第121回「社会性と、基本的な姿勢」

【質問】
 社会性をつけるために、私が一番意識すべきことは何か、教えて頂けると嬉しいです。
 高いレベルで社会性を身につけたいと強く思うのですが、認識間違い、被害感情、間違っているおごったプライドの高さによる失敗にばかり目が行きます。前に進んでいる気がしません。
 自分には社会性が一向についている気がしないです。
 もっと、成長していきたいです。普通の人間になりたいです。
 甘えた質問ですみません。

 

 
【答え】

お父さん:
 社会性――。
 世の中の人達に合わせる、周囲の人達と調和して活動できるという性質ということかな。ここ、なのはなファミリーも1つの社会ですよね。ここで調和をとってやれれば、それも社会性がついているということになるでしょうね。
 社会性がないとどうなるか。人と関係がとれない、あるいは人と衝突する、というようなことが頻繁に起こります。あと、人と同じテンポで動けない。人の調和を乱すということになると思うんですね。

 この人の場合はどういうふうに社会性がついていないかというと、やたら人と衝突するということだと思うんです。何故かと言うと、プライドが高くて被害感情が強いので、つい対立するようなことを周囲に言ってしまう。
 それは、本来なら、自分が周囲に対するスタンスを変えれば良いだけのことなんです。もともと自分はプライドが高いことはわかってるのですから、人に対して、強いことを言わないようにする、怒らないようにする、それを意識すれば少なくともここの中での衝突は避けられるわけです。
 ところが、それができない。それは、周囲の人をきちんと評価できていないからです。普通の人は、無意識にいつも周囲の人を評価して、それぞれの人に対して適切な対応を無意識のうちにとっています。それが周囲の評価ができてないと、適切な言葉が出せないのです。
 プライドが高かろうが低かろうが、相手が間違っていようが間違っていなかろうが、相手かまわずにクレームをつけたり、怒りの感情を外に出したりとか、普通はしないものなんです。
 

 常に怒りを出さないとか、強い言葉を出さないようにすれば社会性があるということになるか、というとそうでもないです。
 やはり、適切な調和のとれた行動というのは、あくまで周囲をどう認識できているか、評価できているかということと、切り離せないように思います。
 この人は自分で思っている以上に、周囲の人を評価できていないです。自分が評価されるのが怖いと、自分からも評価しない、ということがある。そうすると、まったく評価のない世界にいるわけですから、暗闇のなかで自分を出しすぎたり、暗闇の中で勝手に落ち込んだり、周囲からするとまったく意味不明な行動をとってしまう、ということになるんです。つまり社会性がない人になってしまうのです。
 
 社会性がない人でも、その行動にはいくつかのパターンがあると思います。
 おとなしい人だけれど、人から期待されるようなテンポで動かずに人をイライラさせる人。
 そういう人は「あの人とは仕事したくないな」と思われる社会性の無さです。
 あるいは一生懸命に動くのはいいのだけど、やたらと動きすぎていつも人を急かしていて、あの人とやってると疲れるよ、という社会性の無さもあります。
 で、なんて言うんだろう。やっぱりある程度、周囲の人を正しく認識して周囲のペースに合わせるということが大事です。自分のペースじゃなくて人のペースでやる、ということが大事なことと言えるでしょうね。
 
 
 それと基本的な姿勢として、自分はどういう姿勢でいるかということがすごく大事だと思うんですよね。
 基本的な姿勢として、大きく分けて2つのパターンがあると思うんですよ。
 1つは、今、何人かでやっている作業を、どうしたら効率よく進められるだろうかというポジション。リーダーをしてもそうやって考えるし、リーダーじゃなくてもメンバーの1人として、「こうしたらもっと良いんじゃないか。こうしたら良いかな」と常に考えながらやってる人。
 もう1つは、言われただけやっていけばいいやと、暇つぶし的にただ参加して、言われた分だけやってる人。言われただけやっていて、誰とも衝突しなければ協調性があるということじゃないですか、といわれたら確かにそうなんです。でも、言われたことしかやらない。かといって間違っていることも平気でやって、人から言われて「あれ、間違ってましたかね」みたいな、自分から改善してやっていこうという意識の低い人がいます。
 だけどこれも社会性があるようで、実は社会性が無い人というべきでしょうね。
 あるようで無いんです。
 誰からも文句言われてないんだけど、社会性無いんですよね。
 
 
 日本ではいろんな電気製品とか工業製品の質が極めて良いというふうに言われていますけど、それは、労働してる人、末端の手作業なり身体を使った労働をしている工場労働者が、非常に質が高いんですよ。
 例えば、ある半導体メーカーがあったんですけど、半導体をオートメーションで生産している。そこに工員が何人かずつ入って、機械が間違いなく動いているか、あるいは商品に欠陥、ロスが出てないかを検査する人がいる。そういう最新の設備で半導体を作っていても、どうしてもロスが出るんですね。ロスの率が低くならない。何を工夫しても、どうしてもある一定のロスが出てしまう。
 長いこと、何でそのロスが出るかというのがわからなかったんですね。
 
