第137回「お父さんが怖い 前編」

【質問】
『お父さんを恐いと思う気持ちが取れない』

 私は、未だに、お父さんのことを、どのような人なのかよくわからない、恐いと感じてしまいます。
 お父さんからは、暖かく接していただくこともあれば、怒られることもあるのですが、私は、笑顔のときのお父さんと、怒っているときのお父さんが同一人物に感じられず、別人のように感じられます。正体不明な人に思えてしまいます。
 同じように、笑っているときと怒っているときが別人に感じられるという人が何人かいます。(実名を2人挙げている)
 そういう人に関しては、相手の素敵なところや、相手から向けてもらった暖かい気持ちが、自分の中に入って来にくいです。
 
 逆に、ひとりの人が笑ったり怒ったりしていても全く違和感を感じない、普通に同じ人だと感じる人もいます。というより、大半の人は違和感なく同じ人だと思えます。
 特定の数人のみ、同一人物に感じられません。
 はじめは恐いと思っていたけれど、ある時期から急に恐いと感じなくなり、暖かくて素敵な人だと感じるようになった、今では大好きだと思っている、という人もいます。(実名を2人挙げている)
 
 私は、何故このように感じてしまうのでしょうか。改善する方法はありますか。
 お父さんを、どのような人なのかわからない、恐いと思ってしまうと、教えていただくことがストレートに入って来なかったり、なのはなにいることを辛いと感じてしまい、困っています。

 

 
【答え】
お父さん:
 ここで「改善する方法はありますか」ということは、改善法がわかれば、そういう怖い思いは消えるはずだと思っている、ということでしょうね。
 お母さんはどうですか。僕はわかりにくいですか、わかりやすいですか。
 
 
お母さん:
 わかりやすい。
 
 
お父さん:
 そうだよね、僕は自分でも分かりやすいほうだと思うんだよね。
 そうだ、わかりやすいか、わかりにくいかをみんなに聞いてみましょうか。
 お父さんが分かりやすい人は手を挙げて。多いですね。
 お父さんが分かりにくいと思う人は、手を挙げて……、2人くらい、ですね。やっぱりこれは少数だね。ほとんどの人はそんなに分かりにくいとは思っていない。
 これを改善する方法があるかどうか、ですね。
 
 あのね、人を見る時に「この人はどんな人かな」って、今日初めて会った人だったら、わからないですよね。
 だけど、例えば、今一番前に座っているしほがどんな人か、僕は知ってます。
 もしも、しほが、僕に対して、もの凄く怒って文句を言ってきたとする。怒りをぶつけてきた。もう、激怒してる。僕に、ひどい言葉を投げつけたとする。
「このクソヤロー!」とかね。
 だけど僕は「たしかにクソヤローだけど……」なんて反省しないです。
 なんで反省しないかというと、しほはそんなことを僕に言う人じゃないとわかっているので、何か誤解してるな、何を誤解してるんだろう、って思うだけなんです。
 つまり、言葉で、このクソヤロー! って僕にくってかかってきたとしても、そのまま額面通り、「お前は俺のことほんとにくそ野郎と思ってるのか?」みたいなふうには思わないわけですよ。
 もう一度言いますが、何でそう思わないかというと、今までのしほをよく知ってるから、今、急にしほがそう言ったとしても、本気だとは思えない。何か大きな誤解があってそう言ってるだけだと確信できるわけです。元々、誤解するような人でもないし、何があったんだろうか、となって、しほに対しては、「そんなこと言うなら俺もお前のことを大嫌いになってやる!」とはならない、ということなんですよ。
 
 だからもしかしたらこの質問の人は、誰かが怒ったりしていると、怒ってる言葉とか、表情とか、態度を、表面的にだけガーンッと受け止めちゃって、「びっくりした、恐い」となってしまうのではないかと思います。
 で、怒ってないよと言ったら、「え? 怒ってないの?」となってわからなくなってしまうということでしょう。
 ちょうどライオンを見るのと、お父さんを見るのと一緒になってしまったら、怖いでしょうね。今度はいつ吠えて、いつ噛み付いてくるかわからない、みたいな、そんな怖さを感じているわけですよね。
 だけど現実は、僕はライオンじゃないんです。
 ライオンはいつ吠えるかわからないですよ。だけど僕のことを知っている人は、暗闇になったら噛み付くとか、満月が出たら耳が生えて遠吠えするとか、思わない。
 つまり、お父さんは普段はどんな人なのかというのが心に入っているので、それをベースに考えるということなんですね。
 
