体育館に行って基礎練習をしました。

 りかちゃんが帰ってきてくれました。りかちゃんは、毎日、人の命に触れます。どんなに責任を負い、緊張し、どれほど心身を砕き、必死に、真剣に生きているか。りかちゃんが私たちにダンスを教えてくれる、一緒にコンサートを作れることが嬉しいと言ってくれて、りかちゃんの生き様を見せてくれて、一緒に踊る今が大切でした。
 りかちゃんは仲間を大切にしました。りかちゃんと踊っていると、りかちゃんに信じてもらっている、大切にしてもらっているのだと感じました。りかちゃんは優しかったです。
 ダンスが完成しました。夜、お父さんとお母さん、みんなが見てくれました。拍手が湧き起こりました。長い間、最後のポーズでいました。ポーズを解いて、りかちゃんが笑いかけてくれました。
 私はワープしました。気が付いたら、りかちゃんと一緒に踊っていました。りかちゃんがりかちゃんのいる世界に連れていってくれました。

 息を止めて踊ります。常に体幹を意識します。どんなに激しくても踊っていないかのように涼しい、それがりかちゃんです。
 一緒に、新しい世界を作ろう。
 ジ・アザー・サイド。客席から拍手、歓声が湧きました。

くじら

 ノア・サーカス団の入団面接会。
 あやこちゃんが演じる、公務員の志望者。この人は、お父さんとお母さんにとって、とても大切な人です。
「なのはなファミリーに採用して、救うんだ」
 お母さんは言いました。
 この人の気持ちを、お父さんとお母さんの気持ちを、少しでも深く理解して、なぞって、音にしたかったです。
 そしてこの曲は、なのはなでアコースティックギターを教えてくださる藤井さんが、はじめてなのはなに来てくださったときに、弾いてくださった曲です。
 ちさちゃんと2人で演奏しました。神様に届きますように。

ディス・イズ・ミー

 これが私。ドラムを叩いてビートに乗って登場するわ。私は勇者なの。
 1人ひとり、それぞれが誇りある自分を演じて生きていく。
 演奏には、勝央金時太鼓保存会のみなさんが入ってくださり、ゆいさんが、身体よりも大きな組太鼓を勇ましく叩きます。

 団長とジーヴス、みちこ、れいな、グルグルはアンデスへ。
 いまも生き続けている、ユートピア。

ナユタ

 はじめて演奏したのは、2018年の5月、母の日でした。私は『ナユタ』が好きです。だから、お母さんに聞いてほしかったです。
 ナユタ(那由他)とは、10の60乗、10の72乗を表わす単位であり、「極めて大きな数量」を表わします。私は、押尾コータローさんが演奏する『ナユタ』に恋をしていました。

 毎日夢を見ました。勝央文化ホールの美しいステージで、客席は埋め尽くされ、たった1本のギターの音が響く。その音が織りなす宇宙が、すべての人を包み込む。そのとき、私はどんな気持ちになるのだろう、どんな景色が見えるのだろう。演奏しているとき、いつもそばには神様がいました。

 押尾コータローさんのライブ映像を見ました。押尾さんの奏でる音、指の動き、仕草、表情、空気を感じたかったです。どんなに優しく、どんなに深くこの曲を愛して、ギターを愛し、生きているのだろうと思いました。
 私はまだ一度もギターを弾けたことがありません。ギターを弾けるようになるためにどうしたらいいか、お父さんに質問しました。
「心に、高い山を、深い谷を作ること」
 とお父さんは教えてくれました。
 毎晩、『ナユタ』を弾きました。心を磨きたかったです。私の心にある汚いもの、必要のないものを取りました。彫りもの師が木を彫るように、音を、心を彫りました。お父さんが脚本を書くときに、たった1人で深い海の中に潜るように、お父さんと同じ土俵で語るのは失礼かもしれないけれど、私は『ナユタ』を弾くとき、生まれたての赤ん坊のように、心を解き放ち、自分が愛されることを信じ切り、優しさで満たしました。