 で、そこで働いていた女性の1人が、
「もしかしてロスが出ているのは電車のせいじゃないですか」
 と気が付いた。
 その工場の少し先、敷地の外側、道路の向こう側を電車の線路が通ってたんですね。
 そこは田舎なのでめったに通らないんですけど、電車が通る。たまに貨物列車が通る。
 すると、ほんのちょっとだけ揺れる。それは大きい工場ですから人間は揺れを感じないんですね。でも、どうも列車が通ってちょっとだけ揺れると、高性能で0.0何ミリという繊細さで半導体を作ってる機械は敏感に反応して、ちょっとした狂いが出ちゃう。そうするとロスが出る。
 そういう提言が出て、そうかもしれない、という話しになった。
 線路があるから電車が通るには違いない、その対策にはどうしたら良いか。
 敷地の内側、線路と工場の間に、大きな池を深く掘ったんです。池を掘って、水をためたんです。線路がガタガタ揺れると、地面が揺れてくるけどプールの水が揺れを吸収しちゃうので、工場まで微細な揺れも来ないようにしてくれる。
 その工事が完成して水を溜めてから半導体を製造してみると、本当にロスがゼロになったんです。大きい深いプールを作ったことでね。
 
 もう一度言いますが、そのことに気がついたのは誰かと言うと、工場の管理職じゃない、女性の1人の工員なんです。
 日本では末端とも言える工員の1人ひとりが、もうちょっと良くできないか、良くできないかと――つまり改善ですよね、それをいつも真剣に考えているというのが大きな特徴なんです。
 で、それで有名なのはトヨタ自動車ですね。改善の提案をどんどん出してくれと言っている。改善用紙があるんですね。こうしたらもっと改善できるんじゃないか。
 例えば、ネジを締めてる工員がいたんです。部品を留めるのにね。その工員は4箇所だけ留めるんです。4箇所ずつ留める。
 それを毎日やってるうちに、「何で4回やるんだ、これを1回でやったら良いんじゃないか」と思った。頭が4つ付いてるインパクトレンチにネジを4つ付けたら、1回締めこむだけで4本のネジが締まる。そういう特殊な機械を作ってはどうか。実際、それを作ったら、作業時間が4分の1とは言わないけど2分の1以下に減る。
 こういうのに第一線で働いている人が気がつくと、どんどん改善していっちゃうんですね。
 改善していくという概念は海外にはなかったので、そのまま「カイゼン」という英語になって海外でも通用しています。

 いっとき日本の工場は中国や東南アジアに進出しました、人件費が安いからと。
 みんなそっちへ工場を持っていくんですね。
 ところが電子機器、コピー機とかプリンターの製造を向こうに持っていこう、と生産ラインを作ってやったら、良いものができないんですよね。
 いくら新製品と言っても、ロスが多かったり、品質が悪い、あるいは能率が悪い、人件費は安いけど効率が上がらない、となってしまったんです。
 そこで、あるメーカーはこうしました。日本で生産ラインを作って、まずそこで生産するんです。2,3か月生産して、日本の労働者が、ここのラインはもうちょっとこうしたら良い、ここをこうしたらっていう改善を次々にやって、効率よく、品質のいい製品が製造できるように生産ラインに修正を加えていく。その改善を終えてから、海外に生産ラインを持っていくと同じ品質のものができる。
 お金のためにしか働いてない、仕事の質を上げようという気が少ない人が、ただ言われたことをやれば良いんでしょうというスタンスでやると、改善とか提案は一向に出て来ない、ということなんです。
 
 そこを踏まえていうと、日本の労働者はとても質が高い。少なくとも日本の社会で、やりゃあ良いんでしょ的に働いてると、クビにされるということもあるでしょうね。クビにならないまでも、有能な人だとは認められない、ということでしょうね。

 広い意味で、それも社会性だと思います。社会性の高い人は、どういう場所に置かれても、自分の利益を優先せずに、社会の利益、周囲の利益のために力を尽くすことができるから、いいものを生産したり、周囲の人を喜ばせる働き方ができたりする。
 

 どうなんでしょうか。みんなもいつも作業していますが、そういう、改善を一向にしないで、やりゃあ良いんでしょ的にやってる人なのか、少しでも効率よくやろうと考えてやっている人なのか、あなた達はどっちでしょうかということなんだね。
 そこらへんが、やる気が行き過ぎてもぶつかるし、やる気を出さなくても人をイライラさせる。ちょうどいい適度なやる気、適度な集中力、適度な前向きさをもって、周囲に調和して動く。そういう意識が高い社会性をつけるのに良いことなんじゃないでしょうか。それを考えてやればいいと思いますよ。
 やたら人とぶつかってるなと思う場合や、自分がやたら怒ってるなと感じる場合など、それは自分が間違っていると思うべきですね。
 人が間違ってるんじゃない、自分が間違っている、そういうことですね。

 

 

(2018年10月2日掲載)









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