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「深緑色の宝物に会える日を心待ちに ――ゴーヤの定植をして――」 まゆみ




 5月も終わりに近づいた頃、下町川下畑で、ゴーヤの定植をしました。キュウリの続きの畝に、約130の苗を植えました。
 畑にはすでに、キュウリとカボチャ、ニンニクが植わっています。残っているのは、あと4分の1もないほどでした。ゴーヤでその隙間が埋まって、畑が一段と賑やかになるのを、定植する前から感じました。
 まりのちゃんが畑に苗を用意してくれていて、畑に入ったときにすぐに、トレーにきちんと並んだ姿が見えました。小さいけれど、姿や大きさはどれも揃っていて、その姿がすごく奇麗だなと思いました。毎日毎日、苗の世話をしてくれている、まりのちゃんたちの細やかな愛情や優しさを感じました。大きな畑を前に、コンパクトにまとまっている小さな苗たちが、どこか可愛らしく思いました。
 苗を手に取ろうとしたとき、ふっと懐かしい香りがしました。すっと爽やかな風と共に、その香りに一瞬、全身が包み込まれるように感じました。いつか嗅いだことのある香りだけれど、遠い記憶がぱっと蘇ったときのような、どこか新鮮な気持ちにもなりました。
 夏の早朝の香りです。まだ日差しも少し柔らかく、涼しく吹く風が肌に心地よい時間。深緑のトンネルの中をかき分けながら、もっと濃い色をした宝物を探します。それは生い茂った葉の間に隠れるようにして、ひっそりと呼吸をしています。太陽の光を浴びると、ツヤツヤした肌が一段と輝いて見えます。
 それは紛れもなく、ゴーヤの香りでした。ちぐはぐなイメージが繋がり合って、1つの光景が思い出されてきました。空気が澄んで、朝露に濡れた畑がキラキラと光っている景色が、目の前に浮かんでくるようでした。
 ゴーヤのトンネルの中で深呼吸をする時間が、私は大好きです。そのときの気持ちが、一瞬のうちに蘇ってきました。
 もう一度、意識して深呼吸してみました。まだ小さいからか、はっきりとした香りはわかりませんでした。柔らかな風に吹かれて、ゴーヤの爽やかな香りも一緒に行ってしまったようでした。
 香りがはっきりとしたのは、ほんの一瞬だったけれど、すごく嬉しかったです。もうこんな季節になったのだと思いました。ワクワクした気持ちと懐かしい気持ちが、一緒にわき上がってきました。

 ■成長過程をイメージして

 苗の数と畝の長さを照らし合わせて、丁度苗を植えきるように、まりのちゃんが株間を調節してくれました。今回は、支柱と支柱の間に2、3株ずつ植えました。
 苗が大きくなったとき、成長していく過程をイメージしながら、まりのちゃんと植えていきました。どうしたらネットに絡まりやすいか、これからどんな風に葉が出てくるのか、まりのちゃんのお話しを聞いていたら、畑の未来の姿が見えてくるように感じました。朝露で輝いた、涼しげなゴーヤのトンネルが、一瞬見えたように感じました。
 苗は、本葉が3、4枚出ていました。
 一番下には、トンボの羽のような楕円型の双葉が、きっちり対称に生えていました。その上に、5センチほどの大きさになった本葉が2枚、茎が斜め上に伸びたところに付いていました。双葉と本葉は、上から見ると垂直に交わるようにして生えていて、成長点から出て来ている新芽も、その下の本葉と重ならないようにして伸びてきていました。
 どの苗も、それは例外なく同じでした。自然の中の繊細な秩序を感じて、その姿が美しいとも感じたし、不思議だなとも思いました。そして、植物の生命力の強さを、改めて実感しました。どの葉も無駄なく、太陽の光を浴びられるように、そうなっているのだと思いました。
 なかには早くも、細い蔓が伸びてきているものもありました。本当に糸のように細いのに、風に吹かれてもしっかりと立っていました。まだ2センチほどしかないけれど、蔓自体はしなやかにカールしていました。その姿も、なんだか愛おしく感じました。
 定植をしている間も、ふとした瞬間に、あの爽やかな香りがしてきました。まだ手のひらに載るぐらい小さいのに、独特な香りはしっかりとあって、初めはすごく驚きました。どこから香ってくるのだろうと思います。でも、確実に生きているのだと思いました。ゴーヤが呼吸をしている、ということを、肌で感じました。

 ■深緑色の宝物

 小さくても、葉や茎の色は、大きくなったときと同じように、濃い緑色をしていました。成長点の辺りは、白くて細かい産毛のようなものが目立って、少しその緑色も優しく感じました。触れたらすぐに壊れてしまいそうなぐらい小さくて、でもしっかりと細部まで葉の形をしていて、じっと見つめてしまうぐらいに繊細でした。まだすごく柔らかくてしなやかで、これからどんどん大きくなっていく強い勢いのようなものや、柔軟性を感じました。こうしている間にも、少しずつ確実に大きくなっているのだなと思うと、また不思議な気持ちになりました。
 ネットのすぐ際に定植して、土を寄せたときに上からぎゅっと株元を押さえました。苗が安定するように、しっかりと手のひらに力を込めました。ゴーヤたちが安心してくれますように、無事に根を張ってくれますように。1つひとつ、祈るような気持ちで植えていきました。
 最後には、たっぷりと水をやりました。しばらく太陽に照らされていた土に、水がどんどん染みこんでいく様子が、見ていてもすごく気持ちよかったです。ゴーヤも、美味しそうに水を飲んでいるように見えました。しっかり水を吸って、太陽の光も全身に浴びて、元気に育ってくれたら良いなと思います。
 まだ小さいけれど、これからどんどん畑の色が変わっていくのだと思うと、すごく楽しみです。またあのつるつるした、深緑色の宝物に会える日が、今から待ち遠しいです。

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