 今年の夏、私は税理士試験を受けました。そのときはただ必死で、周りが見えませんでした。出発するとき、お父さんが手を握ってくれました。お母さんが抱きしめてくれました。なおちゃん、のんちゃん、たかこちゃんが手紙をくれました。みんなが応援してくれました。法人税法の試験が終わり、ホテルに帰って、国税徴収法の勉強を始めたとき、お父さんがメールをくれました。
「1人じゃない。なのはなのみんな応援しているよ。国税徴収法の神様も、すぐそばで応援してくれているよ」
 私は私という人間をかけて税理士試験を受けました。お父さんとお母さんとみんなが、一緒に戦ってくれました。
 ナユタを弾いて、私の演奏をお父さんとお母さん、みんなが褒めてくれました。私は、私でいいのだと思いました。これまでにあったたくさんの、悲しかったこと辛かったこと、神様が私に与えた試練が、みんな、私の心を深くしてくれたんだと知りました。

 消灯後の音楽室で、お仕事組のよしえちゃんとまよちゃんが、コーラスを歌っていました。自分の歌声を録音して、聞いて、歌っていました。お仕事組のみかちゃんがベースを弾いていました。朝も、お仕事に行くまで練習し、みかちゃんは、お昼休みに古吉野に帰ってきて、みんなと演奏をしました。
 言葉は交わしません。ただ同じ場所で練習していました。お互いの姿を見せ合って、お互いを信じました。

 ただ、この曲が好きでした。まえちゃんと2人で弾くために、弾き込みました。私が突き抜けたら、まえちゃんもすぐに突き抜けることができるから、私は突き抜けました。今回のコンサートでは1人で弾くことになり、神様に導かれるように、アンデスのシーンに入りました。

 『ナユタ』は、酋長の奥さんと団長の、永遠の思いを表わします。
 団長が愛した人。決して結ばれることのない思いとわかっていて、ただ、何もなかった。ただ、好きだった。
 酋長の奥さんも、団長のことが好きでした。団長が去って、がっかりした酋長の奥さんは1年もしないうちに亡くなってしまいました。
 人間なのに、神様と同じといっていいくらい、欲のない人。宇宙のように美しく、深く、優しい人でした。

 音は、お父さんが作ってくれました。音響は、すべてお父さんがしてくれました。最高の音でした。本当は、ずっとお客さんが入らなくて、誰もいないホールの中で演奏していたかったです。本番は、100練習したうちの10しかできなかったです。まだまだだと思いました。でも、お父さんが音を作ってくれて、お父さんが音を出してくれました。だから、最高の演奏でした。
 視線を上げると、拍手に包まれました。

フロム・ナウ・オン

 それぞれが人生というショーを精一杯に演じながら、時代の梶を大きく切っていく。みんなで力を合わせて新しい時代を作っていきます。

 ダンスは、卒業生ののんちゃんが振り付けをしてくれました。タップダンスを踊ります。そして、曲の後半、勝央金時太鼓保存会のみなさんがかつぎ太鼓を持って加わり、一緒に踊ります。

「はじめてこの曲を聴いたとき、タップしかないな、って思ったんだ」
 のんちゃんは言いました。
 のんちゃんがメールをくれて、ダンスの振り入れをするまでに、タップダンスの基礎練習をしました。夕方、体育館に集まり、ユーチューブの動画を見ながら練習しました。
 のんちゃんが帰ってきてくれた日、前の2日間でりかちゃんに『ジ・アザー・サイド』のダンスを教えてもらいました。私は、のんちゃんが教えてくれるのに、集中できず、振りを覚えられませんでした。こんなことは初めてでした。
 私は、午後の練習をすっぽかしました。そうしたら、お父さんが来ました。
 さやね、とお父さんが言いました。お父さんの声が、優しかったです。
 お父さんは、
「お前にできないなら、誰もできないよ」
 と言いました。見ているだけでいいから、一緒に行こう、と言いました。お父さんと一緒に体育館に行きました。
 次の日、のんちゃんは、復習をしようといって、最初の振り付けからゆっくりカウントを取って教えてくれました。のんちゃんは、ずっと笑顔で引っ張ってくれました。一緒に踊る、しほちゃん、なるちゃん、れいこちゃん、みんなが笑顔でいてくれました。のんちゃんが教えてくれるダンス練習の時間は、ただ優しかったです。

 私は今回のコンサートで、体力や集中力を保てなくて、力が切れてしまって、周りの人にたくさん迷惑をかけました。けれど誰も責めなかったです。なるちゃんとあけみちゃんが練習を進めてくれました。
 疲れていい、ぶっ倒れていいから、限界までみんなと成長したかったです。今しかない時間をみんなと味わい尽したかったです。私の足りないところは、なるちゃん、あけみちゃん、みんなが許してくれて、補ってくれました。みんなにはないもの、私にしかできないことをみんなが引き立ててくれました。

