第234回「サービスをする人になる」

 先日、自分の常識のなさに気づかされる出来事がありました。
 よくよく思い返してみると、私の常識のなさからくる間違った行ないは、小学生のころからあったと気付きました。
 なぜか周りの人と外れた行動になってしまうことが度々あったと思います。
 例えば、休み時間にクラス全員参加で練習している大縄跳びにどうしてもいけなかったり、見られたくないメモ帳を同級生にとられて、必死になって校舎の中を全速力で追いかけて、普段はまず怒らないような先生にかなりきつく怒られたり、なぜか男の子の頭をリコーダーでたたいてしまって、先生に悲しまれたりしました。

 中学の頃も、休み時間に同級生とくだらないことで度を外した大笑いをしてしまって、先生に失望されました。
 私は学校では、普段はとてもおとなしく、真面目で、優等生っぽかったです。けれど、ごくまれにこうした不良っぽい子もしないような外れたことをしてしまうことがありました。
 もちろん悪目立ちをしたいなんて気持ちは一切なかったです。
 先生に間違いを指摘されるたび、恥ずかしさと嫌悪感でひどく落ち込みました。

 

質問①
 私の常識のない間違った行ないをしてしまう理由は、あまり常識的でない親を見て育ち、人間性、社会性を得られなかったからですか。またアスペルガ―であることも関係していますか。他にも理由はあるのでしょうか。

 

お父さん:
 その通りです。ほかに理由はないです。

 
 

質問②
 数々の失敗の経験から、今、自分の考え方、行動が間違っているのではないかという自己不信感の念が強いです。
 けれど自己否定を繰り返しても何の足しにもなりません。少しでもなのはなの子としてあるべき姿に近づけるよう、日々前向きに成長していきたいです。
 そこで、常識が無く間違いが多い自分をどう受け止めていき、どういった心持ちで日々生活すべきですか。

〈自分の答え〉
 自分は誰よりも常識が無いこと、判断力に欠けることを自覚し、謙虚に過ごす。
 自分の思っていることを間違っているか正しいかわからずにうやむやにしないでいっそ言葉に出し、間違っている場合は周りの人に教えてもらうことで、自分の中の間違いを正していく。
 小説を読んで人間性をはぐくむ。

 
 

お父さん:
 あの、それよりもね、効果的なのは、このなかで1人ターゲットを決めて、その人のマネをすることですね。
 みんなには知られないうちに、なのはなの2番目のあゆみちゃんを演じてしまうとかね。謙虚に過ごすんじゃなくて、本物のあゆみちゃんっぽく過ごしていってはどうでしょう。
 もしくは、あゆちゃんをマネして、あゆちゃんっぽく過ごす。誰でも良いですけど、誰かこの人っていう人を決めて演じることです。
 そうすると、常に演じているわけですからあゆみちゃんだったらどんな笑い方をするか、あゆみちゃんだったらどれくらい喜ぶのか、常に誰かをなぞりながら生活しているってことになります。
 本来の手放しの自分よりはフィルターを1枚被っていて、その縛りから外れないようにするんです。
 それを5年くらいやっていると、ちょっと矯正されるでしょうね。
 ちゃんとしようと思ってもちゃんとできないので、ちゃんとするふりですよ。意外と、みんなフリをしているんです。
 みんな、やっていないようでやっている、気持ちが落ちているような人の振り、とか。
 あたしこんなに落ち込んでいるのに、誰も声をかけてくれないの? うそーっ、みたいなね。
 結構やっているんだよ、可哀そうな人ごっこはやめてほしいけどね。

 自動車でいったら、ギヤをニュートラルに入れない。フリーの演じていない自分の時間を無くすんです。
 できれば寝る時も演じながら、上品に寝る。
 そういう心構えでね。何者かを演じ倒す。そういうのが良いんじゃないかなと思いますね。
 うーん。何でもない人はやらない。

 

お母さん:
 魅力のある人は、いつもそれを演じていると思う。

 

お父さん:
 僕の立場やお母さんの立場だと、常に見られる人だからね。
 お母さんだったら、お客さんがない日だとしてもみんなに見られるっていうのをいつも意識して、化粧したりする。みんなの立場だったら、ともするとあまり演じる必要性がないんだよね、わりと自由になっちゃう。
 スタッフになるとちょっと違います。ただ、スタッフも自覚の差でずいぶん違うと思います。
 誰にも何も見られない、矢面に立つ立場じゃないからって、人に見られてもいいという自覚をしないと、矢面に立たない人になってしまう。
 だから1人の入居者でも、利他心を全面的に出して、まるでスタッフになったように、他の入居者にありとあらゆるサービスをしよう、としたらすごく人間的に成長するでしょうね。私といるのが楽しいって思ってもらうように、たくさん周囲の人を楽しませようという気持ちでいるわけです。
 それが、そういう気持ちをまるで持たずに、ニュートラルに畑に行って、ニュートラルに掃除をして、ほかの人を意識しないと、自分の表情さえも意識できなくなってしまう。
 私と一緒にいて楽しいと言わせてみせる、という、そういう心意気で楽しませる人を追求していく。
 そう考えていくと気づくと思うんですけど、レベルの高い人を喜ばせるのは難しいんです。レベルの低い人を喜ばせるのは、これもちょっとだけ難しいですけどね。
 つまり、そのとき周囲に5、6人いるとして、その人たちの中で自分が1段、2段、上に行かないとみんなを楽しませることができないんです。
 自分が人を楽しませようとすると、自分のレベルが上がっていくと思いますよ。
 考えてみると、僕は自分を意識したときからずっと、目の前の人を楽しませようとしてきたかもしれませんね。なのはなファミリーをする前からそうでしたよ。
 どうか、周囲の人にサービスしてください。たった1人だけにつきまとってサービスするんじゃなくて、どの場にいても、誰にでもサービスしていくうちに、どんどん大人になっていくでしょうね。
 赤ん坊って、お母さんにサービスしてもらうのを待っているだけでしょう。赤ん坊は、お母さんにサービスしようって思っていないでしょう。
 みんなはその赤ん坊から大人になる途中なわけで、まだ赤ん坊の気持ちが強いかもしれない。サービスをする人になかなかなれない。早く大人になりましょう。人にサービスができるようになったら、ぐんと大人に近づきます。

 
 

(2020年2月18日掲載)









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