山小屋便り

「小さな種から膨らむ期待 ―― ニンジンの種まき ――」 あやか

9月9日、石の下畑にニンジンの種をまきました。その日の種まきでは、1畝分に種をまいて、7、8人での作業になりました。
種まきの作業は、ニンジンを良い環境で育てられるよう、畝を整えるところから始まりました。今回のニンジンの栽培では、水はけを良くするため、畝を高めに立てました。
畝を立て終わったら、トンボ掛けをして土の表面を平らに均していきます。畝の状態を整え終えたら、いよいよ種をまいていきます。

ニンジンの種の入ったトレー、覆土用の培養土を入れたトレーに、培養土をすくうためのスプーン、株間を測るための、印の付いた竹の棒……種まきに必要な道具、種まきセットを各自、手に持ち、種まきのスタートです。
竹の棒で株間を測りながら、種をまく位置を決め、畝の上に深さが約5ミリほどの窪みを付けます。その窪みのなかに、種を3粒ずつ置いて、優しく培養土を被せていきます。

「覆土は、土が薄すぎても厚過ぎても、種がうまく発芽しない」
と、リーダーのまりのちゃんが教えてくれました。
「自分の掌の上に土を乗せてみると、丁度良い厚さが掴めるかも」
という言葉に、培養土を掌の上に乗せてみると、ふわりと軽い土の感触を感じました。ニンジンの種が柔らかな土に守られて、芽を出す様子をイメージしてみました。
ニンジンの種の気持ちになってみると、(このくらいの厚さが、丁度良いかな)という感覚が、胸にしっくりと落ちてくるような心地がしました。

■胸がときめく

ニンジンは、三条まきでまいていきました。ひとつの畝を2人1組で両側から挟んで、種をまきます。
私はゆりちゃんとペアで、向かい合わせになって種をまいていきました。
ニンジンの種は、瞬きをするとその瞬間に見失ってしまいそうなほどの、小さな小さな粒で、種まきはとても繊細な作業でした。

小さな種をそっとつまんで、窪みのなかに置いていきます。神経を研ぎ澄ませて、気持ちを集中してまいていきました。
種まきをしているとき、みんなのなかには真剣で、でも、穏やかな空気が流れます。
静かな緊張感のなかに、繊細な優しさ、野菜の命の始まりに立ち会うときの胸がときめくような喜びを含んだ空気が心地良くて、みんなとの種まきの時間が大好きです。

種をまき終えたあとは、たっぷりの水をやり、種をまいた場所に籾殻を被せていきました。
種まきの作業のあとは、いつも、(無事に、芽が出ますように)と、祈るような気持ちになります。新たな野菜との出会いに、少しドキドキする気持ちと、わくわくするような期待が、同時に胸のなかに訪れます。

これからみんなと一緒に、秋冬野菜を育てていけること、そのなかでたくさんの経験や、喜びを共有できることが嬉しいです。大事に、育てていきたいです。

種蒔きをしたあとは不織布を被せて乾燥を防いでいます。