第103回「会話が理解できない・生きる意味」

【質問 1】
 会話をしたくても理解できないのは、心の深さが原因ですか。人の言葉や気持ちを理解することは、どうしたらできるようになりますか。

  

 

お父さん:
 人との会話がうまくできない、コミュニケーションがうまくとれない、ということですね。
 「理解する」というのは、2つの要因で、成り立ってると思います。
 1つは、会話の対象となっていることに対して知識があるということ。全く知識がない場合には理解できません。
 もう1つは、そのことに対して知識があるけれども、相手から難しい考え方を言われたときに、それを考える力があるか、無いかです。
 相手のレベルで考える力があるかどうか、そのことの知識があるかどうか、この2点が会話がきちんと成立する要件でしょうね。
 
 養老孟司という人が、『バカの壁』という本を書きました。
 話せばわかるというのは嘘です。話したって、わからないことはわからないです、と書いています。
 具体的に言うと、養老孟司は東京大学医学部の、脳解剖学の先生です。日本で一番難しい大学の医学部に入ってるから、頭は最高にいいはずなんです。
 ところが、同じ大学の数学科の先生に、今流行りの数学の問題を、
「養老さん、この問題はこうやって、こう考えて解くと簡単に解けるんですよ」
 と言われても、何を言われているか、まったくわからない。なぜか。数学の知識が数学者ほど無いからです。
 一生懸命に聞いても、理解できないのです。
 言葉の壁というかバカの壁、それを言い換えると理解力の壁があるんですね。
 だから人と人の間にも、いつもどこかの時点でバカの壁が存在します。僕とお母さんの間にバカの壁があるとは思いたくないですけどね。
 だから、夫婦がお互いになるべく知らないことをなくして、お互いに共通項を増やしておくということが、円満の秘訣だと思います。
  

 

お母さん:
 だけど1つだけ、夫婦の間でも相手に知らないことを置いておかないといけない。水戸のおばあちゃんがそう言ってました。
 

 

お父さん:
 人の言葉は、どうやったら理解できるようになりますか、という質問なんですが、理解しようとする前に、自分がわかることはわかる、わからないことはわからないでいいのだ、と思うべきです。
 相手の言うことの全部がわかる、とは思わないほうがいい。それはおこがましいです。
 日本人で、日本語がわかって、全部わかるはずだと思う人は、試しに今ひなのちゃんが学校で習っている数学の宿題を解いてみてください。あまりにも理解できなくてガーンとなるはずです。
 わかること、わからないこと、それがあるのでわかることだけ理解すればいい、というふうに構えると、全部を理解しなければならないというストレスはなくなりますよ。
  

 

  

 

【質問 2】
 生きる意味は、人と人との間にある、何を大切にしたらいいのでしょうか。

 

 
お父さん:
 生きる意味が、人と人との間にある、という前提の質問だね。
 そういう考え方での、生きる意味? うーん……どうなんだろうなあ。どうしても人と人との間にある、という前提で考えなくてもいいんじゃないかな。
 「人と人との関係では何を大切にしたらいいですか」という質問もあるだろうけど、それは別として、ここでは「生きる意味を考えたとき何を大切にしたらいいですか」という質問だということにして話しを進めましょう。
 生きる意味と言ったときは、まあいろんなレベルの捉え方があると思うんですよ。
 ただ僕は、生きる意味ってなっちゃうと――自分が生きる意味とか、なのはなのお母さんが生きる意味、あるいはみんなが生きる意味ということを僕が考えると、真っ先に頭に浮かんでくることは、もう1つ言葉を足して、「生きる意味をなすような生き方」というのはどういう生き方でしょうかということなんですよね。

 生きる意味が出てくる生き方というのはどういう生き方でしょうか、といったらやっぱり、僕は、なにかこの世の中に、僕でなければ生み出せない新しい価値を生み出したいなという思いがあります。僕が生きる意味、としてはね。
 新しい価値を生み出したい、そのために生きていく。誰か人の作ったものをあとから追っかけて、人の考えたものを消費して、人の考えたとおりに何かをやって、人が考えた食べ物を食べて、うんちをして死ぬ、みたいなのは、なにか嫌な感じ。人の作った枠の中で生きていくのではなく、自分ならではの生き方というものをしたい。

 虎が死んだら、皮を残す。人が死んだら、名を残す、という言い方があります。
 「あの人がいてくれたから、今こういう便利なものが世の中にあるんだよね」というふうに、後世の人に語り継がれるような仕事で名を残す、そういうところに生きる意味があると思うんです。
 ただ、誰もが、みんながノーベル賞を取るような価値のある生き方をしたらノーベル賞が足りなくなります。だから全員がノーベル賞を取らなくていいんです。そういう価値だけが、人の生きる価値じゃないと思います。
 たとえば、この勝央町の中で、名を残すような生き方、あるんじゃないでしょうか。
 JAの美作市店で、あの人はすごかった、と名を残すような仕事の仕方が、あるんじゃないでしょうか。
 小さい中でも本当にその人ならではの新しい価値を生み出す生き方ができると思います。
 上石生の中で価値ある生き方でもいいと思う。
 JAで言われるにしても勝央町で言われるにしても、自分と血縁関係も何もない第三者に、「あの人がいてくれてよかった」と、言われる生き方。それが価値を生み出す生き方だと思うんです。
 第三者に新しい価値、新しい利益を与えるような、プラスを与える生き方。それをしたらいいと思いますね。

 

 

(2018年7月31日掲載)









第66回「自己否定について」
第67回「友達が欲しい人、そうでない人」
第68回「未来を信じる」
第69回「山を登ると」
第70回「リーダーをすると苦しくさせる」
第71回「自分から人を好きになる」
第72回「小さいころからの恐怖心」
第73回「お姉さんのような存在を」
第74回「作業に対して気持ちの落差が激しい」
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第76回「大きな希望を持つとき②」
第77回「夢について・集中力について」
第78回「やるべきことをできていなくて苦しい」
第79回「やるべきことをできていなくて苦しい②」
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第133回「楽観主義者と悲観主義者の境界線」
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第205回「ステージで間違いがあったときは」
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第207回「調理されて食べられる魚はかわいそう?」
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第220回「握力について」
第221回「喜び合うための全力」

第1回から第65回までの「お父さんにきいてみよう」は、
こちらからご覧いただけます!
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