*答え*
あの、これの意味の違いを考えて、どうなるのかな。 違っても同じでもいいような気がしますけどね。 自分に甘い、っていうのは、1人で完結してますよね。違いをあえて言うんだったらね。 これを今日やろうって決めたのに、夜になってきて、ああめんどくさい、やらないで寝ちゃおうっていうのは……、自分でやることを決めたのにやらないで寝るというのは、自分に甘いよね。 これだけ仕事をしようとか、今日は5キロ走ろうとか予定してたのに、もう走らなくていいやっていうのは自分に甘い。
ところが甘えが強いっていうほうは、これは誰かに、人に甘える。甘える対象があるということで、自分の中で完結してない言い方だなあと思います。 自分に対する甘えが強いっていう言い方はしないですね。 僕に対する甘えが強かったり、お母さんに対する甘えが強かったり。誰かこれやって、と人に向かって甘えて行く。 お母さんは甘えが強くないから、(腕を怪我していても)「お父さん、このビンのふた開けて」って言わないわけだね。 そういう、甘える対象がほかにあって、他の対象に助けを求める。気持ちを逃がす。あるいは許しを請う。 そういうことが、甘えが強いということでね。自分に甘いというのとはちょっと違うんじゃないのかなという気がしますね。 じゃあ、自分に甘い人と甘えが強い人とでは、どっちが悪いかというと、僕は甘えが強いほうが悪いと思いますね。 自分に甘いのは、多少の甘さはいいと思うのです。誰にも迷惑かけないで自分だけで完結するのでね。 甘えが強い人っていうのはね、人に迷惑をかけるんですよね。
これね、今、他の人に甘えるって言いましたけどね。 状況に甘えるなんてこともありますね。 甘えが強い人は、「私これできません」みたいなね。私には無理でーすみたいなね。これは甘えが強いね。「私にはできません」とか、「やだー」とか、そういう空気をまき散らす。これは他の人のやる気を削ぎますよね。自分に甘い人は、いくらひそかに自分にどんどん甘くして全部やらないとしても、人にあまり迷惑かけないけどね。 甘えが強い人は、甘える対象の人に迷惑をかけるばかりじゃなくて、甘々の、周りの状況に甘える空気を出し続けると、根っこに同じものを持った人が、あ、私もそうしようかな、私も私もって引っ張られる。よその人を引っ張って、甘えの集団を作りかねないのでね。甘えの強い人っていうのは迷惑かなと思います。
でね、次の質問が甘えに関してで。 「私は自分に甘すぎているから、いつまでもしっかりしないのですか」 っていう質問。 これね、反対なんですね、この人に限って言えば。 ほとんどの場合、みんなを見るとね、いつまでもちゃんとしっかりしない人というのは、自分に甘すぎる人じゃないんですね。反対に、自分にからすぎるんですね。点数が。 自分に甘すぎる人っていうのは意外にね、崩れないんです。 自分に甘いからね。何かができなくても、自分を許しちゃう。いいんじゃないの? ってね。何かできると、「やったね、自分」みたいな。可愛くないね。「すごいね、自分」言ってられないですけどね。 そういう奴って崩れないんですよ。 だからね。自分に甘すぎる人っていうのはね。頑張ったら頑張ったで有頂天になっちゃうしね。 「できないなら仕方ないよ、頑張ったね自分」。そんな自分を励ましている人の心の声を聞いたら、うるせえこのやろうって思っちゃうけど、でもいつまでもしっかりしない人は、「私はだめだ。こんなんじゃだめだ」いつまでも攻撃しちゃっていることが多い。 ああ、もう寝込もう……。こんなんじゃだめだ。こんなんじゃ許されるはずがない。みんなに迷惑かけてる。嫌われてる。こういう人間が許されるはずがない。死刑! じゃないけど、寝ろ! みんなの前に顔出すな! って自分に言って、しっかりしない。 ちゃんとしない。できなくなっちゃう。 自分に厳しすぎると思うんですよね。
僕、自分で考えてもね、なんかね、前はね、ものすごく自分に厳しかったなあっていうふうに思うんですよね。 そういうときにはね、けっこう大変なんですよね。 自分に、どんどん甘くなってから、自分をどんどん許すようになってからね、どんどん楽になっていって、結果的にね、それが、いい結果を残すようになってるとかね。 あの……例えば今、なのはなファミリーやってて、僕が「もうダメだ、もうなのはなファミリーに顔を出したくない。なのはなファミリー嫌だ、行きたくない」と思って、タイムとか言って、やめるって言ったら、回らなくなる。代わりの人は、今はいないでしょ? 当面いないのでね。 だから、絶対に自分に向けて駄目出しをしないのです。 自分で、もう、ああ失敗したなあ……これまずいな、ってことが仮にあったとしても、大幅に全部許してね。いいよいいよって。 その代わり、前向きさを失わない、やる気を無くさない。 最低限のやる気は持ち続ける。 そういう意味で、逃げ隠れできないのでね。かなり、いろんなことで自分を常に許すし、甘くするしっていう感じはしますよね。してますよね。
考えてみるとね。お母さんなんかね、僕はずいぶん責められましたね。なのはなファミリー、もういやだ。キリがない。エンドレスで次から次に新しい人が来て、新しい人は必ずと言っていいくらい、夜も眠らせてくれないほどごねまくってね。 それで、四苦八苦してね、ようやく元気になってね、やあ助けになるなと思った頃に卒業していく。次々ひどい人ばかり来て、もうエンドレスだ! もういやだって。 それで、その頃なんか、最初はご飯を作ってましたからね。お父さんとお母さんでね。朝も、昼も、晩も。洗い物をしてましたからね。朝、昼、晩と。 年中、洗い物とかご飯作るのとか、家事に追われちゃうんだよね。 それで、最初の頃なんかね。ちょっとやる気出していつでも話すとなると、夜中の1時、2時がふつうになっちゃったからね。これ、もうだめだな、回らないなと思って。 それがいつの間にかね……そういうことを2、3年続けましたけどね。だんだん、いろんな状況が変わってきてね。 楽になってきた。 だけどね、なかなかね、楽になる自分というのを許せなくてね。
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