第174回「恐がりなことについて」

【質問】

 私は人より、何かを“恐い”と感じる気持ちが強いです。
 作業をしていて、恐いと感じるものが多く、動きにくいです。
 
(例) 
・ノコギリ、ナタなど、刃物が恐い。
・コンロの火や焚き火の火が恐い。
・高いところが恐い。脚立に乗ることが恐い。
・斜面など、不安定な場所に立つことが恐い。
・長いもの(竹など)を扱うことが恐い。
・リーダーさんなど、人が恐い。
 
 これらのものを恐いと感じる気持ちは自分の精神状態によって強くなったり弱くなったりします。恐怖心が強いときは作業に入れなかったり、誰かに頼んでポジションを変わってもらうということもあります。精神状態が良いときは、うっすら恐いと感じるけれど、だいたいのものは作業に支障がないくらいには扱えます。
 
 ①この過剰に恐いと思う気持ちは、どこから来ているのですか。
 ②これは改善できますか。
 ③恐いと感じるときは、恐いと思うことに手を出さず、別の、自分にできることをやる、で合っていますか。

 

〈自分の答え〉
 ①自分を守りたい、という気持ちから来ている。
 ②自分を過剰に守りたいという気持ちが取れれば改善する。
 ③恐いと感じるときは、失敗するイメージを強く持ってしまうので、失敗したり怪我をしやすい。出過ぎず控えたほうが良い。

 

 また、高いところが恐い。足場が不安定なところに立つことが恐いということに関して、以前、質問箱に、「私はバランス感覚が鈍いと思う」という質問を入れさせていただいたことがありました。
 それは気のせいではなく、おそらく精神的な理由から来ている、と教えていただいたのですが、脚立や斜面など、足場が不安定な場所が恐いというのは、人よりバランスを取る能力が低いから怖く感じるのではないか、という気がします。恐いという気がする、というだけではなく実際危ないのではないかと思います。
 この考えについてどう思われますか。

 

 

【答え】
お父さん:
 そうですね。1番の、「この過剰に恐いと思う気持ちはどこから来ているのですか」というのは、自分を守りたいという気持ちが強い、ということですよね。……それは3つくらい原因があるのかなと思うんですね。
 1つは、その刃物で怪我をしたとか、高いところから落ちるとかして、恐い思いをした経験がある、ということがまず1つめの理由ですね。
 2つめの理由は、ちょっとアスペルガー要素のある人というのは、その状況をちゃんと認識しにくいので、無意識のうちに慣れていないものは恐いと思っちゃうんですね。
 それと、傷ついた人は、三半規管が弱いので、高いところは本能的に恐いと思っちゃうんですね。
 それと、親から結構厳しく叱られた人は、こんなところに乗ったら親に叱られるんじゃないかみたいな、親から叱られる、なにか変わったことをやると叱られるというそういう怖さ。
 4つ、言っちゃいましたね。
 4つの理由があるんじゃないかなというふうに思いますよね。
 それらは全部自分を守りたいというのにも通じます。だから、自分を過剰に守りたいという気持ちが取れれば改善する、ということだと思いますね。

 

 僕は小学校1年生のとき、校内に、タイルで作った50センチくらいの高さの池があって、そこで友達が船を浮かべていたんですね。で、船がこっちへ流れて来たので、取ってあげようと思って、身を乗り出して腕を伸ばしたら、前のめりで頭からどぽんと全身が池に落ちたことがある。全身ずぶ濡れで非常にびっくりしました。落ちるとは思ってなかったのでね。池の中にすっぽりと。びっくりしましたね。冷たい池の中に。それも入学してすぐの頃でしたからね。
 それから僕は、思いがけなく落ちることがあるということを学習したんですね。いわゆる高所恐怖症になりましたね。落ちると思ってなくても落ちるんだと。
 だから脚立なんか乗っても、落ちるイメージを先にしちゃう。落ちたらここに飛び降りよう。落ち方と落ちる場所を決めないと安心して乗ってられない。今でもあります。

