第154回「認めてもらいたい気持ち」

【質問】
 私には、認めてもらいたい、という気持ちが強くあります。
 その反面、ほめられたりしても、それがお世辞にしか思えず、相手の言葉を信じることができません。かわいそうだから言ってくれているようにさえ感じます。
 どうしてこう思ってしまうのですか。

・自分の答え
 1,実際にお世辞的なところがあるから、そう感じてしまう。
 そんなふうに感じなくなるためには、人格を高めること。
 
 2,ひねくれている。(その場合、どうすれば直りますか)
 

 
 

【答え】
お父さん:
 認めてもらいたいという気持ちが強くあるということですけど、多分ここにいる人は全員、自分のことを認めてもらいたいという気持ちを強く持っていると思います。誰でも、人は、自分のことを認めてもらいたいという気持ちを持っているんじゃないでしょうか。
 

 褒められると、それが嘘のように感じてしまう。これは人によって違いますよね。それは、前提として、自己否定の気持ちとか、自己嫌悪の気持ちを強く持っていると、褒められてもなんか嘘くさく感じてしまうということです。
 自己否定の気持ちというのは、まあ症状ですよね。自己嫌悪の気持ちというのはね。

 ちょっと前にも話しましたけど、誰でも自分に誇りを持つ気持ちと、自分を否定したい気持ちがあります。とくに思春期には自分を否定したい気持ちが強くなります。
 自分を褒めたい気持ちと、それから自分をけなしたい気持ちと、両方持っているんですね。
 で、それが、摂食障害になった人というのは、自分を否定する気持ちが、特に強くなってしまいがちです。
 この人も、そんなふうに強すぎるくらい強く持っているので、褒められても信じられなくて、お世辞にしか聞こえない、あまり嬉しくないとなってしまうんですね。
 この、答えにある、「ひねくれている」ということではないですね。
 自己否定の気持ちが強いのは、摂食障害の症状では、一般的ですね。
 では、これをどうやって、なおしていくか。
 

 あの……そう、自分を認めてもらいたい、っていうのは、自分の内側に向かう気持ちです。
 で、僕は、「あまり反省はしないほうが良いです」ってよく言っています。反省というのは過去を振り返って、自分の内側に向かう気持ちですよね。認めてもらいたいというのも、自分の内側に向かう気持ちですよね。そういう内側に向かう気持ちは、あまり持たないほうがいいんです。
 人は、反省したり、自分の内側に向かって、気持ちをあれこれといじくりまわさないほうが良い、と思うんです。
 じゃあ、どうしても内側に向いてしまうときはどうしたらいいか、ということなんですけど、気持ちを外に向けるんですね。
 人間の脳みそって一つのことしかできないんです。だから、外側に向けて、誰かを強く認めて、すごいなと思ってしまう。偉いな、あの人はすごい、あの人も偉い、そういう気持ちを強く持つ。すると自分はどうか、というのを考えることができません。頭の中を、あの人はこんなふうにすごい、この人はこんなふうにすごい、と常に外側へ向けて、プラスの気持ちでいっぱいにしてしまうと、内側に向かう余力がなくなるんです。この人みたいになりたいな、この人のこういうところを自分も吸収したいな、という気持ちを強く持つだけでいいんです。
 そうすると、自分がどうかというのを忘れちゃうので、自分の評価なんかどうでも良くなってしまう、ということです。
 そうやって外側に気持ちを向けていると、「認めてもらいたい」という気持ちはかなり薄くなります。
 

 で、ものすごくりっぱな人を尊敬する気持ち、偉いなと思う気持ちがあれば、そのことについて自分はその人より下なわけですよ。
 例えばギターの上手な人がいたとして、自分はまだだけど、この人みたいになりたいな、と思うと、純粋に憧れの気持ちだけなので、自分をいい気持ちにさせるんですよ。自分がこの人と比べて下手だ、ということはどうでもよくなる。
 誰かのことをプラスに思う、好きになる。憧れる。そういうプラスの感情を持つときというのは、無意識に自分を肯定できるんです。あの人が好き。そんな自分が好き、みたいなね。割と自分を肯定できちゃうんですよね。だからそういう、好き、好き、好きっていう気持ちを持つといいんです。あの人を認めたいな。誰が認めなくても私があの人を認める、そういう気持ちを普段から持っているということが、すごく大事なんじゃないかなと思います。
 

 それと、自分を認めてもらいたい、という気持ちは、少し後ろ向きな感じがします。
 自分が高い目標を設定して、そこに向かって進んでいる人は、きっとこう思うでしょう。
「今の自分はまだまだです。いまの自分よりも、3年後、5年後の私を見てくださいよ」
 そういう気持ちを自分でも持っているので、今の自分を評価してほしいという気持ちは希薄になります。むしろ目標からすると、全然、できていないので、まだ評価しないでほしい、どうしても評価されるなら、うんと低い評価でかまいません、という気持ちになるでしょうね。
 この先、自分に伸びがない、という人なら今を評価してほしいでしょうね。それって、後ろ向きだな、と思います。

 ふと、考えてみたら自分は認めてもらいたいなという気持ちがあったとしても、それは誰だって当たり前ですよね。
 もっと、もっと、いろんな人の役に立ちたいな、みんなの役に立ってみんなに認めてもらいたいなと思うから何かいろいろ努力するんだし、一生懸命動くのであって、誰にも認められなくていいよ、というのはそれこそひねくれた人の発想ですよね。
 自分を否定しない。否定する気持ちがちらほらあったとしても、それはそれで良しとして、あの人みたくなろう、この人みたくなろうというのを強く意識する。そうすると、褒められたときに、嘘だ、みたいな気持ちはなくなります。

 

 

(2019年2月5日掲載)









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第1回から第65回までの「お父さんにきいてみよう」は、
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