第88回「見張られているような不安」

【質問】

 私は、誰かに見張られているような不安を感じていると思いました。
 なのはなの中では、全員ではなく、一部のスタッフさんや入居している人、お父さんお母さんに感じてしまいます。
 これは、子供の頃からずっと感じてきた感覚で、罪悪感とも似ています。
 何も悪いことをしていなくても、いつもなんとなく居心地が悪く、何かで咎められるのではないかとか、何も言われなかったとしても、疎まれているかもしれないという不安があると思いました。
 この見張られているような感覚は、どうやって消し去ったらよいでしょうか。

 また、以前のミーティングで、私が、「親や学校の先生に見張られている感じがしていた」と作文に書いたところ、お父さんが、「先生からも見張られている感じがしていたということから、この人の欠落しているところが分かりますね」と教えてくださいました。
 前後の脈絡がないので申し訳ないのですが、これはどういう欠落なのかを知りたいと想いました。
 教えていただけると嬉しいです。いつもありがとうございます。
 

 ◯自分の答え
 見張られている感覚は、親先生から実際に品定めされるような目で見られ、評価をされてきたことを引きずっている。
 ここでは、自分が苦しいと感じてきた見方はされていないし、疎まれて嫌われたりすることはないと信じきった上で、何を言われても受け止めると決めれば居心地がよくなる。
 自分の欠落については、見張られている感じがするために、周りを敵対視して自分を守ってばかりいたことについて、おっしゃられたのかと思いました。
 

 

お父さん:

 なんて言うか、親から、超強い叱責を受ける、強く叱られる、こっぴどく否定される、そういう体験を持っていると、こんなふうに感じるようになることがありますね。
 親から何回も強く叱られていたらもちろんですけど、何回もではなくても、かなり強烈に親から叱られたことがあると――それこそ人によっては1回、2回あっただけでも、「また叱られるんじゃないか」っていう、恐怖が心に植え付けられてしまうんですね。
 だから、叱られるのだけは避けなきゃいけない、と思って生活するようになる。
 
 「叱られないように」というのが自分の人生のテーマになっちゃうんですね。そういうコンセプトの生き方になってしまう。叱られるんじゃないか。叱られるんじゃないか。だから叱られないように、自分を叱りつける対象に注意を向けて、そのターゲットから目を離さない。これを自分を叱りつける可能性のある全ての人に向けて、するようになるんです。この人の目標は、叱られない生き方ということになってしまうんですね。

 そうすると、「自分が見張られてると感じる」と言いますが、そうじゃなくて、現実には自分を叱る人をいつも見張ってるんですね。
 学校の先生も自分を叱る対象ですから、先生の目や先生の自分に対する評価が、いつも異常に気になっています。どこに行っても、目上の人の動向が気になるわけです。
 
 
 人間の心というのは写し鏡です。僕が、例えば黙ってのりよのほうを、……(横目で)こうやって見たら、ね。のりよは(あ、なんか、私のこと見てる! どうしたんだろう)って思うよね。気になって僕のほうを見るようになります。
 写し鏡なんですよ。
 こうやって見てたら、のりよも気にして、「どうしたんだろう」ってこっちを見る。するとこちらは、あ、また見てる、って勝手に思っちゃうわけですよ。まだ見てる。………まだ見てる。みたいなね。見張られてるのかな、みたいなね。
 見張ってるのはお前だろって話だよね。写し鏡ですから。
 自分が叱られそうな人をターゲットにして、いつも関心を持って、その人に向かってレーダーを飛ばしてる。そしたらそのレーダーがその人から跳ね返ってくる。だから自分が見張ってる人は、常に見張られてる人になっちゃうわけですよ。レーダーを自分が飛ばして跳ね返ってきているわけですからね。
 
 
 人を見張る生き方をやめなさい、ということです。
 叱られるかもしれないとか、心の底の思いを消し去る。
 それには、自分の叱られた原点をもう一度、深く点検して、自分がきつく叱られたのは不当だったということを自分に納得させて、その傷を消す必要もあるでしょうね。
 叱られてもいい、っていう生き方にする。
 ただ「叱られてもいい」という生き方にしなさい、というよりもむしろ、「自分はこれをしたい。こうしたい」というのを、はっきり持つこと。叱られるかどうか、というのは自分の生きるテーマにはなり得ないですよ。
 自分の目標を持つ。すると、叱られるかどうかは問題ではなくなります。
 
 なんていうかな、目標というのは、「◯◯◯しない」っていう目標は無いんですよね。否定形の目標というのは有り得ないんですよ。
「○○を実現したい」「私はこうなりたい」「これをする」っていうのを目標にする。
 そういう目標しか、短期間でも長期間でもテーマにはなり得ないのに、「叱られない」という生き方をしようとしているのです。それは何も産まないんです。何も産まない。 
 
 そういうことで、見張られていると思う人は、人を見張らないでください。
 “今、自分を叱りつける対象者はどのへんを移動中、どのへんを移動中”ってね、そうやって詮索しないでくださいということだよね。それが大事なことですよ。
 そして、“プラスの目標を持つ”ということですね。

 

 
(2018年6月8日掲載)









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第1回から第65回までの「お父さんにきいてみよう」は、
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