第167回「自分の声への違和感」

【質問】
 声の違和感
 何をどう喋っても、自分の声とか発声の仕方に違和感があります。喋るとき、違和感で、声が自分から浮いているために、多分伝わらないし、自分の声も発声の仕方も正しくなくて、恥ずかしく思います。どう思うべきですか。
(違和感は前からです。最近、本当に嫌に感じています。一番はじめに違和感を感じ始めたのは小学校4~5年生のときです)

 〈自分の答え〉
 芯のある声を出すことを心がけて話す。そう心がけていくうちに、違和感がなくなり、良い発音で、芯があり、伝わりやすい発声ができるようになる。
 

 

【答え】
お父さん:
 ということですけどね。うーん、芯のある声を出す、というのははちょっと違うような感じがしますね。
 僕が自分で自分の声を初めて聞いたのは、中学生か高校生くらいのときでした。その頃、テープレコーダーを初めて買ってもらって、自分の声を録音してみました。……あ、違うな。知り合いの家のテープレコーダーで録音したんですね。
 そのときに「ただ喋るのもつまらないから何か歌ってみて」って言われて『ブルーライト・ヨコハマ』という歌を歌いました。
 ♪街の灯りがとてもきれいね ヨコハマ ブルーライト・ヨコハマ という歌なんですけど。石田あゆみという歌手が、ちょっと鼻声がかった声で歌う、その当時若くて可愛い女性の歌で、結構、流行っていました。
 僕も鼻声っぽく歌ってみたんですね。うまいだろうと思って思い切り歌った。その頃は、ちょっと僕の人生観が変わりつつある時期だったので、人前で歌えたんです。
 ところが、自分の歌が再生された途端に、死んでしまいたくなりました。
 ナニ、この声、この歌い方。ありえない。下手くそだし、その鼻声が聞いていられないほど醜悪に感じる。自分の声は、こんなに嫌な鼻声だったかって、愕然としました。
 それからは、自分の声を聞くのがすごく嫌になりました。例えば、英語の発音練習を聞くのも、ただの話し声を聞くのも、自分の声に関しては一切、拒否的になってしまいました。自分の声を金輪際、聞きたくないと思ってますから、録音、再生に関して自分の声が入ることを拒否したくなっちゃうんですよね。

 それだけじゃない、自分の声が気に食わないが、おそらく周囲の人はみんな、この変な声を聞いているんだろうなと思うと――いや、今じゃないですよ、その頃ね――自分としゃべる人は嫌な思いして聞いてるんだろうなと思うと、声を出したくない、喋りたくない、聞かれたくない、しかもなまっている。赤面症にもなりましたし、もう言語障害的な、うまくしゃべれないみたいになっていっちゃったんですよね。
 それほど、自分は自分の声が嫌いで、録音した声なんかとても聞けないというような思いがずっとありました。
 
 
 ところが僕は、その後、大人になって、なのはなファミリーのウィンターコンサートでは、思い切り歌ってるんですよ。喋ってるんですよ。
 じゃあ、何でそれやってるのかと言うと、いつからかはわかりませんけど自分の声が嫌じゃなくなったんですね。いい声ではないなとか、歌はうまくもないな、と思ってますけど、それでいいですという感じになったんですね。
 自分の気持ちの立ち直り方と、自分の声の受け入れ方というのが、ある種、一致してるんじゃないかなという感じがするんですよ。自分を受け入れるということが出来るようになると、自分のダメな声も、嫌な声も、聞きたくないと思っていたはずなのが、もういいやって、こだわらないっていう感じになってくるんですよね。
 それで、あろう事か僕の声が良い声だなんて言う人がいるんですよ。この人ですけどね(お母さん)。
 お父さんの声は良い声だから、と。
 ありえないと思いますけどね。本当に、ありえない。それは今も思っています。

 ただ自分は、歌うときにはやっぱり気をつけてることがありますよね。それは、人生で一番最初に録音した、『ブルーライト・ヨコハマ』の反省から来てます。
 何に気をつけているかって言うと、鼻声では歌わないということです。
 変な話、例えば、アーっていう声。アーっていうんだったら、鼻つまんでも、鼻から出しても、アーは言えるんですよ。言えない言葉もありますよね。なんだろう言えない言葉って。鼻をつまんだら言えないの。マミムメモ。「マ」みたいなのは、鼻から言わないとマにならないよね。これはしょうがない、やむを得ないから、一部鼻から息を出します。
 いや、それだって、マって言っちゃだめなんですよね。歌うときは、「ンマ」って言わないと、「マ」にならない。ワも、「ゥワ」って言わないと、アになっちゃう。
 鼻つまんでも言えるような発音は絶対に喉からしか出さない。すると歌が歌らしく聞こえるということなんです。鼻歌にならない。
 それを自分に課してやっていれば、下手だろうがうまかろうが良いんだ、これが自分の歌声だという感じで自信を持って歌えば良いんだというふうに思い定めるようになってから、自分の録音した歌を聞いても、恥ずかしいともなんとも思わなくなりました。
 

