
「脚本を書く意欲が、お腹の底からわいてきました!」 なのはなの子供たちに囲まれたお父さんの笑顔が、会場の真ん中にありました。 その言葉と笑顔が、私たちは本当に嬉しかったです。 私たちも、コンサートに向かう力が、身体の底から沸き上がり、 あと37日をノンストップで仲間と一緒に走っていける、 そんな気持ちになりました。
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お父さんのお誕生日の今日は、 ウィンターコンサートに向けて、 大きく踏み出した1日となりました。 お父さんのお誕生日を祝う会。 タイトルは、 『なのはなウィンターコレクション2019』。 ウィンターコンサートの 新曲を使ったファッションショーです。 大好きなお父さんへの お祝いの気持ちを伝えるため。 コンサートに向けて 衣装のアイデアをたくさん出すため。 |
お父さんの脚本の執筆への意欲が高まるように。 そして、コンサートに向かう気持ちを、1人ひとりが作るため。 これらのテーマを設けて、ファッションショーを作り上げました。
チーム同士の競争ではなく、利他心を心の真ん中にいつも置き、 メンバーで助け合い、誰かのためを思い、自分の役割に誠実に向かいました。 お父さんが教えてくれる、生きる上でなにより大切な利他心。 生きにくさを感じるいまの社会の中で、あるべき生き方です。 お父さんの生きる姿そのものの、誰かのために自分を100%使う、 その生き方を、このお誕生日会を通しても一番大切にしました。
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ショーの会場は、 2019年10月14日、 古吉野にオープンした美術館です。 その名も『オノセーミュージアム』。 そこには、なのはなファミリーの 歴代の作品の数々が、展示されています。 年に1度のウィンターコンサートの舞台を 彩った舞台美術、小道具、大道具。 ダンサーや役者たちの 魅力的な一瞬を収めた写真。 歴代のポスター。 お父さんとお母さんの美しいポートレート。 私たちの伝え、表現し続けてきた生き方が、 様々な形となり、 そこに生き生きとした姿を見せてくれています。 そして2019年、新しい物語がこれから生まれます。 |

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今年の物語のキーとなる、 レオナルド・ダ・ヴィンチと、 そして、彼が残した3つの機械とは? さて、その物語を動かすのは、 どんな登場人物なのか? どんな衣装をまとい、 どんなシーンを見せてくれるのか? 私たちが伝えたいことは、なんなのか?
各チームが、お父さんとお母さんが 話してくれた今年のストーリーの 大枠や、いくつかのイメージをもとに、 8チームがそれぞれ曲を選び、 ショーを作りました。 衣装やダンス、キャラクターといった 目に見える形として、生み出しました。
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1から新しいものを生み出すときの苦しみ、難しさ。 会の当日という締め切りがある中でのプレッシャー。 それらに立ち向かいながら、準備を進めました。 難しく、苦しみもある中での、 大きな楽しさや喜びがありました。 「この準備の時間がずっと続いて欲しい」 そんな気持ちがわくほどに、 会の準備は充実していました。 そして、1人ひとりが、小さなお父さんとなって、 最後まで絶対に諦めず、 チームとして1つの作品を完成させて、 本番を迎えました。 |
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午後2時。 永禮さんと卒業生のそらちゃんも 家族揃っても会に来てくださり、 70人のお祝いが始まります。
『展覧会の絵』のBGMと共にステージに現われた、 レオナルド・ダ・ヴィンチの 大作、『最後の晩餐』……らしき絵画。 まゆこちゃんと私は、 司会としてこのオープニングの劇を 各チームのリーダーのみんなと 演劇係のメンバーで作りました。
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『バッドロマンス』に合わせて、 晩餐会のメンバーが踊り出します。 一体、何が起きているのか? 美術館を舞台に、1つの事件が起きます。 ウィンターコンサート本番をイメージした、 劇の冒頭を表現します。
そのシーンは、今回のお誕生日会の オープニングバージョンとして、 少しばかり変化をしていきます。 「いつまで悠長に晩餐会をしているのよ!!」 コンサートまであと37日しかない、という焦りから、 1人でコンサートを作りあげようとする少女。 しかし、コンサートは、たった1人の力では 作り上げられない。 一人が大きな力を持って動かすのではなく、 小さな歯車が70個集まって生み出す大きな力、 それが、なのはなのウィンターコンサートです。
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お父さん1人ではない、誰か1人が頑張るのではない。 小さな力でも、1人ひとりが全力を作り、役割に誠実に向かうことで、 みんなの歯車はかみ合い、やがてそれは自分たちにそんなことができるとは 想像もつかない大きな力を生み出します。 その気持ちを持ってコンサートへの一歩となるファッションショーに向かおう、 オープニングの劇で、私たちは伝えました。 |

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さあ、美術館の作品たちが、お目見えです。 作品ナンバー1。ちさとちゃんチームです。 『真夜中の展覧会』。閉館した美術館の中で、 額縁から描かれた人物が 次々と飛びだしてきます。 するとどうでしょう、額縁が盗まれてしまいます。 飛び出してきた彼らは、 額の中にもどれなくなってしまったのです!
