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「読書感想文『流れる星は生きている』」 たかこ




9月1日

 まゆみちゃんと本の話をするのが、とても好きです。私が好きな本の話をすると、まゆみちゃんは必ずその本を読んでくれます。そして、まゆみちゃんもその本を好きになってくれます。まゆみちゃんと私は性格が全く違うような気がするけれど、同じ本を好きになることがとても嬉しいです。

『流れる星は生きている』は、お父さんのおすすめ本『若き数学者のアメリカ』の作者、藤原正彦さんのお母さん、藤原ていさんの書いた本です。なのはなに来る前に読んだときは、余りの壮絶な体験に強い衝撃を受けました。

 まゆみちゃんと話をした後に、自分でも読み直しました。朝の時間と昼の日記と読書の時間をつかって、一気に読み進めることができました。何度読んでも深く心を動かされます。

 今回強く印象に残ったのは、藤原ていさんの母親としての、そして1人の人間としての強さでした。ていさんは自分の弱さから目を背けずに、母親としての役割を全力で全うして生きていました。どんな状況にあっても逃げたり、できないと言い訳をしませんでした。だからあんなにも強くなれるのだと思いました。

 日本が第2次世界大戦に負けたとき、中国の満州と呼ばれる地域には沢山の日本人がいました。藤原ていさんと満州の気象台で働く夫と3人の子供達も、その日本人のなかにいました。夫はロシアのシベリアへと送られてしまいます。北から攻めてくるロシア軍から逃げるために、藤原ていさんは3人の子供を連れて南へと逃げていきます。

7歳の正広。3歳の正彦。そしてまだ生まれたばかりの赤ん坊の咲子。ていさんは3人の小さな子供たちを怒鳴りつけながら、血と砂と泥がこびりつき腫れ上がった足を引きずって、前に進み続けます。前に進まなければ殺される。止まったら飢えて死ぬ。進めば生き残る可能性がある。過酷な状況のなかで、心の中で泣いて子供に謝りながら、男のように子供を叱りつけ、前へ前へと進みます。

 ていさんは朝の市場で食べられそうな野菜を拾い集め、奇麗に洗って子供たちに食べさせます。石けん売りの行商をして、こじきのように残り物やみそなどをもらって帰り、その残飯でかゆをたくと、子供たちが目を丸くして喜びます。独り身なら決してしないようなことを、子供を生きさせるためにやります。
 下痢をして臭いと罵られる子供たちをかばって、子供たちを見下す人たちに、「本当の公衆道徳があるのなら、黙って臭い臭いを嗅いでいなさい」と言い返します。

 どんな困難な状況であっても、全力で子供を守る親の姿がありました。そして、どんなに酷い差別を受けても、自分の信じる正義を貫く1人の人間の姿がありました。

 食べる物がなく、家がなく、着る物もなくなったとき、人は自分のことしか考えられなくなるのだと思いました。でもそんな状況の中であっても、自分の利益を考えずに人のことを想いやり、正義を貫く人もいました。ていさん達に救いの手を差し伸べてくれる人がいました。数は少なくても、人間味を失わない人がいることに希望を感じました。

 まゆみちゃんの感想文にあった「極端な話、今は戦争中と同じ」という言葉が胸に突き刺さりました。
「精神状態は、戦争中と近いのでは無いかと思いました。がつがつしていて、優しさがなくて、誰もがギリギリの所で生きている状態。いつも希望を先送りにして、目の前は不安で一杯な状態」

 まゆみちゃんの言葉が、私の長い間の疑問をほどいてくれました。
 私は小学生の頃から、とても戦争が怖くてたまりませんでした。戦争の映画や小説を読むとき、それがずっと前の出来事だとは思えませんでした。いつも戦争がすぐそばに迫っているような恐怖がありました。
 まゆみちゃんの言葉を読んだとき、私はずっと戦争のような極限の状態に置かれていたのだと思いました。父も母も自分のことで一杯いっぱいになっていて、私の孤独には気が付いてくれませんでした。どんなに良い成績を取っても物を与えられても幸せを感じられず、いつも必死で闘っていました。心から信じられる友達は1人もいなくて、競争のなかでどんどん人間らしい心を失っていきました。
 心に傷を負った私には、それは戦争と同じくらい過酷で、常に命を失うぎりぎりのところにいるのと同じでした。

 私は戦争に関わる小説や映画を観るとき、その残酷な状況の中でも決して人間らしさを失わずに、誇りと正義を貫く人たちがいることに希望を感じていました。数は少なくても、人間味の溢れる人がいることに、苦しい状況で前に進む勇気をもらいました。いつか私もそういう人に出会うことができるだろう。心に微かな希望の光がさしました。

 戦争は人間の本性を浮き彫りにすると思いました。戦争の小説や映画を見ると心が突き動かされるのは、戦争で何もかもを失って自分の命さえも危険にさらされていながら、なお人間らしく生きようとする、人間としての極限の姿があるからなのだと思いました。

『流れる星は生きている』を読んで、どんな状況にあっても、ていさんのように、真に人間らしく、強く、正しく、優しく生きていきたいと思います。

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