 

 「コンロの火や焚き火の火が恐い」。焚き火って面白いですよね。いつまで見ても見飽きない。ただ僕なんかが恐いのは、これで火事を出したらどうしようとか山火事になったらどうしようとか。責任ありますからね。そういう怖さというのはありますよ。
 僕は社会人になって1年目にね、あの……土木建築会社に入ったって言いました。で、割と大きい建築会社だったので、大掛かりな工事が多かったんです。
 ある工事――僕4つの工事しかやってないですけど、その4つのうちの1つで、中国自動車道の新設工事に行きました。そこで生コンプラントを作ることになったんです。プラントを作っちゃうんですね。それで、何の作物も作られていない原野というか、広い原っぱにプラントを作ることになった。そこの枯れ草を全部、燃やしなさい、といわれて担当になったんです。僕ともうひとりの先輩が担当でした。
 その日は建設省から役人が視察に来る日でした。ここにプラントを作って進めますというのも視察の一部に入っていた。
 先輩と僕が野原に火をつけて、燃やしていたら、風が強くて、予想以上にどんどん、どんどん燃え広がっていくですね。危ないな、火事になるかもしれないな、と思いました。
 それで、それ以上燃え広がらないように、消そうということにして、小枝を束にしたので火を叩いて消して歩くんですけど、消しても消してもどんどん広がっていく。だいぶ離れたところに家があったんですけど、その枯れ草が燃え広がって、どんどんその家に火が近づいていくんです。あの家まで燃してしまったら大変だと、2人してもう煤で真っ黒になりながらバタバタ、バタバタと火の最先端を叩いて回ったけどどうにもならない。
 そこへ、建設省の役人が数人、会社の上司の人たちと見に来た。
「これ何やってんだ」と建設省の役人が言っていた。
 会社の上司は、「ちょっと野っ原を焼いて、ここにプラント作ることにしているんで」
「それはいいけど、……これ火事じゃないのか?」
 火事っぽいぞこれ、って誰の目にも明らかに火事ですよ。
 最初は平静を装っていた上司が、「……そんなふうにも見えますね」と言って、上司も慌てていろんな物持って火を叩いて消し始めると、建設省の役人も一緒になって火を叩いて消すのを手伝ってくれてね
 これほんとに火事になるぞと思って肝を冷やして、必死でしたから、みんなが消火を手伝ってくれるのがほんとにありがたかった。そして、どんどん火が近づいていった家を燃やさないで済んだんです。
 火を消し終わった頃は、みんな肩でゼエゼエ、息をしてました。
「良かったな火事にならなくて。まあしっかりやれや」と建設省の役人が帰りました。
 僕と先輩は、まずかったんじゃないか、建設省の元請けの資格を会社が剥奪されるんじゃないかと心配して上司に聞きました。
「今の大丈夫なんですか」「いいだろう。火事にならなかったから」って。
 世の中は、けっこう太っ腹なんだなと思いましたよ。
 火事にしようと思わなくても火事になってしまうことがある、ということを身をもって学びました。だから火は恐いですよ。ほんとに恐いです。

 

 長いものを扱うことが恐い。これ恐いですよ。
 これはね、僕は小学校5年生くらいのときですね。水戸の近くの大洗という、父方の実家におばあちゃんがいたんですね。それで、「健坊、これ運んで」と言われて、なにかと思ったら、別宅にあった障子を、こっちの家へ運んでくれというわけなんだね。僕は小学校5年生だったから、障子の建具1つくらいなら運べる。
 こうやって横にして肩にかついで運んでたら、おばあちゃんに後ろから「健坊」って声をかけられて、「何?」って言って振り向いたら、おばあちゃんの頭にその障子の角がガンッて当たった。ドリフターズのコントで見るような、お笑いのような当たり方ですよ。
 ところがおばあちゃんが、怒っちゃってね。むくれて、「こら!」っていって、怒りを露にしたあと、怒ってササッと家に入って寝込んじゃったんです。悪いことをしたな、と思ったけど、どう謝っていいかわからないし、ほんと、長いものは恐いなと思いましたよ。それから長いものが恐いです。
 この人と一緒と言えば一緒で、長いものは、どこかにぶつけちゃうよと思いますね。ほんとに恐い。人生、恐いことだらけですよ、本当にね。