 それは、僕がみんなを見るときも同じです。
 この中で時々、ひどく調子を落とす人がいたとして、マイナスな言葉をものすごく言ったとしても、それを100%額面通り受け止めるかと言うと、受け止めない。
 普段のその人の態度とか、その人の様子を見ていて、その人は実際にどんな人かというのが入っていれば、一時的な感情の上下などは割り引いて考えるということです。
 何かマイナスなことを言ったり、あるいはプラスのことを言い過ぎていても、それはちょっと違うんじゃないか、何かで行き過ぎてるんじゃないか、本当はこういう人でしょ、というのを思うわけですよ。急にその人がどんな人かわからなくなる、ということはないです。
 
 この質問の人は、そこが少し違っているのだと思います。その時、その時の、表面の言葉に耳を傾けすぎて、気持ちを動かし過ぎちゃって、「この人はこんな人」という位置づけが非常に曖昧なんじゃないか、という気がするんですね。普段から、曖昧にしか人を捉えられていない。
 もうちょっと普段から、この人はこんな人だ、という定義付けをしっかりしておけば、言葉を表面的にだけ受け止めないので、ちょっとやそっと何か言われてもあまり動じないということなのかなと思いますよ。
 
 僕だってそれは人間ですから、ちょっと嫌なことがあったり、失敗が3つも4つも重なって、内心気落ちして、自分の人生について少し考えなきゃいけないかな、と深ーく反省しているときに、「ちょっと話があります。私は、お父さんもなのはなファミリーも大嫌いです」と言われたら、ずこっと来て「そうか……ガーンッ」ってなっちゃいますよ。
 だけど普通に元気なときだったら、「大嫌いです!」って言われたって、「お前、それ嘘だろ。お父さんのこと本当は大好きだろ!」って言いますよ。でしょ。そんなふうに、言葉ヅラでは左右されない。それが大事なんじゃないかなと思う。人を信じるということは、そういうことなんじゃないかなと思うんですね。
 
 ほとんどの人が、「お父さんがわかりやすい」と言うのは、お母さんもわかりやすいと言うのは、何と言うのかな、お父さんが機嫌が良くても悪くても、結構、すぐ表情に出てしまうからですね。お母さんはけっこうお父さんをお調子者と思ってると思います。
 ほんとにわかりやすい人、とね。
 みんなも僕のことがわかりやすいよね。よく言われるんだけど、機嫌が良いときには、鼻歌を歌いながら廊下を歩いている。今日は機嫌悪いのかな、というときは鼻歌無しで廊下を通ってるとかね。そのくらいわかりやすい。
 決して、わかりにくいということはないんじゃないか。
 むしろ、無表情な人とか、言葉数の少ない人でわかりにくい人というのはいると思うんですよね。それはしょうがない。
 このくらいおしゃべりな人は、まあわかってくださいよという感じですね。わかりやすいんじゃないでしょうか。と思います。
 
 このひとの、「対策はありますでしょうか」って、その時その時の表面的な言葉ヅラはとらない。その人の実態はどうなのかということを普段の生活を見て、それをベースに考える。そうしたら良いんじゃあないか、というふうに思います。
 
 
お母さん:
 この質問の人は、人を見る目が浅いんじゃないかなと思う。みんなに、人と関係をとるときに、濃く、深くとるようにしなさいというのは酷かもしれないけど……。
 人付き合いが苦手で、人間関係を取れなくて困ってる状態だと、あまり人を受け入れられないので、浅くしか付き合えない、浅くしかわからない、となりがちなんだろうね。
 もっと、小説読むように、深く深く理解して、一人ひとりの人を理解するというふうに、いていけたらいいと思います。

 

 

(後編に続く)

(2018年11月27日掲載)









第66回「自己否定について」
第67回「友達が欲しい人、そうでない人」
第68回「未来を信じる」
第69回「山を登ると」
第70回「リーダーをすると苦しくさせる」
第71回「自分から人を好きになる」
第72回「小さいころからの恐怖心」
第73回「お姉さんのような存在を」
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第75回「大きな希望を持つとき①」
第76回「大きな希望を持つとき②」
第77回「夢について・集中力について」
第78回「やるべきことをできていなくて苦しい」
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第81回「高いプライドをつくるには」
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第83回「相談、確認が多いことについて」
第84回「自信を持つ」
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第97回「壁をなくしてオープンになるには」
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第101回「依存を切り離す期間は? その後はどう変わる?」
第102回「依存を切り離すことについて②」
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第108回「仕事への情熱と、興味があること」
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第112回「芸術、情緒、愛情 心の深さ」
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第130回「すべてのことを高いレベルでやりたい」
第131回「なぜ、痩せているほうが良いと思われるのですか?」
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第133回「楽観主義者と悲観主義者の境界線」
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第135回「続『上品に、笑顔で、美しく』」
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第138回「お父さんが怖い 後編」
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第141回「頼まれごとが不安・時間に遅れる②」
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第1回から第65回までの「お父さんにきいてみよう」は、
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