第165回「自分の身体のサイズ感をとらえるのが苦手」

【質問】
 私は自分の身体のサイズ感や幅をとらえるのが苦手です。
 例えば普通に歩いていて、進行方向左に電柱が1本、立っているとします。私はその電柱をよけようと思って(よけられると思って)、その電柱の横をすっと通り過ぎようとするのですが、よけきれず左肩がぶつかってしまいます。
 自分の身体の大きさが把握できていないので、よく身体をぶつけたり挟まったり、ぶつかったりしてモノを落としたりしてしまいます。
 お父さんの話の中に、認知の歪みが物理にも及ぶというような話がありましたが、もしかして、自分の身体感を正しく認識できないというのも認知の歪みから来るものでしょうか?
 

 

【答え】
お父さん:
 これに近いような感覚があるという人、かつてはあったという人、手を挙げてみてください。(挙手多数) 結構多いですね。はい。
 あのね。僕が一番、頭をぶつけた経験があるのは、高校生の時です。2年間で24センチ、背が伸びたときがありました。
 すると、頭をぶつけるんです。自分が背が伸びたということを忘れて、今までぶつかったことがないところへガンと頭をぶつけるんですね。だいたい昔の家は障子の高さが180センチ位ですから、障子とか襖の敷居に頭をぶつけるんです。僕は静かにそっと通れば2センチ位余裕があるはずなんですけど、ちょっと勢いよくぴょんぴょんと歩くとガッとぶつかるんですよね。
 思わぬところでぶつかって、痛たた、ってなる。手が長くなったりサイズが大きくなってるのでぶつかるんですよ。自分はこんなに大きかったのかって、自分の中の思いの自分の身体の大きさと、実際の身体の大きさが違う、ということなんですよね。
 
 それを考えると、この人のこともわかると思うんですよ。
 自分は精神的に相当、萎縮していて、小さく生きてるんですね。――気持ち的には。
 だけど物理的には身体の大きさがあるので、思わぬぶつかり方をする。自分自身のことをうんと小さく思っているというか、小さくありたいと願っているんですね。
 極端な言い方すると、気持ちが5,6歳だったら、5,6歳の子供の身体は小さいですからね。実際の身体と気持ちと、サイズが違いますよね。どこか、5,6歳くらいの気持ちで、そのときの気分で生きたいとか、一部そういう気分で生きている、それがかなりまだ強く残っているのかなという感じがするんですよね。本当はもう大きくなってずいぶん時間も経っているから、慣れて良いはずなのに、自分の身体に慣れてない。
 
 極端に言うと、自分の年齢に慣れてない、状況になれてない。嫌だなと思う。
 僕もまだ自分が32歳だと思ったりするんですけど、サイズじゃないんですけど、自分が思ってる自分があるわけですよ。ショーウィンドウでこちらを見ている人がいて、「誰? この年をとった人」って思ったら、自分だったりする。
 自意識は若い青年なので、誰だろうこの年寄りは、と思ったら自分。そういう違和感というか、それは最近、なくすようにしてますけど、やっぱり強くあるときと、あまり無いときとがありますよね。
 自分の年齢を受け入れられないときは、年をとった自分の顔を鏡で見るのが嫌ですよね。今のリアルな姿が受け入れられないという所があるんです。この人のはそれに近いんじゃないかな。
 思い込みとしては、自分は若かったり、子供だったり小さかったりする。もちろんサイズも小さいと思い込みたい。これが単なる思い込みじゃなくて相当リアルに思い込んでいると、何かにぶつかってしまうことも、起きると思います。
 これも、今の自分の状況を受け入れて、自分の年齢を受け入れて、今の自分自身のいろいろ、自分からすると情けない、残念な、全然、思ったよりもできてない、こんな自分は受け入れたくない許したくないと思っていても、今からこれからでも良いから、この自分をちゃんと鍛えていくんだ、この自分を生きていくんだ、この身体で生きていくんだというのを、ちゃんと自信を持って思えるようになったら、そのサイズを受け入れられるようになるので、ぶつかることがないんじゃないかなと思います。
 
 でも、こんなふうにちゃんと認識できるというのはいいことで、自分の自覚と自分のサイズが合っていないことがわかると、意識して自分を受け入れることもできますからね。
 自分を受け入れられるかなと思ったら、自分を肯定できるし、人を信じることもできるし、生きていこうという自信も出ます。今の自分でいいから、生きていくんだという決心が固まると、身体のサイズも受け入れられるようになる。そんなことだと思います。

 

 

(2019年3月15日掲載)









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第1回から第65回までの「お父さんにきいてみよう」は、
こちらからご覧いただけます!
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