第131回「なぜ、痩せているほうが良いと思われるのですか?」

【質問】
 今更で、申し訳ないのですが一つだけわからないことがあります。
 どうして今の世の中は痩せている人が多いのですか?
 摂食障害でなくても、細い人が増えてきている気がします。
 なぜ、痩せているほうが良いと思われるのですか?
 

 

【答え】
お父さん:
 ある南の島での美人の基準は、どれだけ太っているかというところがあります。
 その島の一番太っている女性が一番の美人とされて、酋長をしている家に嫁ぐ人は、島で一番太っている未婚女性です。そこに嫁ぐことが決まると、檻みたいな中にその女の人が入って、村の人が列をなして食べ物を持ってくる。それをむしゃむしゃ食べ続けるんですね。
 太ってることが美人なんですよ。
 よく考えると貧しい地域では、太っていることが、富の象徴だったり、健康の象徴だったり、良いことなんですね。
 僕の故郷も貧しい地域だったのと、貧しい時代だったせいか、久しぶりで故郷に帰ると親戚の人が僕を見て、「健坊、太ったね!」と必ず言うんです。
 それは、福福している、健康だね、充分に食べていて幸せなんだね、という褒め言葉なんです。それもここ10年くらいは言われなくなってきましたがね。
 太ったね、って言うのが褒め言葉というのは日本全国でしばらく共通していたんじゃないでしょうか。
 太る、イコール、経済的に豊かになったということ。発展途上国はどこもそうなんです。

 ところが、だんだん先進国になってきて衣食住が満ち足りてくると、太ってることが美しいことじゃなくなってくる。
 誰にとっても、食べたい食料が手に入る時代になると、太るというのは健康の象徴ではなくなってくるんですね。
 今度は途上国と反対に、太るイコール、働いていない怠惰な人、食欲をコントロールできないだらしない人、食生活が乱れている人、生活習慣が乱れている人、不健康な人、というふうに健康と反対の印象になってしまうんです。

 昔だったら食料事情が悪い中で、いかに栄養を摂るか、いかに痩せないように食事を摂るかというのが大きなテーマだったのですが、先進国になるといかに痩せるかがテーマになってしまう、ということですね。
 今はテレビコマーシャルでもいかに痩せるかという健康器具や、ダイエット食品ばかりが多いですよね。いまの時代、下手したらどんどん太っちゃうんです。
 質問にあるように、今、痩せてる人が多くなってるんじゃないか、というのも本当です。
 いまは痩せていることがちゃんと健康管理できていて、欲望が抑制されている、ということになっていますからね。でも、それが行き過ぎて、こんにゃく由来の栄養のないダイエット食品ばかり食べていたり、栄養が偏った食事をして、栄養失調になっている人が増えているのも現実なんです。ちょうどいい、というところでコントロールできにくいんですね。
 規則正しく、バランスのとれた食生活をしていて、適量の運動もしていたら、その人本来の体型になっていきます。

 健康で運動能力の高い陸上選手でも、競技によって体型が違ってきます。
 走り高飛びとか、棒高跳びの選手は細い体型ですし、砲丸投げの選手は丸い体型になります。
 また同じ走る競技でも、短距離走の選手は筋肉質ですし、長距離走の選手はもっと細いです。
 健康な選手でも競技によって体型が違ってくるように、普通の人は職業に見合った体型になっていきます。もっと言えば人生観に見合った体型になっていきます。
 
 どちらが良いとか悪いとかではなく、自分の使いやすい体型が一番いいわけです。
 しかし、体型が先か、人生観(職業)が先かというと、決して体型を維持するために人間は生きているのではなくて、自分の人生を生きて行くのが本来のあるべき姿ですから、自分の人生を生きて行く上で使いやすい身体、使いやすい体型になっていくというのが本当でしょうね。

 ただ、気をつけなければならないのは、摂食障害の女性の場合には、自分の生き方よりも体型が先になってしまいがちだということです。
 痩せているほうが勝っているような気持ちになったりする。何が美しい身体かというと、痩せていることだけが美しいと勘違いをしたりすることがあります。
 あるいは、痩せ衰えた体型をしているとみんなに心配してもらえるから嬉しいとか、そういう間違った考えが病的に染み込んでしまっていると、最早、健康を捨てて痩せるためだけに生きているということにもなりかねません。しかも、そういう人は自分が病気であるという自覚が極めて薄いことが多く、なかなかその考えを直すことができません。
 はっきり言って、それに近い人が最近は増えている、そんな感じがしています。

 

 

(2018年11月6日掲載)









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第1回から第65回までの「お父さんにきいてみよう」は、
こちらからご覧いただけます!
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