第109回「日々の習慣を持つ」

【質問】
 きちんと生きよう、きちんとした人間になろうという意欲、行動につながる意欲を持つために、日々小さく、できることは何でしょうか。(ミーティングを通して、心の傷に決着をつけることを前提として)
 

 自分の答え
 ・この人のためになりたい、この人を守りたいと思う人を大切にする。小さくでも、自分が実際に役立てる行動を大切にする。
 ・小説や青春記を読み、主人公たちの気持ちを自分の中に入れる。
 ・継続的に、小さく成功体験をつくる。
 ・身体を動かす。
 ・周りの人の優しい気持ちを感じるようにする。
 

 

 

お父さん:
 この答えはだいたい合っているんですけど、1つ、抜けてることがあるんですよね。
 村上春樹の小説には、時々、そのあたりのことがちょっと出てくるんです。
 どういうことかというとね。例えば小説の中に、毎日、腕立て伏せをする人が出てきたりするんですよ。
 それが大事なんです。
 ここの答えに「身体を動かす」ということがあるんだけど、「毎日腕立て伏せをする」っていうのと「身体を動かす」というのとでは、少し違うんです。
 「身体を動かす」という言葉には習慣にするという意味が込められていません。そうすると、何をもって今日身体を動かしたか動かしていないのか、自分で評価のしようがないんです。自分がちゃんとやったという判断ができないということなんです。
 ところが、毎日逆立ちをする、と決める。1分を何回かでいいんです。逆立ち1分を、5分の間に2,3回。それを1日3セットやるとかね。
 腕立て伏せを、腕を開いてやるのと、脇を締めてやるのを30回ずつやる、とかね。
 もっと言えば。午前中のうちにやる、とか。夜寝る前にやるとか。
 きちんと生きよう、とすると具体的に、細かく小さな、習慣をつけるということがすごく大事なんです。
 

 みんなを見てても、実際にこの中で成長して、生活の仕方がうまいなと思う人というのは、例えば、ギターを練習していて、ギターが上達する人です。
 ギターが上達する人と、ギターが続かない人の違いは、何か。
 ギターが上達する人は、毎日5分とか10分と決めて、必ずやるんです。
 必ずやっていくんです。
 で、ギターでも何でも習い事ってそうですけど、下手なときからうまいレベルへと、練習する程、右肩上がりに上達していくとみんな思ってるんです。だけど、絶対にそうは行かない。ほとんどの練習期間はずっと横ばいなんです。ずっと横ばいで、自分は才能がなくて進化しないのかなと思うと、ポンとうまくなるんですね。階段状に進化していくのです。
 一度進化すると、またしばらくは横ばいで行くんです。
 毎日の習慣にして続けてやっている人は、もう駄目なのかなと思ってもやっている。いつ、ステップアップが来るのかわかりませんから、ひたすら練習する。
 普通の人は、横ばいで、やってもやっても上達しない、となると「やめた」という。私は才能がない、合わない、やめた、となっちゃうんですね。まして、毎日やるというのじゃなくて、ときどきやる、やらない、やる、……一生懸命やる。やらない。振り出しに戻る。またやる。振り出しに戻る……。いつまで経っても駄目なんですよ。それが、毎日やるという人は、やっぱりうまくなる。確実にうまくなるんですね。
 

 ほかのことでもそうです。小説や青春記を読み、主人公たちの気持ちを自分の中に入れる、それは心の襞をつくっていくためにいいことだよ、と言っていますが、読んでいる人と読んでいない人の差は大きいのです。
 ある人が「小説を読んでいます」とか言うので聞いてみる。
「何冊くらい読んだの」
「ええと、だいたい去年1年間で5冊も読みました」
 は? っていうことになっちゃうんです。
 要するに「読んでましたよ、ずっと。ただ私、読むのに時間かかるほうで、1冊読むのに2か月くらいかけましたから」というペースでは、読んだうちに入りませんよ、ということになってしまうんです。
 つまり、読む習慣をつけないと、たくさんの小説は読めません。
 細かく、小さく目標を立てられて、いくつかのことを日々の習慣にできる人というのが、きちんと生きるのが上手い人だと思うんですね。
 習慣にして、努力を続けていくと、意欲が続きます。結果も出ますから、意欲と行動がいい循環に入るのです。
 小説を読む。すると、その小説から刺激を受けて次の行動が意欲的になる、また同時に次の小説を読む意欲もでてきて、読めば新たに生きる刺激をもらえる、といういい循環です。
 いくつか同時並行的に、例えばギターとダンスを習慣練習にしてやる人もいるでしょう。小説も、常に2,3冊読んでいる、という人は多いです。落ち着いてるときには長編小説を読む。時間がなくて10分あるかないかというときにはエッセイみたいな短いもの、あるいは短編小説を読む。短編小説と中編小説と長編小説を、その時々で同時並行的に3冊くらい読み進めているとかね。
 そういうような目標を、きちっと持って習慣的にやっていくということが、すごく大切なんじゃないのかな、というふうに思いますね。
 

 あの、大きな目標を立てて、大きな成功体験というのはもちろん時々あるでしょうけれども、そういう腕立て伏せを30回ずつといった小さな目標を着実にやるほうが、僕は大事じゃないかなと感じます。小さな習慣練習でも、実際には1週間くらい経ったら変わってきたかなと少しは自分でも感じます。ギターだって1週間、10日、毎日練習したら、ちょっと変わってきます。ある日、突然、それまでできなかったのが弾けるようになった、という体験をすることになるんです。

 

お母さん:
 お母さんね、けっこう、いろんなことが三日坊主だったりするからね。障害があって生まれたなっちゃんの訓練を、お父さんに、習慣化するんだ、習慣化するんだと言って、ボランティアさんにも来てもらってしたのよ。
 そうしたら、ボランティアさんが来てくれるようにしたら、絶対、サボれないじゃない。「こんにちは、手伝いに来ました」って来てくれるんだから。
 だから、なっちゃんは寝たきりと言われたのに、今、車椅子で東京でもどこへでも1人で行けるようになったのは、ずっと菜の花の会で、成長期のときに1日も休まず、沢山の人のおかげで、本当にコツコツ毎日、習慣化して、訓練というか、身体を動かすのをやったからだとお母さんは思っているのね。
 だからほんとうにね、訓練をしてもずーっとなんの効果もないの。何年も、何年も。3年くらい続けて、もうやめようかと思った時、いきなり、歩き出したの。その時はものすごいみんなビックリしたけれど。
 習い事もピアノも、全然弾けなくて行き止まりだったけれどいつの間にか、考えてもないのに空でひゅっと弾けるようになってるとか、あるじゃない。楽器でも。そういうのと一緒ね。
 だからお父さんが今言ったように、だんだん上手になっていくというのでもないわね。
 

 

お父さん:
 そんなことですね。
 だからそういう、日々の、習慣をいくつか持ってる人というのは、どこか哲学的な雰囲気がしますよね。
 なんか、何があってもなくても、日々の生活のオブリガードというかね。ピアノで言ったら、左手の、ドソミソドソミソで、メロディラインのようには目立たないけれど、毎日、いくつかの習慣を続けている人というのは、どこか、いい生き方になってるように見えます。
 だから日記を書くとかね。日記も確実に描いて、自分の日々の、感じたこと、心の成長の度合いを、日記で記録に残す。残しつつ、自分の記憶にも残るのでね。そういうことを続けていくということが、大事なんじゃないかなと――。
 それがきちんとした生き方、きちんとした人間に繋がるもの、というふうに思います。

 

 

(2018年8月21日掲載)









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第1回から第65回までの「お父さんにきいてみよう」は、
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