« ★前のページ  ||  ★次のページ »

「1日の最後の光」 まゆみ




9月24日

 5時過ぎに学校を出ました。いつもの道を帰りました。作東夏祭りで通る道と同じです。
 いつも、今年の曲を脳内プレーヤーで流しながら走ります。最近はシーアが流れることが多いです。今日は『シャンデリア』『ザ・グレイテスト』『ネバー・ギブ・アップ』が一回りした後、丁度、農道に入るところでプレーヤーが静かになりました。

 慣れた道を、一定のスピードで走りました。お父さんに教えていただいてから、ガソリンの減りが少なくなりました。
 バックミラーに映る空は、気がついたら暗くなっていました。後ろから雲が追い掛けてくるようでした。明るい古吉野の方へ急ぎました。

 緩やかなカーブを抜けたところで、100メートル先ぐらいに、左半分が黄色くなった木が2本、目に入りました。小さな丘のようになった所の、天辺に生えています。
 あの木、あんな色してたかなぁ、と思いました。もう紅葉が始まったとか、にしては半分だけ進みが速すぎる。あ、光かな。強い光。しかもすごくピンポイント。
 なんて思いながら見ていると、やはりそれは光でした。
 左手から、思っていたより強い光が差してきました。あと3,40分もすれば木の陰に隠れてしまう位置でした。完全に沈んでしまう直前の少し悲しさを帯びた優しい光で、木々の頭を撫でていきました。

 その丘を越えて、どんどん市場の十字路が見えたとき、光は一斉に散っていきました。
 右手に続く木々は光を受けて、淡いオレンジ色に染まりました。いつも無口なアスファルトの道路も、この時ばかりは光と遊びたそうな表情をしていました。
 市場を過ぎると、今度は右手に田んぼが広がります。もう少し先には住宅が並んで、左手に田んぼが並びます。
ほとんど刈り取りが終わった田んぼも、まだ稲穂が残っているのかと見間違えそうになりました。田んぼに残った株や土の表面が、黄色いのです。住宅も、ぶどう棚も、光に包まれて穏やかそうに佇んでいました。もう秋になるよ、と、光の精が教えてくれているようでした。

 ふっと空を見たら、羊雲が少し繋がったような雲が、低い位置に延々と続いていました。どの雲も、左側を黄金で縁取って、右側にうっすら陰を従えていました。合間合間にちらと見える薄い青が、金の縁取りを静かに引き立てていました。
 その直後に姿を現した那岐山は、クリスマスツリーに飾り付ける綿の雪のような、柔らかい雲を頭に乗せていました。ふふ、すぐに冬も来るからね、と、先駆けて雲がやってきたようでした。
 まえちゃんのポスターと同じ空だ、と思いました。金と、少し深い青と、うっすらとした灰色。古吉野が近づくにつれて、その輪郭がはっきりと見えてきました。

 あんまり綺麗だったので、少し泣きたくなりました。
 夕の子畑まで来たところで、左手前方から、光の矢が刺さってきました。思わず目を閉じました。夕日が、1日の最後の光を、余すところなく投げかけていました。
 

« ★前のページ  ||  ★次のページ »







登録を解除される場合は、こちらをクリックください。




Copyright © なのはなファミリー―摂食障害からの回復施設―. All rights reserved.
Designed by Theme Junkie. Powered by WordPress sozai by :night on the planetヒバナ
Side effects medicine online pharmacy enter your Health Record number. Best-quality discount drugs http://online-pharmacy-rx.com `[!: Canadian drug stores works with a drugstore. Order and buy medicines through the Internet for the lowest prices in canadian pharmacy <;< generic viagra : Announcements of new drugs. Shares. Best price.