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「ディルの絨毯に守られて ――キュウリとディルの定植をして――」 まゆみ




 今年は下町川下畑に、キュウリを定植しました。真っ直ぐな畝に、チョコレートのような竹の支柱、真っ白なネットが、すでに準備されていました。畑は、キュウリたちを待ち遠しくしているように見えました。
 でも、今回はキュウリだけではありません。コンパニオンプランツとして、ディルも一緒に畑に来ました。


〈キュウリと、ディルを混植するコンパニオンプランツ〉
 

 ■小さな魔法使い

 ディルは、キュウリにとっての害虫であるアブラムシの天敵を呼んだり、生育を助けて風味を良くしてくれるのだと、まりのちゃんから教えてもらいました。まだポットの中に入っていて小さいのだけれど、すごく大きな力を持っているのだなと思いました。
 ディルは、ニンジンの葉を、もう少し長く伸ばしたような姿をしていました。少し細いセロリのような茎に、もっと細くて繊細な葉が、しなやかに風に揺れていました。葉というよりは、1本の細くて柔らかい枝のようにも見えました。
 こんなに繊細なのに、すごい力を秘めているのだと思うと、すごく不思議な気持ちになりました。なんだか、小さな魔法使いのようにも見えました。
 最初にまりのちゃんに、定植の仕方を教えてもらいました。そのやり方も、自分にとっては初めて見るものでした。
 一言で言うと、ディルの根のベッドの上に、キュウリを置く、という形です。
 まず移植ごてで穴を開けたところに、ディルを置きます。ディルは、ポットから出したときに、根をよくほぐして、それを穴の底に絨毯を敷くようにして広げます。
 その絨毯の上に、キュウリをいつも通りに置きます。そして、2つ一緒に土を寄せます。1つの穴に、キュウリとディルの2つを植える、という形です。両方の根が絡み合うようになると良い、と、まりのちゃんから教えてもらいました。
 すごく作業が神秘的に思えました。そっと寄り添った、キュウリとディルの2つの苗は、表には見えない土の中で、静かに繋がって協力し合って、これから成長していくのだと思いました。見た目は全く別のものなのだけれど、実は深いところで1つなのだということが、すごく素敵だなと思いました。
 自分にとっては、初めて見るやり方でした。野菜作りの奥深さを、改めて肌で感じました。自分の知らない世界が、まだまだ広がっているのだろうなと思いました。その世界の新たな一面を、少し垣間見られたように感じて、すごく嬉しかったです。

 ■柔らかい絨毯のよう

 始めにディルの苗の根を広げておくとき、本当に柔らかい絨毯のように見えました。土の中で、ぱっと明るく見えるぐらいに真っ白な根は、しなやかに何本も絡み合って、1つの織物のようになっていました。1本1本は細くても、それが幾重にも重なると、本当に強く感じました。根元の土をほぐすと、そんな繊細な根が、思っていたよりもずっと長く伸びていて、キュウリのベッドになるには十分にありました。
 瑞々しくて柔らかいけれど、芯があって力強くて、植物の生命力の強さを、改めて感じました。そんな力強さに、定植をするときも、どこか安心感のようなものがありました。
 キュウリたちも、ディルのベッドの上では安定感がありました。まるでフカフカのソファに座るときのように、すとんと落ち着いているのを感じました。
 土を寄せても、茎が真っ直ぐに伸びたディルは、その姿勢を保ったままでした。そのすぐ隣でキュウリも、傘のような葉をぱっと大きく広げていました。キュウリの葉には細かい毛のようなものが生えていて、まだ柔らかくてふわふわとしていました。風が吹くと、キュウリがディルをそっと撫でているようにも見えました。

 ■未来の畑を見越して

 1つひとつ、みんなで植えていきました。キュウリだけでは無くてディルも一緒だということが、自分もすごく心強く感じました。
 定植をするのに、ネットに絡まりやすいようにと、まりのちゃんが苗の向きも教えてくれました。何かマニュアルがあって、教えてくれたのではありません。畑の位置と、太陽の方角と、苗の状態を見て、将来はこんな風に育っていくのではないか、と、まりのちゃんは考えながら話してくれました。
 まりのちゃんの心のなかには、未来の畑の様子が見えているのが伝わってきました。ネットにきれいに蔓の絡まった、キュウリの畝がありました。まるでまりのちゃんの手の中で、キュウリの蔓が独りでに伸びていくようにも見えました。真剣に苗に向き合って、考えているまりのちゃんの姿が、本当に奇麗だなと思いました。
 まりのちゃんの一言から、大きな優しさと、まりのちゃんの視野の広さを改めて感じました。まりのちゃんの手のひらで、キュウリも安心しているように見えました。
 作業のための作業にならない、まりのちゃんの姿勢から、自分もたくさん引っ張ってもらって、正してもらいました。まりのちゃんのようにありたいと思いました。先を見越して動ける、優しくて頼れる人になりたいと思いました。

 ■行灯の中で

 最後には、風よけと虫除けのための、行灯も作りました。真四角に張った行灯が、等間隔に並んでいる光景がすごく奇麗だなと思いました。
 行灯を作るとき、苗たちの部屋を作っているような気持ちになりました。大きな畑一杯に苗を植えるときと違って、野菜たちのための個室を用意しているような感じがしました。
 広いところから1つひとつを囲うのは、なんだか寂しい感じもしたけれど、今回はキュウリ1人だけではないので、そんな気持ちもすぐに消えました。作った行灯の中を除くと、小さな2つの苗がそっと顔を出していて、あたたかい気持ちにもなりました。1本1本は自立しているけれど、そっと両方が寄り添っている光景が、本当に素敵だなと思いました。

 

 
 根が絡み合うように、と、まりのちゃんは話していたけれど、これから実際にどんな風に育っていくのかが、すごく楽しみです。
 キュウリもディルも、順調に大きくなっています。特にディルの成長は早くて、もう行灯よりも背丈が高くなっています。太陽を求めるようにして、力強く、真っ直ぐに伸びていく野菜たちが、改めて凄いなと感じました。
 なのはなの夏野菜を代表する、キュウリです。これからの成長も、みんなと見ていけることがすごく嬉しいです。心を使って、精一杯、手入れをしていきたいなと思います。


〈後日の、キュウリの手入れ。
行灯を外し、ネットに誘引しました〉

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