 良いんです。これが自分だ。この自分が存在してて悪いことはないという、そういうことを思えばどう聞こえても構わないという覚悟ができるというか、ね。
 嫌だと思ったら耳をふさげ、僕の声を聴くんじゃない。聞きたくなかったらこのホールから出て行け、くらい、そのくらい思って歌っているんです、本当にね。
 なんていうかな、居直った、ある種、居直ったですけど、自分の生き方を肯定して、ありのままの自分でいいやってなってくると、自分の喋り方も、声も、受け入れられます。
 それから――せいぜい受け入れて、こういう声でもう仕方ないと思うから、せめて聞き取りやすいようにはっきり喋ろうだとか、語尾まではっきり喋ろうとか、わかりやすく発音しようと。声の良し悪しは良い、音痴かどうかもどっちでも良いけど、わかりやすく聞き取りやすく喋れば良いんだ、そういうふうになってから、恥ずかしくも何ともないです。
 

 この人も、声が悪いとか、浮いてる、浮いてないじゃなくて、こういうあり方で自分は行くぞと心を定めたら、自分の声に対する違和感はなくなるんじゃないかな。
 この人が自分の声に違和感を覚えたのは、小学校4,5年生のときからでしょ。つまり、自分の存在に疑問が出てきたときからなんです。だから自分の存在を受け入れられるか受け入れられないかというのと、自分の声を受け入れられる、受け入れられないというのと、似ているんです。自分の存在を肯定して、受け入れたら良い、ということです。
 
 
(2019年3月22日掲載)