 ダンスを踊り、ギターを弾くとき、みんなの前に立つとき、私は私のすべてをさらしました。お父さんとお母さん、あゆちゃんの孤独に、沿いたかったです。自信がなくてもある振りをして、必死にみんなを見て、みんなと踊りました。

 『フロム・ナウ・オン』のダンスメンバーは役者が中心でした。脚本ができる前から、お母さんはメンバーを決めてくれました。基礎練習を一緒にしていたけれど、ちさちゃんのポジションになおちゃんが入ることになりました。ちさちゃんは、このダンスを踊れることが嬉しい、楽しみだと言っていました。なおちゃんと代わることになったとき、ちさちゃんは残念だったと思います。ちさちゃんの思いを、なおちゃんは知っていました。なおちゃんはちさちゃんの分まで踊る、きれいに踊ると言いました。

 なおちゃんは税理士として働いています。お休みは日曜日だけで、毎晩10時過ぎに帰ってきます。なおちゃんと練習するために、いつ時間を作れるだろうかとなおちゃんに聞きました。そうして、朝お仕事に行く前に、一緒に練習する約束をしました。とても忙しいのに、もっと忙しくなってしまって負担ではないか、と思ったけれど、なおちゃんは目を輝かせて、約束をしてくれました。
 私はボーイングチームとして、畑のチームに入っていません。朝の収穫や野菜の手入れはありません。だから、私がなおちゃんとダンス練習をします。私がいるからなおちゃんは大丈夫、となるちゃん、あけみちゃんに言いました。それは格好いい言い訳で、一番練習させてもらったのは私でした。

 朝、なおちゃんは朝食を食べて、体育館に来ました。お仕事組のみんなが協力してくれて、なおちゃんは毎朝ダンス練習ができました。私はなおちゃんとタップダンスの基礎練習と、ダンスの振り入れをしました。2人で鏡の前に並んで踊りました。同じとき、畑に出る前の短い時間で、あけみちゃんやしほちゃん、ひろこちゃんがダンス練習をしていました。お仕事組のふみちゃんもいました。
 夜、消灯の10時を回り校内の電気を消したあと、体育館の電気がひっそりと点いていました。なおちゃんがダンスの個人練習をしています。
 卒業生ののんちゃんがダンスを教えてくれたときの映像、習慣練習でみんなが踊っている映像、金時太鼓のみなさんと練習をしたときの映像を、なおちゃんは見てくれました。
 お父さんとお母さんの脚本が出来上がると、お仕事から帰ってきたなおちゃんは、リビングで台詞を覚えていました。

 なおちゃんのために、私に何ができるだろう、と思いました。なおちゃんの仲間として、同じ気持ちでコンサートに向かい、私はダンスのリーダーとして、ギタリストとして、なのはなを上げたい、表現したい、みんなに影響を与え続けたいと思いました。ボーイングチームの道を切り拓き、なのはなの道を切り拓くなおちゃんと同じ仲間として生きたかったです。

 12月に入り、コンサートが近付くと、朝の練習は10分間ダンス、次の10分間は演劇になりました。
 私はなおちゃんと同じ4年生教室に住まわせてもらっています。毎朝7時に携帯のアラームが鳴ります。するとなおちゃんが飛び起きて、私も飛び起きます。なおちゃんは食堂に走って朝ご飯を食べて、私は体育館に行きます。なおちゃんが体育館に来ました。今朝も、なおちゃんと一緒にダンスを踊ります。

 曲の後半、ステージの中央から、かつぎ太鼓を持った金時太鼓の3名が現われます。そして、金時太鼓のみなさんが加わって、ダンスを一緒に踊ります。
 金時太鼓のみなさんが古吉野なのはなに来てくださり、一緒にダンス練習をしました。太鼓を持ちながら踊ることができるかどうか、移動ができるかどうかを打ち合わせました。みなさん、どんなこともできると言ってくださいました。練習は楽しくて、みなさんが誇りを持って演技する姿が格好良く、私も誇りを持ちました。

 ただ前だけを見て、お父さんとお母さん、みんなと走り続けます。この今が私の最高のショーです。
 ありがとうございました。

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