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「癒しの時間 ~ダークアイズジャズオーケストラ」 さき




 

  「明日、全員でジャズのコンサートへ行こうと思います!」
 お父さんの言葉を聞いて、私の心臓の鼓動が高鳴りました。嬉しくて、ワクワクした気持ちでいっぱいになりました。
 4月の3日にダークアイズのコンサートがあることは、役場に張ってあったポスターを見て知っていました。ダークアイズは、岡山県北中心のプレーヤーが集まって、一般的なビッグバンドスタイルでジャズを演奏している楽団です。下は15歳から上は60歳までと、メンバーの幅広い年齢が特徴だと、ポスターに書いてありました。メンバーの中には、なのはなにトランペットを教えに来て下さった寺谷先生と、ギターを教えに来て下さった金田先生がいらっしゃいました。
 去年の暮れくらいに、ジャズが大好きでジャズバンドの部長をしているさとみちゃんと、ダークアイズのコンサートに行きたいねと話していたところでした。でもまさか本当に行けるとは思っていなくて、お父さんの発表を聞いてびっくりしました。しかも、家族全員で行けるのが何よりも嬉しかったです。
私はジャズバンドでキーボードを弾いています。なのはなに来る前、私はジャズという音楽を全く知りませんでした。「Moanin」「In the mood」「Five spot after dark」。ジャズバンドへ入ってから、私はジャズの曲調や、大人っぽい落ち着いた雰囲気が大好きになりました。
 裏拍を強調するジャズのリズムはとても難しいです。最初は戸惑いました。でも、練習してみんなと合わせて、それらしく聞こえるようになってくると、演奏が楽しくて、ジャズの魅力に引き込まれていきました。
 上手な人達が集まってジャズを演奏したら、一体どんな演奏になるんだろう。たくさん吸収したいな。私の心は期待でいっぱいで、翌日がとても楽しみでした。

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 会場はベルフォーレ津山というデパートの中にある音楽文化ホールで、夜6時から行われました。
 行く前にお父さんが、ジャズを初めて聞きに行く私達に、演奏の聞き方を教えてくれました。
「音楽の中で、ドラムはご飯です。そして、ベースは味噌汁です。ドラムとベースが基盤になって、そこに他の楽器であるおかずが付いてきます。
まず初めに、ドラムだけを聞く。次にベースだけを聞く。次にドラムとベースのミックスを聞く。それが出来たらピアノ、トロンボーン、ギターなどを一つずつ聞いていく。最後に全体を聞く。そうすると、曲の構成がわかります」
 お父さんの話を聞いて、私の中の漠然とあった不安が取れました。楽しみな気持ちがあっても、全部の音を聞こう聞こうとして、よくわからないけどすごかった、ということになるんじゃないかと思っていたからです。
 それと、お父さんは前の方の席に座った方がいいということも教えてくれました。前の方の席だと、演奏者の表情や息づかいまでよく見えるし、生の音が聞こえて面白いとお父さんは話してくれました。ちなみにお父さんは若い頃、コンサートに行った時は、一番前の席に座っていたそうです。
 席は会場まで乗って来た車ごとにまとまって座りました。1番前の席が空いていたので、私達のグループは1番前の席に座りました。ホールの約600の観客席は、あっという間にほぼ満席になりました。
 演奏は、「THE HEAT S ON」という曲から始まりました。ばっと勢いよく始まったのですが、出る音が洗練されていて、まとまりがあって、とても綺麗でした。流れるように曲が進んでいきました。アルトサックス、テナーサックス、バリトンサックス、トランペット、トロンボーン、ドラム、グランドピアノ、ベース、ギター、目だけでもとても迫力がありました。

 前半後半、アンコールも合わせて全18曲の演奏を聞かせてもらいました。なのはなでやったことのある「In the mood」は、特に意識して聞きました。テンポが速くて、まとまりがあって、技術力の高さを感じ、すごいなと思いました。
 私が1番印象に残ったのは、アルトサックスの音色です。とても綺麗で、魅力的だなと思って、ドキドキしました。アルトサックスのソロがある「SPEAK LOW」という曲は、聞き惚れてしまいました。
 トロンボーンの4人が前へ出て演奏した「HOW HIGH THE MOON」という曲では、1番右側のトロンボーンの音を私は真っ正面から受けました。低音が身体に響いてきました。力強くて格好良かったです。
 寺谷先生のトランペットは、とても綺麗でした。トランペットってこんなに強くて高い音が出るんだと感じました。「BLUE」というブリューゲルホルンのソロのブルースを聞いて、うっとりしました。とても切ない、悲しげな音色でした。吹き方や曲に込める気持ちが変わると、こんなに切ない音が鳴るんだと思いました。
 寺谷さんの息子さんの直貴君もトランペットを演奏されていて、とても上手でした。「I REMEMBER CLIFFORD」というバラードの曲で、直貴君はブリューゲルホルンをソロで演奏していました。寺谷先生の時と同じように、惹きつけられました。

 「TAKE THE A TRAIN」や「ルパン3世のテーマ曲」など、聞いたことのある曲があったのも面白かったです。昔のスイングから、現代的なポップ、ラテン、バラードなど、幅広いジャンルだったので、1曲1曲に新鮮さ、面白さがありました。
 最後の方では、ゲストが来られて、クラリネットのソロや、フルートのソロの曲も聞かせてもらいました。「THE GIRL FROM IPANEMA」という曲では、フルートと同じラインをテナーサックスが吹いていました。テナーサックスの低音がフルートを引き立てていて、テナーサックスとフルートは相性が良いんだと感じました。
 ドラムも、ピアノも、ベースも格好良かったです。それぞれの楽器に魅力があって、1つひとつの楽器に今までよりも近付けた気がしました。
 1番の前の席は音が生で聞こえて、大迫力でした。演奏している人達の表情、息づかい、指使いまでよく見えました。演奏者との距離が近くて、少し緊張しました。失礼のないようにちゃんとした姿勢で聞かなくちゃと気が引き締まりました。
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 私は1番前の席で演奏を聞くのは初めてだったのですが、お父さんが教えてくれたように1番良い席だなと感じました。これからも演奏を聞く機会があったら、空いていれば1番前に座りたいと思いました。
 帰りの車の中では、コンサートの話で持ちきりでした。私も早速、ジャズバンドで演奏したくて、ウズウズしました。レベルの高い演奏を聞かせてもらって、刺激を受けました。
 形はないけれど、気持ちが伝えられる音楽が改めてすごいと思いました。嬉しかったし、伝え続けたいと思いました。お客さんがどう感じるか、どう聞こえるか、どう見るか、それを1番に考えて、これからもみんなと一緒に、新しいものを作っていきたいと思いました。
 ダークアイズジャズオーケストラの演奏を聞きに行って、音楽に心が癒されました。
 ちょうどこの頃、私はモヤモヤした気持ちが晴れないでいました。迫ってくる20歳の誕生日やフルマラソン大会、日常生活での失敗反省などでの、不安、プレッシャーを無意識に感じていたのだと思います。何をしても気持ちが前へ進まないという状態でした。
 ダークアイズの演奏を聞かせてもらって、心が癒されました。高いレベルの演奏に心がときめきました。コンサートが終わった後も、しばらく興奮がおさまりませんでした。元気をもらいました。
 自己満足の世界ではなくて、いつでも聞いてくれる人に届くような演奏をしていきたいです。

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