展覧会の曲に合わせて、 本物の絵から飛び出してきたような キャラクターを、お父さんは とても気に入ってくれました 衣装も、本物の絵を忠実に 再現している仕上がりで、 本当にオノセー美術館で 事件が起こっているような雰囲気でした。 「額縁に戻れなくなるという設定も面白いね」 お父さんは、設定も面白かったと話します。
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2チーム目は、かにちゃんチームです。 『バッドロマンス』に合わせて、ショーを披露します。 工房で働く発明家。 彼は、欲にまみれた人間を救済する必要はない、 一度淘汰されるべきだ、という考えの基、 有能な機械人形を作り出し、 ダ・ヴィンチの夢を阻もうとします。
「さあ、作業を始めよう」 台詞と共に、どこか恐ろしさも感じる、 工房の発明家が動かします。 人間でありながら、どこか機械的にも感じる、腕の装飾。 顔を隠し、歯車となったメンバーの無名性。 そこから生み出される、機械人形。 衣装の完成度の高さに、お父さんとお母さんは、 本番でも使いたいといと言ってくれました。 私も、なるちゃん演じる発明家の 金属的な衣装がとても魅力的だと感じました。
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3作品目、さとみちゃんチームは、 大きな球体の大道具と共に入場。 一体、なにが隠れているのか? その球体から曲に合わせて いくつもの手が出てくる不思議な演出。 絵から出られなくなった彼らを救ったのは、お父さん。 利他心の生き方を知った心に虹かかかり、 それは魔法を解くように彼らを絵から解放します。
少女や、モナ・リザたちは、 閉じ込められた球体から抜け出し、 額縁からこの世界へと飛び出てきます。 ワクワクするストーリーが、 1曲につまっていました。 お父さんも、不思議な球体の演出が 良かったと話します。 手だけではなく、脚が何本も出てきたら、 もっと面白くなるねとコメントしてくれました。
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前半ラストの作品は、あゆちゃんチームです。 『ザ・ラスト・エレメンツ』のみんなは、 今回の物語の中に出てくるキーアイテム、 3つの機械を作りました。 その機械とは……これはまだ秘密です。 いまの世の中の生きにくさ、 人類の未来を救うために必要な 3つの機械を、 それぞれまったく違った形で作り上げます。 電気を消す演出の中に、 浮かび上がる電飾の光が、 暗いホールに浮かび上がる 本番を想像させてくれます。 お父さんのために、 脚本に出てくる機械を作り上げたい、 そんなメンバーの強い思いが実現しました。 |
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休憩を挟み、ティータイムです。 えびすカボチャのパウンドケーキ がふるまわれました。 喫茶係のみんなが焼いたケーキに 仕事組のみんなが お誕生日スペシャルのデコレーションをしました。 ポスターのモチーフにもなっている歯車が、 粉砂糖で描かれています。 お母さんも大好きなカボチャのケーキです。 ケーキをいただきながら、 お母さんがカボチャのケーキにまつわる 思い出を話してくれました。 かぼちゃ本来の優しい甘みが 感じられる美味しいケーキでした。 |
ファッションショーは、後半へ入ります。 みくちゃんチームは、哲学者の集まりのチーム。 チーム名は、『我踊る、故に我在り』。 ああでもない、こうでもない、と語り合い、 追求して作り上げた作品です。 1曲の中で、1人の人間が持つ いくつもの顔を表現しました。 同一人物を、チームのメンバーが まったく違う衣装やダンスで表現する方法が とても新しいと感じました。 いつもはバンドでギターを弾くなおとさんが ボーカルを務めるのも、 誕生日会ならではの演出で、 お父さんお母さんも楽しんで見てくれました。 |
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みんなを楽しませる、 ユーモア溢れる演出を見せてくれたのが、 ゆりかちゃんチームです。 マイケル・ジャクソンの『ビート・イット』に合わせて、 なにやら不穏な空気のなか始まる、対決。 1対1で戦う彼らの勝負は、 ジャンケン、あっち向いてほい! 曲の激しさとの対比が面白く、 客席はおおいに笑いが起きます。
えりさちゃんのマイケル・ジャクソンになりきって歌い、 踊ったリップシンクダンスにも、 みんなが大盛り上がりでした。 予想外のキャラクターや演出を 思い切ってできるのも、 お誕生日会ならではの楽しみです。 お父さんとお母さんも、 「衣装はいまいちだったが、 演出は最高!本当に楽しかった」 となりきったメンバーの演技を絶賛でした。
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今回登場するであろうキャラクターの探偵。 そして、探偵が追う怪盗。 さあ、怪盗は何を盗むのか? 曲と演劇をミックスさせ、こんな展開もありなのか、 とお父さんを驚かせ、楽しませてくれた、 ゆいちゃんチーム。
なんと、怪盗が盗んだのは、モナ・リザのハート。 怪盗がモナ・リザの手をとり、2人の心は通じ合います。 絵の中から飛び出たモナ・リザと怪盗の愛のダンス。 そしてそれを追う探偵たち。 愛のダンスと、探偵と怪盗の攻防が、 次々と入れ替わるようにステージで表現され。 お父さんお母さん、私たちも 物語の世界に入り楽しみました。 「こういう絵からの出方もあるのか」 お父さんはこのショーから 新たな着想を得ることができたようです。 お父さんのコメントに、嬉しくなりました。
