昆虫や動物が好きで触りたくなる気持ちについて 

 私は昆虫や動物が好きで、見ると嬉しくなり、カナブンなどは自分の手によじ登らせてみたくなります(害虫や害獣は別です)。
と同時に、鳥のひななどは自分が触ってはいけないものだし、生き物はすべてそれぞれの生活があるのだから自分が自分の欲で介入してはいけないし、自分が触ることでなにか身体の機能に支障が出たら嫌だと思う気持ちもあります。
 蝶や猫や犬や、きれいなカミキリムシなど、触ってみたい、自分の手を歩かせてみたいと思うのは、なぜなのでしょうか。またそれは、節度を持てばしても良いことですか。

 自分の答え
 学者でもなく、他にすべきことのある大人なので、欲で触るものではない。

 
 
 
【お父さんの答え】
お父さん:

 やっぱり犬とか猫、特に子供の動物は、可愛いですよね。触りたくなりますよ。それは、触っていいんじゃないかと僕は思います。
 カヌーイストの野田知佑はよく、釣りをするときはーー魚100匹を1束と数えますがーー1束、2束で釣ってしまう、それも焼いて食い散らかしてしまうと。だからあいつは相当な殺人者というか、魚にとっては殺人者ですよね。大量に殺す。でもね、殺せば殺すほど、触れば触るほど、魚への理解が深まるし愛着が深まるし、魚と親しくなれるし、魚好きになる、そんなふうに本で何度も書いていますね。まったく、同感です。
川にいる魚は100匹や200匹、穫られたところで大した影響はないだろう。僕はそういう考え方が好きですね。

 僕も小鳥をたくさん飼いまして、小さいときから、まあ、日本の野鳥、メジロ、ウグイス、ホオジロ、モズ、スズメ、から始まって、ジュウシマツ、紅雀、カナリア、セキセイインコ、アヒル、ウズラ、チャボ、に至るまで、もう色んな鳥を飼いましたね。で、たくさん殺しましたよ。死なれてしまったというか。そのたびに大泣きしてね。なんかこう、夜、ずっと泣き止まなくて泣いてるんですね。
 夜になって、うちに来たお客さんが両親に「健ちゃん、あれなんで泣いてるの?」「今日、飼ってた鳥が死んだんだよ。なんで、今頃まで泣いてんだか」と言われるくらい。随分泣きました。

 そういえばね、大きくなってから、マンション住まいだったんですけど、子供が、小学校の帰りに、校門前でヒヨコをもらってきたと言う。撮影で使ったあとの要らないヒヨコだからあげると言われてもらってきたらしい。こんなちっこい、ピヨピヨっていう黄色いヒヨコだった。みんなが1羽ずつ、もらったらしい。

「これ鶏の子供だけど、これ、きっとオスだよ。メスだったら卵生むからいいけど、こんなの飼ってもしょうがない」と言っても、飼いたい飼いたいと言うから飼ったんですね。

 それで、聞いたらね、同級生もみんな1羽ずつもらって帰ったけど、みんな早々に、1日、2日で死んだらしい。うちのは、まあ散々、鳥飼ってますから上手に飼えるんですね。どんどん大きくなっちゃって、育ってるのは隣近所でうちだけだった。
 最初、部屋の中で飼いたいと言ってたものだから、大きくなっても、ベランダに出すとその鶏が怒るの。「部屋に入れろ」と言ってね。
 それで、部屋の中の箱に入れておくと、「箱から出せ」って怒るわけ。我が物顔で、部屋の中を歩いてるんですよ。うんこの躾もできないから、そのへんでうんこするし、「だめだ」と言っても、しょうがないんです。うちの子供達の兄弟だと自分で思っている。我が物顔。
 で、子供らが学校行ったら箱に閉じ込めて、どんなに怒っても出さないんですけど、学校から帰ると出すでしょう。するとまた我が物顔で部屋中を歩く。ご飯のときも一丁前に並んで一緒に食べているのね。

 でね、あるとき、僕の実家に車で帰ろうということになって、もちろんそのまま連れて行くと言って、連れて行った。

 でも袋の中で、暴れるんですよ。ものすごく。車のシートをうんちで汚すとあれだからと言って、買い物袋の中に入れていた。ものすごく暴れて飛び出したがるので、車の中が窮屈なんだろうと思い、しょうがなくて途中の公園に寄った。途中休憩と言って、公園でうんちでもして、「少し休憩、涼め」と言って公園に放したんです。

 鶏は涼んで、適当にフラフラ行く。うちの子供が名前を呼ぶと、ターッて帰ってくるわけ。公園にいた人が、「ええ?! 手乗りニワトリですか」って。手に乗らないけどね。でも、よく慣れてますねえ、と。

 自分が鶏だと思ってないから。兄弟だと思ってるから、呼べばパッて来るし、全然、どこかに行ってしまう心配がないのね。人間の仲間だと思ってるから。鳥は珍しがるけど、人間の子供は全然、怖がらない。

 それでね、そのあとなんですよ。
 その時の車がワゴン車で、その後また袋に入れて、「うるさいから後ろに乗ってろ」って荷台の方に入れて、パタパタいってた。みんなで話しながら帰っていった。そのうち、子供の一人がシーンとなってるのにハッツと気がついて、荷台を見たら、「大変だ、ぐったりしてる!」って。袋の中で。
 見たら、もう死んでるんですよ。
 もうね……もう、一気にね、その車の中がね、もう……ガーンって、真っ暗な気持ちで沈みました。兄弟が一人、一番下の弟が亡くなったみたいでね。
 あの、鶏って、いやあ、暑いのでね、袋に入れちゃだめだったんですね。だめなんですよ。よく鶏をトラックで輸送してるの見ると、スースーに風が抜ける寒いかごで運んでるでしょう。ああ……、あんなふうにしないとだめだったのか、って気が付いたけどもう遅い。鶏に袋は暑かったんですね。暑さで熱中症ですよ。
 うわあ、と言って、子供らが僕のことを責め立てるわけ。「何で殺すようなことしたんだ」って。「なんでったって、みんなで一緒に見てたんじゃないか」。

 そしたら子供がね。
「お父さん、このままどこでもいいからぶつかって、みんなで死のう。一人で死なせるわけにいかない。お父さん、ダンプが通ったら思い切り正面衝突して」
「おいおい」

「もう、僕らは生きてる価値がない!」
 みんなわんわん泣きながら、子供が3人ともみんなで死のう、後を追おうと言って、大変だったんですよ。あの、本当にね。
 それくらい、子供も鳥好きでね。兄弟だと思ったら、だからみんなで泣きながら実家に帰ってね。
 みんな泣きながら行ったので、おばあちゃんとおじいちゃんが「どうしたの?」って。「いや、途中で、飼ってた鶏に死なれて」
 実家の庭へ穴掘って、みんなで泣きながら埋めてね。
 笑い事じゃない。僕もそのとき、どうしようかと思って、大変なことになったと思って。そういうことがありましたよ。辛い思い出ですが。

 だからね、身近に動物や虫や鳥がいると、豊かな心になるんじゃないでしょうか。どんどん動物でも、虫でも触りましょう。
 どんどん飼って、どんどんかわいがって、どんどん殺してもしょうがないじゃないですか。そんな感じがしますよね。

  

 

(2019年8月2日 掲載)









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第220回「握力について」
第221回「喜び合うための全力」

第1回から第65回までの「お父さんにきいてみよう」は、
こちらからご覧いただけます!
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