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「読書感想文 『流れる星は生きている』」 まゆみ
8月28日 ○流れる星は生きている たかこちゃんに教えてもらって、この本を読みました。「ノンフィクションの、戦争中のお話し」と聞いて、初め、どこまで読み進められるか自信がありませんでした。しかし、今は、本当に読んで良かったと思っています。 お父さんのおすすめ本の中にもある、藤原正彦さんのお母さんである、藤原ていさんが書かれた本です。昭和20年8月9日の晩、新京はソ連軍の空襲を受け、そこに住んでいたていさんたちは、その夜の内に新京を脱出しなければなりませんでした。 そこからおよそ1年間を通して、38度線を突破し、日本へ引き揚げるまでの事が書かれています。 怖ろしくて、早くていさんたちが楽になる瞬間へと行きたくて、一気に読み進めてしまいました。本当にこれが実際にあったのかと、信じられないように思いました。 読み終わって、一番に思ったことは、人は苦しくなると、自分の事しか考えられなくなる、という事です。 「自分さえ良ければ」という言葉が、本の中でもくり返し出て来ます。内容が進むにつれて、その頻度も多くなっていきます。 小さな子供を3人連れて、必死になって団の最後尾を追い掛けていく、ていさん。いつも日本人達の姿が見えるのは、みんなが休憩しているところで、ていさんたちが追いついても、休む暇がありません。細い山道を登り、泥沼や川を渡って。足の裏に小石が幾重にも食い込んで……考えるだけで、震えるぐらい怖ろしいです。 誰もが、自分さえ良ければそれでいい、弱い人、死んでいく人達にかまっていられない、そんな状態なのだと言うことが、ひしひしと伝わってきました。 文章の中に、「ふたりの子どもとひとりの子どもと、どっちが大事なの」という言葉が出て来ます。 ていさんと同じ団にいた、3人の子を持つお母さんの言葉でした。7歳と5歳の男の子、それにもう1人の子は、生まれたばかりの女の子でした。 栄養不足などのため、お母さんはお乳が出ません。そこで、ていさんが、 「おつゆの上じるでものましたら」 と言うと、そのお母さんは、 「どうせだめに決まっている子を、すこしばかり生き延びさせて、なんになるの」 と答えます。そしてそのまま、その赤ちゃんは次の日の朝、亡くなってしまいました。 そのお話が、一番強く頭に残っています。 人は苦しみの極限まで行くと、ここまで感情を捨ててしまうのかと思いました。「自分さえ良ければ」も、ここまで行くのかと思いました。 しかし、ふと我に返ったとき、自分にもそういう時があったと思いました。 なのはなに来るまでは、「自分さえ良ければ」という考えが、すっかり頭を占領していました。 勉強するのも、自分が将来、楽になるため。部活や委員会は、内申点のため。全て、自分のために動いていました。そして、本当に怖ろしい事なのですが、それが当たり前だと思っていました。 誰かのために生きることなんて、綺麗事だと思っていました。そんなことできるはずがないし、そんなことをすれば競争から落とされるだけだと思っていました。 極端な話、今は戦争中と同じなのかなと思いました。 実際に武器を取って、生きるか、死ぬかということを、いつも強く意識しているわけでは無いけれど、精神状態は、戦争中と近いのでは無いかと思いました。 がつがつしていて、優しさがなくて、誰もがギリギリの所で生きている状態。いつも希望を先送りにして、目の前は不安で一杯な状態。 お父さんは、「摂食障害から治るという事は、生きるか、死ぬか、という事だ」と、仰います。 本当の強さと優しさを持って、自分の生きる意味を噛みしめながら、最高の生き方をしないかぎり、すぐに谷底へと落ちてしまう。 この本を読み終わった後、そのことを思い出しました。 戦争中とは、少し違うかもしれません。しかし、「自分さえ」という考え方が広がってしまっている状態が同じだという点について、本当に、大きな恐怖を感じました。 お父さんの仰る、「生きにくさ」を感じないような社会を、必ず取り戻す必要があると思いました。 すごく抽象的で、大きな夢だけれど、摂食障害から回復するにあたって、その夢に少しでも近づけるなら、本気で治らなければいけないと思いました。 「人間味」や、「あたたかい社会」という言葉を、今まで軽く考えていたなと思います。ぼんやりとイメージをするだけでは、何も変わらないと思います。 まずは自分が、本当に正しい生き方を通さなければいけないと思います。 「自分さえ」という考えを一切捨て、利他心で行動します。「まだ見ぬ誰かのために」という言葉の意味を、正しく理解し、意識します。戦争が終わったのに、まだお互いに傷つけ合っているのは、本当に可笑しいと思います。 『流れる星は生きている』は、今の社会に通ずる所が沢山あると思いました。 戦争はしてはいけない、というのはもちろんですが、心の戦争も、終わらせなければいけないと思いました。 誰もが生きやすい社会。みんながお互いを思い合って、協力して、喜びや悲しみを感じられる世界。それが実現することを、信じています。 そのために、私は必ず治ります。今の気持ちを忘れずに、日々の積み重ねをもっと意識して、続けていきたいです。
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