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ラストの作品は、まえちゃんチームです。 曲は、『ザ・グレイテスト』。 赤いドレスを着たなっちゃんが、 ステージの真ん中にエスコートされます。 メンバーは、モノクロの衣装に身を包み、 そのコントラストが映えます。 曲の始まりから、「え?」という意外性、驚きがあります。 うつぶせに横たわる、5人。
お父さんの感想での一言 「ものすごく、変です。へんだけど、面白い」。 まさにその言葉通り、踊り出す前から、 ステージに釘付けです。 ダンスは、短期間で振り付けを考え、 練習したとは思えないほどの 高いレベルでの仕上がりでした。 お父さんもダンスのレベルが高かったと言うように、 5人のダンサーの動きが揃っていました。 コミカルで、今までのダンスにはない 不思議な振り付けで、 こんなダンスをみんなで 踊ってみたいと思う振り付けです。 みんなからも歓声や拍手、笑いも起き、 1つの作品として とても魅力的で完成度の高いショーでした。
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ダンスだけではなく、演出も面白く、 魅力溢れるものでした。 新聞紙にくるまれた2人が、 曲の途中でその包みを破かれ、 白と黒のドレスに変身します。 スカートを使ったその衣装は、 不思議な形をしており、 今までにない形が生まれていました。
私たちが生み出し、私たちが表現する、ステージ。 お誕生日会は、みんなが主役になって 楽しめるステージです。 ショーに出演する1人ひとりが、 その役になりきり、楽しみ、 お父さんへの気持ちを全力で表現しました。
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美しい作品、格好いい作品、お腹が痛くなるほど笑ってしまうユーモラスな作品。 趣向は違っても、私はどのチームのショーを見ていても 切なくなるような気持ちで、涙が出ました。 それはきっと、チームの全員がこの日のために、全力を尽くして作ってきた 気持ちが溢れていたからだと思います。
産みの苦しみがありました。 どうしたらいいのか、悩んで、やりなおして、また1から作ったこともあります。 お父さんのために、コンサートのために、その思いを抱いて、 本当に真剣に、最後の最後まで諦めずに作ってきました。 その思いは、全てのチームにあります。 だから、泣けるのだと思いました。
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お父さんは、本当に嬉しそうに ショーを見てくれました。 私は、司会の席から お父さんの表情を見つめていました。 みんなの演技を見たい気持ちもあるけれど、 みんなを見つめるお父さんの笑顔を見ていると、 私はこの会をみんなと作れたことを心から 嬉しく思いました。 嬉しそうなお父さんの笑顔が 嬉しかったです。
司会の私たちは、チームのつなぎで、 いくつかの寸劇や、豆知識を披露しました。 これも、美術館や、レオナルド・ダ・ビンチに かけたものです。 前夜まゆこちゃんと2人で苦しみ悩みつつも、 楽しみながら生み出した演出たち。 お父さん、お母さんが、笑顔で楽しそうに 聴いてくれている姿を目にして安堵の気持ちと、 自分たちにできるベストでやりきった という気持ちがありました。 そして、作り上げる喜びを感じました。
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プログラムの最後、 お父さんへ贈るもう1つの作品があります。 歯車をイメージした色紙です。 みんなからのメッセージが 歯車の形をしたカードに書かれ、 組み合わせたデザインのお誕生日の色紙です。 70人の気持ちを込めて、お父さんにプレゼントしました。
お父さんは、会の最後に、こう言ってくれました。 「脚本を書く意欲が、お腹の底からわいてきました!」 みんなから、大きな拍手が起きます。 ショーを作って、本当に良かった、 私は、そう思いました。 その意欲は私たちにも宿っています。 ウィンターコンサートに向かう、 険しくも楽しい日々に、 全員で向かっていきます。 ダンス、演奏、コーラス、演劇、衣装に、 舞台背景、照明。 コンサートのステージを彩る それぞれのいくつものパーツが 12月7日、1つの形になります。
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〈お仕事組からもお父さんへプレゼントをしました!〉 |
私たちは、あるべき生き方を表現します。 自分たちの覚悟、誇りを表現します。 出逢うべき仲間に向けて、表現します。 お父さんに出会い見つけた希望を、表現します。 お父さんとお母さんと共に、 語られるべき物語を見つけていきます。
お父さんのお誕生日会が、 12月7日に向かう一歩になったことを 嬉しく思います。 お父さん、お誕生日おめでとうございます。
(なお)
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〈お父さんのお誕生日をお祝いして 卒業生から、たくさんのお花が届きました〉
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