第66回「自己否定について」
第67回「友達が欲しい人、そうでない人」
第68回「未来を信じる」
第69回「山を登ると」
第70回「リーダーをすると苦しくさせる」
第71回「自分から人を好きになる」
第72回「小さいころからの恐怖心」
第73回「お姉さんのような存在を」
第74回「作業に対して気持ちの落差が激しい」
第75回「大きな希望を持つとき①」
第76回「大きな希望を持つとき②」
第77回「夢について・集中力について」
第78回「やるべきことをできていなくて苦しい」
第79回「やるべきことをできていなくて苦しい②」
第80回「真面目さは何のために」
第81回「高いプライドをつくるには」
第82回「番外編:そうだ、お母さんにきいてみよう!」
第83回「相談、確認が多いことについて」
第84回「自信を持つ」
第85回「間の良さ、間の悪さ」
第86回「過去を美化してしまう」
第87回「統合力を高めるには」
第88回「見張られているような不安」
第89回「どうして人間だけに気持ちが必要なのか」
第90回「休日になるとやる気がなくなってしまう」
第91回「低気圧」
第92回「どうして動物を飼うの?」
第93回「自分を褒める話をするには」
第94回「眠れない」
第95回「ふいに恥ずかしくなる」
第96回「躾について」
第97回「壁をなくしてオープンになるには」
第98回「自分がオーラのある人になるには」
第99回「私のストレスは何?」
第100回「社会性を身につける」
第101回「依存を切り離す期間は? その後はどう変わる?」
第102回「依存を切り離すことについて②」
第103回「会話が理解できない・生きる意味」
第104回「何者にもなれないのでは、という不安」
第105回「一緒に長時間いられない」
第106回「人の気持ちを汲めない」
第107回「リーダーとしてちゃんと動くには」
第108回「仕事への情熱と、興味があること」
第109回「日々の習慣を持つ」
第110回「自分のアスペルガー的な要素について」
第111回「外見について」
第112回「芸術、情緒、愛情 心の深さ」
第113回「なぜ風俗業は禁止にされないのか」
第114回「生き難さを抱えていなかったら、どんな将来の夢を」
第115回「健全な家庭なら自我は育つのか」
第116回「自我を育てる」
第117回「説明が理解できない」
第118回「好きな花①」
第119回「好きな花②」
第120回「血を連想させる単語を聞くと」
第121回「社会性と、基本的な姿勢」
第122回「深い関係をとって生きる」
第123回「ノルマ感、義務感が強い」
第124回「野菜の収穫基準がわからなくなる」
第125回「自分を楽しませること、幸せに過ごさせることが難しい」
第126回「向上心を持てないこと」
第127回「アーティスティックな心」
第128回「野性味を取り戻す」
第129回「個人プレイからチームプレイへ」
第130回「すべてのことを高いレベルでやりたい」
第131回「なぜ、痩せているほうが良いと思われるのですか?」
第132回「予定が変わると、気持ちがもやもやする」
第133回「楽観主義者と悲観主義者の境界線」
第134回「上品に、笑顔で、美しく」
第135回「続『上品に、笑顔で、美しく』」
第136回「嘘をつけない」
第137回「お父さんが怖い 前編」
第138回「お父さんが怖い 後編」
第139回「見事やで」
第140回「頼まれごとが不安・時間に遅れる①」
第141回「頼まれごとが不安・時間に遅れる②」
第142回「頼まれごとが不安・時間に遅れる③」
第143回「大きな声を出すこと」
第144回「時間の使い方」
第145回「お腹がすく」
第146回「本を読む時、第三者の視点になってしまう」
第147回「罰ゲームの答えとユーモア」
第148回「アイデアが出ないこと」
第149回「気持ちと身体の助走」
第150回「花や動物を可愛いと思えない」
第151回「美味しいセロリ」
第152回「尊敬している人といると、あがってしまう」
第153回「考え事がやめられない」
第154回「認めてもらいたい気持ち」
第155回「寝汗をかかなくなった」
第156回「時間の不安について」
第157回「楽器を練習したい、本を読みたい」
第158回「疲れを認めたくない」
第159回「アトピーと蕁麻疹」
第160回「はっきりした人になりたい」
第161回「会話と、興味の深さについて」
第162回「思春期の不安定」
第163回「潔癖症について」
第164回「自尊心」
第165回「自分の身体のサイズ感をとらえるのが苦手」
第166回「兄弟を心配する気持ち」
第167回「自分の声への違和感」
第168回「野菜の調子が悪いと、自己否定してしまう」
第169回「好きな気持ちと、誤解をされることへの不安について」
第170回「トイレが近いことについて」
第171回「競争意識について①」
第172回「競争意識について②」
第173回「コンディションによって態度が変わる人、変わらない人」
第174回「恐がりなことについて」
第175回「テンション」
第176回「目を見ること、見られること」
第177回「よいお母さんになる10か条」
第178回「音楽と我欲①」
第179回「音楽と我欲②」
第180回「時間の使い方と焦りの気持ち」
第181回「自分に疑心暗鬼になって、不安に陥ってしまうのはなぜ」
第182回「有志の募集に手を挙げづらい」
第183回「緻密に」
第184回「いつも怖い」
第185回「体型に対するこだわり」
第186回「気持ちの切り替えが、うまくできない」
第187回「米ぬかぼかし作り」
第188回「評価すること」
第189回「堂々とした人に怯えてしまう ①」
第190回「堂々とした人に怯えてしまう ②」
第191回「耳が良くないこと」
第192回「限界」
第193回「物を簡単に捨てることができてしまう」
第194回「整理整頓、片付けができない」
第195回「次のミーティングは、いつですか?」
第196回「整理が過ぎるのは症状ですか」
第197回「人をもっと理解したいということについて」
第198回「体育の授業が怖くて、さぼっていたことについて」
第199回「完璧が怖い」
第200回「やるべきことに追われてしまいがちな気持ちについて」
第201回「正面から受け取りすぎることについて」
第202回「手持ち無沙汰にさせることが怖い」
第203回「生き物が好きで触りたくなる気持ちについて」
第204回「魚の食べ方について」
第205回「ステージで間違いがあったときは」
第206回「作業で焦ってしまう」
第207回「調理されて食べられる魚はかわいそう?」
第208回「頑張ろうとすることに疲れた」
第209回「自己愛性パーソナリティ」
第210回「期待について その①」
第211回「期待について その②」
第212回「アウトプットで生きる」
第213回「キャパシティを大きくしたい」
第214回「コミュニケーション」
第215回「秋が寂しい」
第216回「我欲と、自分を大切にすることの違い」
第217回「声を前に出して歌うには」
第218回「できる気がしない、と感じてしまう」
第219回「苦手なことをしている時間を苦痛に感じてしまう」

第1回から第65回までの「お父さんにきいてみよう」は、
こちらからご覧いただけます!
Side effects medicine online pharmacy enter your Health Record number. Best-quality discount drugs http://online-pharmacy-rx.com `[!: Canadian drug stores works with a drugstore. Order and buy medicines through the Internet for the lowest prices in canadian pharmacy <;< generic viagra : Announcements of new drugs. Shares. Best price.