山小屋便り

「未来に繋がる桃畑の開墾」 なるみ

(ここが、なのはなの桃畑になるんだ)
開墾桃畑の向かいにある、長方形の畑。その畑が、新しいなのはなの桃畑になります。今、私たちは長い間使われていなかった土地の開墾を進めています。

「9月中に開墾作業を完了させて、土を馴染ませ、できれば11月頃に桃の苗木を植えたい」
と、あんなちゃんが言いました。
具体的な目標を伝えてもらって、気持ちが引き締まりました。畑、野菜作りは、いつも〝ワンチャンス〟だと、お父さんが教えてくれます。適切な時期を逃すと、良い作物ができません。畑は待ってはくれません。
スピード感を持って、かつ安全に、確実に、進めていきたいと思いました。

 ■草刈り

開墾作業は、草を刈るところからはじまりました。
背丈の高い草や、木、笹、茨で畑の全体が覆われていました。はじめは、この畑がどんな形をしているのか分かりませんでした。ジャングルのような畑の様相に、一瞬、後込みしましたが、蓋を開けてみると、それはそれは大きな達成感と、喜びで溢れていました。

草刈り機のエンジンをかけ、サバイバルの始まりです。自分と同じくらいの背丈の草木をなぎ倒し、樹に絡まっているツル性の植物や茨を刈り取り、時には蚊の襲来に遭いながら、道を開拓していきました。
少しずつでも、道が拓けていくことが快感でした。歩みは少しずつでも、着実に前へ進んでいきました。どんどんと道が拓け、視界が広がっていくことが快感でした。

そして、いつも心のなかには、未来の桃畑の姿がありました。この地が開墾され、桃の樹が植わり、その桃の樹が実を生らせ、収穫される日を思い浮かべました。
まだ見ぬ誰かのために。なのはなのために。未来に繋がる、開墾作業です。そう思うと、身体の底からパワーが漲ってくるのを感じました。誇りとやり甲斐を感じました。心が躍り、ワクワクが止まりませんでした。

共に開墾をしている、草刈りチームのみんなの姿もとても心強く、頼もしかったです。それぞれが刈っていった場所が繋がると、一気に視界が広がりました。
(ああ、もうこんなところまで進んでいる)
と、何度も思いました。これまで、見えなかった世界が、見えたような気持ちでした。
「1時間が、5分に感じた」
一緒に開墾をしていた、あけみちゃんと交わした言葉です。本当に、1時間の時間が5分に感じられるくらい、無我夢中で草を刈っていて、時間を忘れました。あっという間だけど密度が濃くて、充実していました。

そして、開墾3日目。草刈りに目処をつけるという目標のもと、あんなちゃん、なつみちゃんと一緒に畑へ向かいました。
もう、何も遮るものはなく、共に草刈りをしている、あんなちゃん、なつみちゃんの姿がすぐ近くに見えました。2人が、力強く草刈り機を振るう姿、スピード感がとても格好良いな、と思いました。

いよいよ、終わりが見えてきたとき、
(ああ、終わっちゃう。終わっちゃう。もっと、やりたいな)という気持ちもありましたが、やっぱり嬉しかったです。
「お疲れ様です! 一段落したね!」
あんなちゃんが、笑顔で言ってくれました。

草刈りが一段落しました。新しい桃畑は、畑そのものの姿を現しました。
(この畑は、こんな形をしていたんだ――)
と、思いました。
毎日この畑に足を運び、開墾作業をしていると、この畑を愛おしく思う気持ちが更に大きくなっていくのを感じました。

 ■大きく景色が変わる

開墾4日目は、その刈った草を幾つかの山にしていきました。背丈の高い草が多かったので、三つ鍬を使って、ダイナミックに集めていきました。私は、あやこちゃんとペアで小山を作っていきました。
「次は、ここに山を作ろう」と声を掛けると、あやこちゃんが、大きく元気な声で、「はい!」と言ってくれました。三ッ鍬を使っての草集めは、力が要り、汗が流れました。
あやこちゃんが少し息を切らしながらも、力強く集めていました。その姿に、私も頑張ろう、と思いました。

少し離れたところから、あんなちゃん、あけみちゃん、なつみちゃんがトリオで草集めをしてくれていました。ふと顔を上げると、3人が集めてくれた山が幾つも並んでいました。
1人でやろうとすると、大変で果てしないように感じることでも、みんなでやると、その大変さも楽しさに変わっていきます。気が付くと、大きく景色が変わっています。「みんなの力はすごい」と、改めて思いました。

草が山になるにつれて、更に畑がシンプルになりました。地面を覆っていた草を刈り、集めたことで、地面の様子が見えました。この畑の土は、赤茶色をしているのに気付きました。

 ■緻密に

「終わったね――」
秋の爽やかな、涼しい風が吹き抜けていきました。草集めが終わりました。みんなの笑顔が輝いていました。また1つ、なのはなの桃畑へ近付きました。

このあとは、木を伐採して燃やす作業に入ります。木や草を燃やし終えたら、根掘りの作業です。
「桃の木は、連作障害が出るから、桃の木の根は、シビアに緻密に取りたい」
ということを、あんなちゃんが教えてくれました。この新しい開墾畑には、古い桃の木が植わっていました。
これから植わる、なのはなの桃がより良く育つためにも、今の作業がとても大切なのだと思いました。この作業を緻密に行うことで、これからの桃の木の成長に大きな影響を及ぼすのだと思いました。

桃は、1年だけのものではありません。そして、なのはなのブランドの桃です。あんなちゃんと一緒にいさせてもらって、あんなちゃんの桃に対する高い気持ち、愛情を強く感じました。
私も、あんなちゃんのように厳しく、志を高く向かっていきます。未来に繋がる、開墾作業に携わらせてもらえることを、誇りに思っています。