山小屋便り

「桃の芽接ぎ ――払子台木に浅間白桃を芽接ぎして――」 ふみ

吉畑手前ハウスに、今年の3月に種をまいた『払子』が育っています。 『払子』を台木として『浅間白桃』の芽を接ぎました。

 

桃の芽接ぎの作業があり、あんなちゃんとまことちゃんと吉畑ハウスに行きました。
ハウスのなかに、払子(ほっす)という品種の桃の苗木があり、払子台木に、石生の桃畑の浅間白桃の芽を接ぐことをあんなちゃんが教えてくれました。
今回の台木は払子、穂木は浅間白桃で、払子は病気に強く、芽接ぎをしたら、台木の方の性質を受け継ぐことをあんなちゃんから教えてもらい、接ぐことでより良い実がつき、元気いっぱいの木になってくれたらいいなと思いました。

あんなちゃんが芽接ぎの方法を実際に芽接ぎをしながら教えてくれました。
穂木となる浅間白桃の複芽がある少し上から薄く切り込みを入れて、芽の下まで切り込みが入ったら、木に垂直にナイフを入れて、芽を切り取り、挿し芽をつくりました。

ハウスのなかで、ツクツクホウシが鳴く音しか聞こえず、頬に汗が流れるのを感じて、その場には静かで真剣な空気がありました。
「緊張するね……」あんなちゃんが芽接ぎをしている姿を見ていて、なんだか手術に立ちあっているような気分になっていました。
私は、あんなちゃんの手元を見ることに集中していて、息をするのを忘れてしまうくらいで、鼓動が高まるのを感じました。

穂木から切り取った浅間白桃の芽

 

 ■台木

次は、台木となる払子に、挿し芽をつくったときよりも、長めに切り込みを入れて、挿し芽をその切り込みに入れて、払子の形成層と浅間白桃の形成層を密着させていました。

台木の方に切り込みを入れるときに、2種類の方法をあんなちゃんが教えてくれて、1つ目は、挿し芽をつくったときと同じような切り込みを入れる方法で、2つ目は、青木さんが教えてくださった方法で、十字に切り込みを入れて、そこに挿し芽をはめこんで、形成層を密着させる方法でした。
(これからどんな木となり、どんな花を咲かせ、どんな実をつけてくれるのだろう)
私は目の前の木に、夢を膨らませて、希望や可能性を感じました。

密着させた部分に半透明のテープを巻き、密着させた部分がとれないようにしっかりと固定させていました。
結果は、10日から2週間後くらいに分かり、挿し芽の葉柄が黒くなって、ぽろっととれたら接ぎ芽が成功していることをあんなちゃんが教えてくれました。

接ぎ木テープを巻いて固定します

 

 ■桃を理解したい

人と人とが、お互いに理解するように、桃もお互いを理解し合えたら、接ぎ芽の成功に結びつくのかなと思いました。
相手を理解して、自分も相手に理解されて、その関係が桃にもあるように感じました。
たくさんの品種のなかから出会えた桃が、お互いに理解して、お互いに助け合って、実りのある桃の一生を送れるように、あんなちゃんやみんなと一緒に、自分ができる手入れを頑張りたいし、私も少しでも桃を理解したいです。

私は、桃の作業に入るときに、あんなちゃんの言葉がいつも心にあります。
「少しでも桃を理解して、桃が喜んでくれるといいね」
桃の剪定の作業をしているときに、あんなちゃんが話してくれました。
そのときに、私は、今まで桃の手入れとしての作業としか考えられておらず、桃を少しでも理解するという気持ちで、作業に向かえていなかったことに気がつきました。

少しでも桃を理解しようとする気持ちがなかったら、実る桃や、木の状態が手入れをしている人の心持ちで変わってきてしまうのだと思い、あんなちゃんに教えてもらうことをただやるだけではなく、桃のことを少しでも理解したいという気持ちで桃に向かう気持ちが大切なんだ、と教えてもらったように感じています。
今まで桃に申し訳ないことをしていたし、自分が恥ずかしくなりました。
そのときから、気持ちが改まり、少しでも桃を理解したいという気持ちも高まっていきました。

ひとつの希望が生まれることを願い、なのはなの桃をあんなちゃんやみんなと一緒に守っていきたいです。