 

 で、なんだっけ? この人の質問。なんだっけかね。
 そうそう、この過剰に恐いと思う気持ちはどこからきているんですか、という質問。
 この過剰に恐いと思う気持ちは、そういう今言った4つの理由と体験からきている、と思いますよ。
 で、「これは改善できますか」。
 うーん、だからね、ちょっとくらい改善したほうがいいけど、あんまり改善しなくていいですよ。恐いものを作っておきましょう、と僕は言いたい。
「恐いと感じるときは恐いと思うことに手を出さず、別の自分ができることをやる」。そうですね、ほんとにそう思ってますよ。
 
 最近、ようやくこの夢を見なくなりましたけど、皆はこんな夢を見たことがないですか。昔、どこの小学校にも運動場に肋木(ろくぼく)という遊具がありましたね。幅が狭くて横棒がたくさんついた遊具です。
 夜、布団の中で寝てるでしょ。ちょっとビクッて身体がなったときに、肋木の上で横になっていた身体がボタンッて横になったまま落ちる夢です。よく、寝入りばなにそうなりました。「わあ!」って驚くと、布団の中なんですよね。
 ないですか? あるでしょ? いやあ、びっくりしたあ、布団の中でよかった、みたいなね。ちょっとそういう寝入りばな、半分意識が飛んだときにそういうことありますよね。そういうことがあって。ま、全然、関係ないですけど。
 ただいつも、何かから落ちるイメージがあると、脚立の上でなんか作業してて、落ちるかもしれない、って思ううちに勝手にバランス崩してなんでもないのに落ちるということあるでしょ。危ないと思うとほんとにバランス崩しちゃうんですね。階段を降りてる途中で、普通に足出せばいいのに、階段歩いてるのを忘れてね、階段って気がついた途端にびっくりして転びそうになっちゃう。そういう事あるんですよ。
 だからね、そういうことはだいたいあるものだ、と思うことにしましょう。
 
 やっぱり集中力がないときはそういう事があったり、過剰に疲れて緊張が続いたときは、夜寝てて肋木から落ちそうになったりね。それが睡眠が足りてて気持ちが充実してるときにはわりかしないので、心身ともに充実しているときには少しリスクをとってもいい。ちょっと恐いなというときにはリスクを取らない。
 これはもう元気な人も元気じゃない人も全部共通していて、自分がリスクを取っていいのか、それとも今はリスクを取らないほうがいい時期なのか。自分のコンディションがいいのか悪いのか。これは、いつも意識したほうがいいですね。
 こういう時代ですから、外へ出るときも、今日は調子が良いのか悪いのかっていうのをわかって出たほうがいいです。
 今は車もオートバイも自転車もいっぱい走ってますよね。で、自分が運転しててもそうですけど、今日はなんか、集中力なくて事故しそうだなと思ったらあまり余計なところに行かないとか、早めに帰ってくるとか、いつもよりゆっくり走るとか気をつけたほうがいいし、歩いていても、世の中にいろんな人いますからね、今日は集中力がなくてなんかこう、自分が人に迷惑かけちゃうかもしれないし、いつの間にかよそ見してる人が来て、その人にぶつけられてもよけられないかもしれない。
 畑作業もそうで、今日は調子が悪いと思ったら、今日は控えめに動こう、調子がいいなと思ったら少しリスクをとってしっかり仕事をやる。それくらいメリハリつけて仕事をしたら、安全かもしれませんね。
 危ないなと思ったら作業を代わってもらう、自分が無理なくできることをする、というので合っています。
 
 
(2019年4月16日掲載)








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第72回「小さいころからの恐怖心」
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第1回から第65回までの「お父さんにきいてみよう」は、
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